運営 / 更新 2026-10-26

共生型サービスの特例:訪問介護と居宅介護の基準・報酬(100分の70・93)

共生型サービスは、障害福祉サービスの事業者が介護保険の指定を、介護保険の事業者が障害福祉サービスの指定を受けやすくする指定の特例です。訪問介護では、居宅介護・重度訪問介護の事業所が共生型訪問介護を行う向きと、訪問介護の事業所が共生型居宅介護・共生型重度訪問介護を行う向きの2つがあります。この記事では、法令の原文にある2つの要件、従業者の員数の数え方、訪問介護の報酬の100分の70と100分の93を整理します。

この記事の要点

2つの向き
障害福祉の居宅介護・重度訪問介護の事業所が共生型訪問介護を行う向き(介護保険法第72条の2)と、訪問介護の事業所が共生型居宅介護・共生型重度訪問介護を行う向き(障害者総合支援法第41条の2)
特例の要件
従業者の知識・技能・人員が都道府県の条例の基準を満たすこと、条例の設備・運営基準に従って適正に運営できると認められること。員数は共生型の利用者を足した合計で数える
訪問介護の報酬
届出が条件で、居宅介護事業所では従業者の区分により所定単位数の100分の70または100分の93、重度訪問介護の事業所は100分の93(告示第19号 訪問介護費の注)
事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

共生型サービスの2つの向きと根拠の条文

共生型サービスの根拠は、介護保険側が介護保険法第72条の2、障害福祉側が障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)第41条の2です。2026年10月26日に、e-Gov法令検索の現行条文で確かめました。

介護保険法第72条の2は、障害者総合支援法の指定障害福祉サービス事業者の指定(このほか児童福祉法の障害児通所支援の指定も対象)を受けている者が、居宅サービスの指定を申請したときの特例です。障害者総合支援法第41条の2は、反対に介護保険法の居宅サービスなどの指定を受けている者が、障害福祉サービスの指定を申請したときの特例です。どちらも、申請者が主務省令で定めるところにより別段の申出をしたときは、特例を使いません。

共生型サービスの2つの向き(訪問介護に関わるもの)
向きもともとの指定新たに受ける指定根拠の条文
障害福祉から介護保険へ居宅介護・重度訪問介護の指定障害福祉サービス事業者共生型訪問介護(介護保険の訪問介護)介護保険法第72条の2、基準省令(平成11年厚生省令第37号)第39条の2
介護保険から障害福祉へ指定訪問介護事業者共生型居宅介護・共生型重度訪問介護(障害福祉サービス)障害者総合支援法第41条の2、基準省令(平成18年厚生労働省令第171号)第43条の2・第43条の3

この記事で決めること

訪問介護の事業所が障害福祉の居宅介護・重度訪問介護の指定を、または居宅介護の事業所が訪問介護の指定を受けるときの特例(共生型サービス)の条件と報酬を、法令の原文で確かめたい人向け。ための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、共生型サービスの検討メモ(1枚):どちら向きの特例か(障害福祉の事業者が訪問介護を行うか、訪問介護の事業所が居宅介護・重度訪問介護を行うか)、現在の指定の種類、合算した利用者数での従業者の員数の試算、技術的支援を受ける事業所の名前、報酬の区分(100分の70か93かの確認先)、指定権者へ相談した日を作成できる状態を目指します。

指定の特例が使える2つの要件

介護保険法第72条の2第1項は、特例が使える場合を次の2つの要件で定めています。両方に当てはまることが必要です。障害者総合支援法第41条の2第1項にも、障害福祉サービス側の同じ形の2つの要件があります。

ここでいう基準は、都道府県の条例で定められます。条例を定めるときの国の基準との関係は、介護保険法第72条の2第2項に、従業者と員数、居室の床面積、利用者の適切な処遇や安全の確保、秘密の保持などに密接に関連する運営の事項は省令の基準に従い、利用定員は省令の基準を標準とし、その他の事項は省令の基準を参酌する、と書かれています。条例の中身は都道府県ごとに確かめてください。

介護保険法第72条の2第1項の2つの要件(共生型居宅サービスの指定)
要件条文の内容
第1号申請に係る事業所の従業者の知識・技能・人員が、指定居宅サービスに従事する従業者に係る都道府県の条例で定める基準と員数を満たしていること
第2号申請者が、都道府県の条例で定める指定居宅サービスの設備及び運営に関する基準に従って、適正な居宅サービス事業の運営をすることができると認められること

従業者の員数の数え方と技術的支援

基準省令は、共生型の事業所が満たす基準を2つ定めています。1つ目は、従業者の員数が、もともとの利用者と共生型の利用者を足した合計の利用者数で、もともとの事業所として必要とされる数以上であることです。共生型の利用者を受けるときは、足した人数で員数を数え直すということです。

