運営 / 更新 2026-10-17
中国残留邦人等の介護支援給付と訪問介護事業所:みなし指定・介護券・本人支払額
中国残留邦人等の支援給付には、生活保護の介護扶助に似た「介護支援給付」があり、訪問介護の利用者負担が給付で賄われることがあります。この記事は、中国残留邦人等支援法と厚生労働省の運営要領で、訪問介護事業所が指定を別に受ける必要があるか、介護券で何を確かめるか、本人支払額をどう扱うかを整理します。個別の利用者への適用は支援給付の実施機関が判断するため、この記事では確定しません。
介護支援給付とは:生活保護の介護扶助の例による支援給付
中国残留邦人等支援法第14条第2項は、支援給付の種類に生活支援給付・住宅支援給付・医療支援給付・介護支援給付などを挙げています。同条第4項は、特別の定めがあるほかは支援給付を生活保護法の規定の例によると定めます。このため、訪問介護事業所の実務は、生活保護の介護扶助の事務と近い形になります。
対象は介護保険の被保険者とは限りません。運営要領は、40歳以上65歳未満で特定疾病がある人を含む被保険者は介護保険法の要介護認定を受け、被保険者以外の人は介護支援給付のための要介護状態等の審査判定を受けるものとしています。被保険者以外の人は、障害福祉サービスなどの自立支援給付等を優先して活用したうえで、なお必要な介護サービスに給付が行われます。
訪問介護などの居宅介護は、居宅介護支援計画に基づいて行うものに限られます。計画は、指定介護機関の指定を受けた居宅介護支援事業者等が作ることが運営要領の基本で、非指定の事業者が作る場合の扱いも要領に別に定められています。生活保護の介護扶助との違いは生活保護受給者(介護扶助)への訪問介護提供と請求実務の違いで整理しています。
この記事で決めること
訪問介護事業所の管理者や事務担当者が、中国残留邦人等の介護支援給付を受ける利用者を受け入れるとき、指定介護機関の指定、介護券の確認、本人支払額の扱いを、法令と運営要領で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、介護支援給付の受け入れ確認メモ(指定の扱い・介護券の確認項目・本人支払額・保管期間)を作成できる状態を目指します。
指定介護機関の指定:介護保険の指定でみなされ、申出で外すこともできる
介護保険法の指定を受けた訪問介護事業所は、生活保護法第54条の2第2項により、介護機関の指定を受けたものとみなされます。運営要領は、支援給付でも同じ扱いで、介護保険の指定があれば支援給付の指定介護機関として指定を受けたものとみなされると周知するよう定めています。事業所が別に申請書を出す形ではありません。
みなされることを望まない場合は、あらかじめ別段の申出をします(生活保護法第54条の2第2項ただし書)。運営要領は、介護保険の指定申請の際に、事業所の名称・所在地、開設者と管理者の氏名と住所、事業の種類を書いた申出書を、所在地を所管する都道府県(指定都市・中核市を含む)の生活保護担当部局へ出すものとしています。受け入れの方針は、新規指定の申請前に決めておくと手続きに迷いません(運用の提案)。
介護券と本人支払額:確認する4点と、介護給付費明細書への転記
介護支援給付は、福祉用具等・住宅改修等・指定事業者以外が提供する介護予防・生活支援サービス・移送を除き、介護券を発行して行います。介護券は支援給付の実施機関が、介護支援給付を決定した指定介護機関へ直接送付します。介護券は暦月を単位に発行され、月の途中で給付が始まるか終わるときは、有効期間が介護券に記載されます。
運営要領は、事業所に対して次の4点を指導するよう定めています。有効な介護券であることの確認、介護券に記載された本人支払額以上の利用者負担を徴収しないこと(運営要領が別に定める場合を除く)、介護券から介護給付費明細書への必要事項の正確な転記、介護券の保管と確認終了後の処分です。保管期間は各都道府県市が定めます。
本人支払額は支援給付の実施機関が決めて介護券に記載します。ない場合は欄に斜線が引かれます。介護支援給付と医療支援給付をあわせて受ける被保険者の世帯では、居宅介護等の本人支払額は月額15,000円が上限とされています。
| 確認すること | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 介護券の有効性 | 有効な介護券か、有効期間内のサービスか | 運営要領 介護券の取扱い(ア) |
| 本人支払額 | 介護券に書かれた額以上を利用者から徴収しない | 運営要領 介護券の取扱い(イ) |
| 請求書への転記 | 介護券の記載を介護給付費明細書へ正確に転記する | 運営要領 介護券の取扱い(ウ) |
| 保管と処分 | 実施機関の確認が終わるまで保管し、終了後は事業所の責任で処分する。保管期間は都道府県市が定める | 運営要領 介護券の取扱い(エ) |
起こりやすい失敗:介護券の未着、遠方の事業所、転記の誤り
介護券が届く前に訪問を始めると、給付の決定を確かめられないまま提供することになります。利用者が支援給付を受けていると聞いたときは、介護券の送付予定を支援給付の実施機関に確かめておくと安全です(運用の提案)。
運営要領は、特段の理由がない限り、別途交通費が必要になる遠方の居宅サービス事業者の利用は認められないとしています。通常の事業の実施地域外の利用者を受けるときは、交通費の扱いを実施機関に確認します。実施地域外の交通費の基準は訪問介護の通常の事業の実施地域の決め方と地域外の利用者への対応にあります。
次に読む記事
次に読む記事は3本です。生活保護の介護扶助の請求は生活保護受給者(介護扶助)への訪問介護提供と請求実務の違い、被爆者健康手帳の公費は被爆者健康手帳を持つ利用者の訪問介護:公費請求の法別番号81と低所得の条件、利用者負担の軽減の全体は訪問介護の利用者負担の軽減制度:減額認定証(0%)と社会福祉法人等の軽減(1/4)で確認できます。
この記事は、中国残留邦人等支援法、生活保護法と厚生労働省の運営要領(令和6年4月2日付の改正通知)を整理したもので、個別の利用者に介護支援給付が適用されるか、請求の具体的な様式を確定するものではありません。通知は改正されることがあり、取扱いは実施機関で異なる部分があるため、実際の対応は支援給付の実施機関(福祉事務所)に確認してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 介護保険の指定申請の前に、中国残留邦人等の介護支援給付の利用者を受け入れるかを決め、受け入れない場合は申出書を所管の生活保護担当部局へ出す手順を確認する
- 利用者が支援給付を受けていると分かったら、支援給付の実施機関に介護券の送付予定を確かめ、居宅介護支援事業所と共有する
- 介護券が届いたら、有効期間、本人支払額、サービスの種類を確かめ、本人支払額以上を徴収しないよう利用者ごとの記録に残す
- 介護券の記載を介護給付費明細書へ正確に転記し、実施機関の確認が終わるまで保管して、保管期間は都道府県市の定めに従う
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。