運営 / 更新 2026-10-14

訪問介護の業務継続計画(BCP)に書く項目と厚労省ひな形

訪問介護事業者は、運営基準(平成11年厚生省令第37号)第30条の2で、感染症や非常災害が起きても訪問介護を続けるための業務継続計画(BCP)を作ることが求められています。この記事は、条文の3つの項と、厚生労働省が公開しているひな形(感染症編の訪問系、自然災害編の共通)の章立てを並べて、計画に何を書くかを整理します。計画を作らない場合の減算は虐待防止・業務継続計画未策定減算で扱います。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護の開業準備者や管理者が、業務継続計画を作るときに、運営基準が求めることと、厚生労働省のひな形の構成を並べて、何を書けばよいか確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、業務継続計画の作成チェック表(感染症編・自然災害編それぞれの章、担当者、作成日、研修・訓練の実施日、次回の見直し日)を作成できる状態を目指します。

運営基準第30条の2が求めること:策定、周知と研修・訓練、見直し

第30条の2は3つの項で構成されています。第1項は、感染症や非常災害の発生時に、利用者への指定訪問介護の提供を継続的に実施するための計画と、非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画を策定し、その計画に従い必要な措置を講じることです。

第2項は、訪問介護員等に業務継続計画を周知し、必要な研修と訓練を定期的に実施すること、第3項は、定期的に計画の見直しを行い、必要に応じて変更することです。研修や訓練を何回行うか、どのような形式かは、条文には書かれていません。

業務継続計画に関する運営基準の定め(省令第30条の2、2026-10-14確認)
項求めること計画の書き方に落とすと
第1項感染症・非常災害の発生時に提供を続けるための計画と、早期の業務再開の計画を策定し、計画に従い必要な措置を講じる感染症編と自然災害編の両方を用意する
第2項訪問介護員等への周知、必要な研修・訓練の定期的な実施研修と訓練の担当者と実施日を書く
第3項定期的な見直しと、必要に応じた変更見直しの時期と担当者を書く

厚生労働省のひな形:感染症編(訪問系)の章立て

厚生労働省は、介護施設・事業所のBCP作成を支援するページで、感染症発生時と自然災害発生時のガイドラインとひな形を公開しています。感染症のひな形には入所系・通所系・訪問系があり、訪問介護は訪問系を使います。

訪問系の感染症ひな形の目次は、1 総則(目的、基本方針、主管部門、全体像)、2 平常時の対応(体制構築・整備、感染防止に向けた取組、防護具・消毒液等の備蓄、研修・訓練、BCPの検証・見直し)、3 初動対応(第一報、感染疑い者への対応)、4 感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、接触者への対応、職員の確保、防護具等の確保、情報共有、業務内容の調整、過重労働・メンタルヘルス対応、情報発信)です。

巻末には、推進体制の構成メンバー、事業所外の連絡リスト、備蓄品リスト、優先業務を選ぶための業務分類などの様式があります。サンプルが記入済みのシートと、印刷して使う記録の様式のシートに分かれています。

自然災害編のひな形の章立て

自然災害のひな形は、厚生労働省のページでは共通版が公開されており、サービス固有版も別に載っています。この記事で目次を確認したのは共通版で、記入例は特別養護老人ホームのものです。訪問介護の事業所は、記入例をそのまま写さず、自分の事業所に合わせて直します。

共通版の目次は、1 総論(基本方針、推進体制、リスクの把握、優先業務の選定、研修・訓練とBCPの検証・見直し)、2 平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・ガス・水道が止まった場合、通信が麻痺した場合、情報システムが停止した場合、衛生面、必要品の備蓄、資金手当て)、3 緊急時の対応(BCPの発動基準、行動基準、対応体制、安否確認、職員の参集基準、重要業務の継続、職員の管理、復旧対応)、4 他施設との連携、5 地域との連携です。

共通版の補足資料には、利用者の安否確認シートと職員の安否確認シート、優先業務の検討、重要業務の継続があります。感染症の訪問系ひな形の様式にも、災害時利用者一覧表(安否確認の優先順位)が含まれています。

計画を作ったあと:周知、研修、訓練、見直しの記録

感染症の訪問系ひな形は、研修・訓練の項で、計画を関係者で共有すること、入職時の研修やBCP研修などの教育を実施すること、計画の検証と見直しを行うことを定めています。条文の第2項と第3項に対応する部分です。

実施日、参加者、見直しで直した点は、あとで確認できるように記録に残します。運営規程や感染症対策の体制との関係は、運営規程と重要事項説明と衛生管理等で確認できます。災害時の訪問の考え方は災害時の訪問介護の対応にあります。

このページの範囲

このページが確認したのは、省令第30条の2の条文(e-Gov法令検索、2026-10-14取得)と、厚生労働省のBCP作成支援のページ、感染症ひな形(訪問系)と自然災害ひな形(共通)の目次です。ひな形の記入例の内容、解釈通知の細かな説明、実地指導での確認項目、自治体ごとの運用は扱っていません。迷うときは指定権者(都道府県・市区町村)に確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 感染症編と自然災害編のどちらも、厚生労働省のひな形(訪問系の感染症ひな形、自然災害ひな形)の章立てを写して、事業所の担当者と作成日を書く
  2. 平常時の対応として、推進体制、連絡先リスト、備蓄品、優先業務を決めて記入する
  3. 初動対応と感染拡大防止体制、自然災害の緊急時の対応として、誰が何をいつ判断するかを記入する
  4. 訪問介護員等への周知、研修、訓練の実施日と、定期的な見直しの予定日を決めて、実施のたびに記録する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

次に読む: 訪問介護の虐待防止・業務継続計画未策定減算(各1%)の基準 →