運営 / 更新 2026-10-10
訪問介護の業務管理体制の整備と届出:法令遵守責任者・事業所数別の整備内容・届出先
業務管理体制は、事業者が法令を守るために整える社内の仕組みです。介護保険法第115条の32は、訪問介護などの指定を受けた事業者に、その整備と届出を義務づけています。整備の内容は、指定を受けている事業所の数で変わります。1以上20未満なら法令遵守責任者の選任、20以上100未満ならこれに規程の整備、100以上ならさらに監査の定期的な実施です。届出先は、事業所の所在地の広がりで6つに分かれます。この記事は、整備内容・届出事項・届出先・変更時の届出を、e-Govの条文で確認できる範囲で整理します。個別の法人がどの区分に当たるかと、届出書の様式は、届出先への確認が必要です。
この記事で決めること
訪問介護事業者の業務管理体制の整備と届出を、事業所数別の整備内容・届出事項・届出先の区分・変更時の届出に分けて、介護保険法と施行規則の条文の範囲で確認できるようにするための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、業務管理体制の整備・届出メモ(事業所数・届出先の区分・法令遵守責任者・届出日・変更時の再届出の条件)を作成できる状態を目指します。
結論:全ての事業者が整備と届出の対象で、内容は事業所数で決まる
介護保険法第115条の32第1項は、訪問介護の指定を受けた事業者などの介護サービス事業者に、厚生労働省令で定める基準に従った業務管理体制の整備を求めています。第2項は、整備した内容に関する事項を、定められた届出先に届け出ることを求めています。確認日は2026年10月10日です。
訪問介護の事業所を1つだけ運営する法人も対象で、事業所の数が少ないから免除される、という定めは条文にありません。整備の基準は施行規則第140条の39が、届出事項は第140条の40が定めています。
事業所数別の整備内容
整備内容は、指定または許可を受けている事業所・施設の数に応じて3段階に分かれ、数が多いほど内容が重なっていきます。数えるのは訪問介護の事業所だけでなく、同じ法人が指定を受けている他のサービスの事業所や施設も含む数です。
法令遵守責任者は、法令を守る体制の確保に責任を持つ人です。施行規則は、この人の資格や役職を定めていません。誰を選任するかは法人が決め、氏名と生年月日を届け出ます。
| 指定・許可を受けている事業所・施設の数 | 法令遵守責任者の選任 | 法令に適合することを確保するための規程の整備 | 業務執行の状況の監査の定期的な実施 |
|---|---|---|---|
| 1以上20未満 | 必要 | 条文の定めなし | 条文の定めなし |
| 20以上100未満 | 必要 | 必要 | 条文の定めなし |
| 100以上 | 必要 | 必要 | 必要 |
届出事項と、届出先の6つの区分
届出書に書く事項は、施行規則第140条の40第1項が定めています。全ての事業者に共通するのは、事業者の名称、主たる事務所の所在地、代表者の氏名・生年月日・住所・職名、法令遵守責任者の氏名・生年月日です。事業所が20以上の事業者は規程の概要を、100以上の事業者は監査の方法の概要を加えます。
届出の時期について、施行規則は整備について遅滞なく届け出ると定めています。
届出先は、介護保険法第115条の32第2項が、指定を受けている事業所の所在地の広がりで定めています。訪問介護の事業所だけを運営する法人は、多くが次の表の上から3行のどれかに当たりますが、他のサービスも運営する場合は事業所全体で区分を判断します。個別の法人の当てはめは、届出先の窓口で確かめてください。
| 事業所・施設の所在地の状況 | 届出先 |
|---|---|
| 全ての事業所・施設が一の指定都市の区域にある | 指定都市の長 |
| 全ての事業所・施設が一の中核市の区域にある | 中核市の長 |
| 地域密着型サービス・地域密着型介護予防サービスのみで、全ての事業所が一の市町村の区域にある | 市町村長 |
| 事業所・施設が2以上の都道府県にあり、2以下の地方厚生局の管轄区域に所在する(上の区分を除く) | 主たる事務所の所在地の都道府県知事 |
| 事業所・施設が3以上の地方厚生局の管轄区域に所在する | 厚生労働大臣 |
| 上のどれにも当たらない(同じ都道府県内の事業所のみ、など) | 都道府県知事 |
届出後に変わったとき・確認されるとき
届け出た事項に変更があったときは、遅滞なく変更を届け出ます(法第115条の32第3項、施行規則第140条の40第2項)。代表者や法令遵守責任者が代わったとき、規程の概要を変えたときがこれに当たります。事業所が増えて届出先の区分が変わるときは、変更後の届出先と変更前の届出先の双方に届け出ます(法第115条の32第4項、施行規則第140条の40第3項)。
届出を受けた厚生労働大臣などは、体制の整備に必要があると認めるとき、報告や帳簿書類の提出を求め、立入検査をすることができます(法第115条の33第1項)。この記事で確認できていないことは3つあります。変更の届出の具体的な日数、届出書の様式、電子申請の受付方法で、いずれも届出先の窓口に確認してください。
開業後の報告制度の全体像は訪問介護の指定後の報告・公表・業務管理体制で、年間の時期は訪問介護の開業後の義務カレンダー(研修・訓練・処遇改善の実績報告)で確認できます。管理者の交代時の届出は管理者・サービス提供責任者の変更届(変更後10日以内)で、事業所の移転は訪問介護の事業所移転(所在地変更)の届出手続きを期限から確認するで整理しています。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 法人が指定を受けている事業所の数と所在地(都道府県・指定都市・中核市の別)を数えて、届出先の区分を整理する
- 事業所数に応じた整備内容(法令遵守責任者の選任、20以上は規程、100以上は監査)を表で確かめ、法令遵守責任者を決める
- 届出事項(事業者の名称・所在地・代表者、法令遵守責任者の氏名・生年月日)を届出書にまとめ、届出先の窓口に様式と提出方法を確認して提出する
- 代表者・法令遵守責任者の変更や、事業所の増加による区分の変更があったときに、遅滞なく届け出る担当と手順を決めて記録に残す
一次資料
制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「介護保険法 第115条の32・第115条の33(業務管理体制の整備等・報告等)」(確認日 2026-10-10)
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「介護保険法施行規則 第140条の39・第140条の40(業務管理体制の基準・届出事項)」(確認日 2026-10-10)