運営 / 更新 2026-10-16

地域ケア会議から協力を求められたとき:訪問介護事業所の対応(法第115条の48)

市町村や地域包括支援センターから「地域ケア会議に出席してください」「利用者の状況を資料で提供してください」と頼まれることがあります。この会議は介護保険法第115条の48に定められたもので、協力は努力義務、会議に関わる人には守秘義務が課されます。この記事は、条文と厚生労働省の説明資料を2026-10-16に確認した範囲で、訪問介護事業所の確認事項を整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

市町村や地域包括支援センターの地域ケア会議から、利用者の情報提供や出席を求められた訪問介護事業所の管理者が、介護保険法第115条の48の協力の努力義務と守秘義務、会議が検討する事項を知り、依頼を受けたときの確認事項を整理するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、地域ケア会議への協力依頼の対応メモ(依頼元、依頼の内容、法の根拠、提供する情報の範囲、利用者への説明、回答と出席の記録)を作成できる状態を目指します。

結論:協力は「努めなければならない」努力義務で、会議の側には守秘義務がある

介護保険法第115条の48第3項は、会議が必要があると認めるときに、関係者等に資料または情報の提供、意見の開陳その他必要な協力を求めることができるとしています。第4項は、求めがあった場合に、関係者等は協力するよう努めなければならないと定めています。

条文は「努めなければならない」という書き方で、協力しないことに罰則を置いてはいません。協力するかどうか、どの範囲で協力するかは、事業所が依頼の内容を見て決めます。

会議の事務に従事する人と従事していた人には、第5項で、正当な理由なく会議の事務で知った秘密を漏らしてはならないという守秘義務があります。厚生労働省の説明資料は、これにより個別事例を扱うことへの利用者や家族の理解を得やすくなる、という趣旨を示しています。

会議が検討すること:条文が挙げる6つの事項

第115条の48第1項の会議は、市町村が、介護支援専門員、保健医療・福祉の専門的知識を有する人、民生委員その他の関係者、関係機関、関係団体で構成するものです。市町村は会議を置くように努めるとされているため、置いていない市町村もありえます。

施行規則第140条の72の2の2は、会議が検討する事項を6つ挙げています。支援の対象は、要介護被保険者、居宅要支援被保険者等、その他市町村が支援が必要と認める被保険者です(施行規則第140条の72の3)。

地域ケア会議の検討事項(介護保険法施行規則第140条の72の2の2)
号検討する事項訪問介護事業所から見た関わり(この記事の整理)
1支援対象被保険者の健康上・生活上の課題の解決に資する支援の内容個別の利用者について、訪問で把握している生活の状況を求められる場面がある
2指定居宅介護支援等基準第13条第18号の2の規定により届け出られた居宅サービス計画厚生労働大臣が定める回数以上の訪問介護を位置づけたプランの届出(届出はケアマネジャーが行う)。届け出られた計画の訪問介護の内容を問われる場面は考えられる
3地域における介護の提供に携わる者その他の関係者の連携の強化事業所を含む関係者の連携の場として開かれる
4支援対象被保険者に共通する課題の把握個別の事例が積み重なって、地域に共通する課題として整理される
5地域における介護の提供に必要な社会資源の改善・開発事業所が把握している地域の不足を伝える機会になりうる
6地域における自立した日常生活の支援のために必要な施策・事業検討の結果が市町村の施策につながる

厚生労働省の説明資料が示す会議の機能と、訪問介護に関わる例

平成28年10月28日の厚生労働省老健局振興課の説明資料は、地域ケア会議の5つの機能を、個別課題の解決、地域包括支援ネットワークの構築、地域課題の発見、地域づくり・資源開発、政策の形成としています。多職種が個別のケースの支援内容を検討することで、介護支援専門員の自立支援に資するケアマネジメントの実践力を高める機能も、個別課題の解決に含まれています。

資料には、個別ケースの検討から政策につながった具体例が載っています。身体介護が不要なケースで、通院のために訪問介護を利用している場合が多いことがわかり、医療機関への移動手段が少ないという共通課題を見つけ、市が既存のコミュニティバスの運行経路を見直して、地域の診療所を細かく回るルートが実現した、という例です。

事業所が日々の訪問で気づく生活の困りごとが、会議を通じて地域の施策につながる場合があることを示す例です。ただし、これは国が示した一例で、どの市町村でも同じ結果になるわけではありません。

協力を求められたときの確認事項(この記事の整理。条文の定めではない)

依頼が来たら、依頼元が市町村か地域包括支援センターか、会議の名称、求められているのが資料・情報の提供なのか意見なのか出席なのか、期限はいつか、を最初に記録します。依頼文が第115条の48第3項に基づく協力の求めかどうかも確かめます。

利用者の情報を提供する場合は、会議の目的に必要な項目に絞ります。利用者への説明と同意の扱いについては、この記事では判断しません。訪問介護の秘密保持等(基準第33条):守秘義務と個人情報の同意で事業所の守秘義務の範囲を確かめ、法人の個人情報の取扱いの定めと市町村の依頼文に沿って決めます。

会議で出た課題や支援の方針は、ケアマネジャーと共有し、必要なら訪問介護計画に反映します。日常のケアマネジャーとのやり取りは訪問介護のサービス提供・ケアマネ連携・月次報告、サービス担当者会議との違いはサービス担当者会議・モニタリングと訪問介護事業所で確認できます。生活援助中心型の届出の仕組みは訪問介護(生活援助中心型)の回数基準とケアプラン届出にまとめています。

確認していないこと

この記事は、介護保険法第115条の48と施行規則の2か条をe-Govで、厚生労働省の説明資料(平成28年10月28日)を2026-10-16に確認した範囲だけを書いています。説明資料は平成28年時点のもので、現在の運用の細部は確かめていません。

各市町村の地域ケア会議の開催の頻度、参加者の選び方、依頼文の書式は、市町村と地域包括支援センターの運営方針で決まります。個別の依頼に応じるべきかどうか、利用者の同意が必要かどうかの判断は、この記事ではしません。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 依頼元(市町村か地域包括支援センターか)、会議の名称、依頼の内容(資料・情報の提供、意見、出席のどれか)と期限を記録する
  2. 依頼文が介護保険法第115条の48第3項に基づく協力の求めかを確かめ、努力義務であることを前提に、協力する範囲を管理者が決める
  3. 提供する情報の範囲を、会議の目的に必要な項目に絞って決め、利用者への説明と同意の扱いは法人の個人情報の取扱いの定めと市町村の依頼文で確かめる
  4. 提供した資料、出席者、発言した内容の要点、会議で得た課題や支援方針を記録し、訪問介護計画やケアマネジャーとの共有に反映する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

次に読む: 訪問介護の秘密保持等(基準第33条):守秘義務と個人情報の同意 →