2つ目は、共生型の利用者に適切なサービスを提供するため、関係する事業所から必要な技術的支援を受けていることです。共生型訪問介護では指定訪問介護事業所その他の関係施設から、共生型居宅介護では指定居宅介護事業所その他の関係施設から、共生型重度訪問介護では指定重度訪問介護事業所その他の関係施設から受けます。

共生型の事業所が満たす基準(基準省令の条)
サービス従業者の員数技術的支援を受ける先
共生型訪問介護(平成11年厚生省令第37号 第39条の2)居宅介護等の利用者と共生型訪問介護の利用者の合計数で、居宅介護等の事業所として必要な数以上指定訪問介護事業所その他の関係施設
共生型居宅介護(平成18年厚生労働省令第171号 第43条の2)指定訪問介護の利用者と共生型居宅介護の利用者の合計数で、指定訪問介護事業所として必要な数以上指定居宅介護事業所その他の関係施設
共生型重度訪問介護(同 第43条の3)指定訪問介護の利用者と共生型重度訪問介護の利用者の合計数で、指定訪問介護事業所として必要な数以上指定重度訪問介護事業所その他の関係施設

共生型訪問介護の報酬:所定単位数の100分の70と100分の93

共生型訪問介護の報酬は、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)の訪問介護費の注に定められています。2026年10月26日に、厚生労働省が掲載する告示の本文で確かめました。届出が条件で、共生型居宅サービスの事業を行い、電子情報処理組織を使う方法で都道府県知事に老健局長が定める様式による届出を行った事業所が対象です。

報酬は、1回につき所定単位数の100分の70、または100分の93です。居宅介護事業所では居宅介護従業者基準の定める従業者の区分によって2つに分かれ、重度訪問介護に係る指定障害福祉サービスの事業所で共生型訪問介護を行った場合は100分の93です。居宅介護従業者基準の各号が指す資格の中身は原文を確かめていないため、この記事では扱いません。

共生型訪問介護の算定(告示第19号 訪問介護費の注)
事業所と従業者算定する割合
居宅介護事業所:居宅介護従業者基準第1条第4号・第9号・第14号・第19号から第22号までの者が行った場合1回につき所定単位数の100分の70
居宅介護事業所:同第5号・第10号・第15号の者が行った場合1回につき所定単位数の100分の93
重度訪問介護に係る指定障害福祉サービスの事業所1回につき所定単位数の100分の93

廃止・休止の届出のみなし規定と、確かめる順番

介護保険法第72条の2第5項は、共生型の指定を受けた者が、もともとの障害福祉サービス(または障害児通所支援)の事業について廃止または休止の届出をしたときは、その指定に係る居宅サービスの事業についても届出があったものとみなす、と定めています。障害者総合支援法第41条の2第4項にも、介護保険法の指定居宅サービスなどの廃止・休止の届出について同じ形の定めがあります。もともとの事業の廃止・休止を届け出ると、共生型の事業も廃止・休止の届出があったものとして扱われる点に注意が必要です。

確かめる順番は、まず自事業所のもともとの指定の種類から、どちらの向きの特例になるかを決め、次に、利用者の合計数で従業者の員数を数え直して技術的支援を受ける事業所を決め、そのうえで、都道府県の条例の基準、別段の申出の扱い、報酬の区分を指定権者に確かめます。訪問介護そのものの指定の流れは訪問介護開業の順番:法人設立・人員・指定申請・開業のロードマップ、訪問介護の人員は訪問介護の人員基準で確認できます。

ほかのサービスに広げる場合の比較は訪問介護から広げる5サービスの比較:指定の主体・人員・管理者の兼務に、障害福祉サービスの利用者が65歳になったときの扱いは障害福祉サービスの利用者が65歳になったとき:介護保険優先の考え方と訪問介護事業所の対応にまとめています。

この記事で確認した範囲

2026年10月26日に、e-Gov法令検索の現行条文と、厚生労働省が掲載する告示の本文を確認しました。見たのは、介護保険法第72条の2、障害者総合支援法第41条の2、平成11年厚生省令第37号の第39条の2・第39条の3、平成18年厚生労働省令第171号の第43条の2から第43条の4、告示第19号の訪問介護費の共生型の注です。

施行規則が定める共生型の対象サービスの対応表、居宅介護従業者基準の各号の中身、障害福祉サービス側の報酬の単位数、通所介護や短期入所生活介護の共生型、サービス提供責任者の置き方などの個別の読み替えは、この記事では扱っていません。実際の指定は指定権者の判断によるため、指定の取得を保証する記事ではありません。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 自事業所がどちらの向きの特例に当たるかを、現在の指定の種類(訪問介護か、居宅介護・重度訪問介護か)から決める
  2. 既存の利用者数と、共生型で受ける利用者数の合計で、従業者の員数が必要数以上になるかを試算する
  3. 技術的支援を受ける指定訪問介護事業所または指定居宅介護事業所などの候補を決め、支援の内容を書き出す
  4. 条例で定める基準と別段の申出の扱い、報酬の区分は都道府県・指定都市・中核市の窓口に確かめる

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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