運営 / 更新 2026-10-24

通所介護の利用料と保険外費用:食事・おむつ代・送迎・その他の日常生活費で受け取れるもの

通所介護で自己負担のほかに利用者から受け取れる費用は、指定基準第96条第3項の5種類です。食事の提供、おむつ代、通常の事業の実施地域外の送迎、通常より長い時間の提供、日常生活で通常必要となる便宜の費用で、どれも事前の説明と同意が条件です。この記事では、条文と厚生労働省の通知で、受け取れる範囲と認められない徴収の例を確かめます。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

自己負担のほかに受け取れる5種類の費用(指定基準第96条第3項)

指定基準第96条は、法定代理受領サービスの通所介護では、介護サービス費用基準額から保険者の給付を引いた額を利用者から受け取る(第1項)と定めています。この自己負担のほかに、同条第3項が次の5つの費用を利用者から受け取れるとしています。

法定代理受領にならない場合も、利用者から受け取る利用料と費用基準額の間に、不合理な差額を作ってはなりません(第2項)。5つの費用のうち、食事の提供に要する費用は、別に厚生労働大臣が定めるところによると第4項に書かれています。具体的な取扱いは、この定めを指定権者の案内で確かめてください。

通所介護で自己負担のほかに受け取れる費用(指定基準第96条第3項)
号費用の内容条文の言い方
第1号送迎の費用利用者の選定により、通常の事業の実施地域以外の地域に住む利用者に行う送迎に要する費用
第2号長時間のサービスの費用通常要する時間を超える通所介護で利用者の選定に係るもの。必要な費用の範囲内で、通常の費用基準額を超える費用
第3号食事の費用食事の提供に要する費用(第4項で、別に厚生労働大臣が定めるところによる)
第4号おむつ代おむつ代
第5号その他の日常生活費通所介護の提供において提供される便宜のうち、日常生活でも通常必要となるもので、利用者に負担させることが適当と認められる費用

この記事で決めること

通所介護(デイサービス)の事業者や、これから始める人が、介護保険の自己負担のほかに利用者から受け取れる費用の範囲と、あいまいな名目の徴収が認められない理由、説明・同意・運営規程への記載の手順を、運営基準の条文と厚生労働省の通知で確かめたい。ための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、通所介護の利用料・保険外費用の一覧表(費用ごとの根拠・金額の決め方・説明と同意の記録・運営規程と掲示への記載の確認)を作成できる状態を目指します。

費用を受け取る前に:説明・同意と運営規程

第3項の費用を受け取るサービスを提供するときは、あらかじめ、利用者または家族にサービスの内容と費用を説明して、利用者の同意を得なければなりません(第96条第5項)。口頭の説明だけで済ませず、同意をいつ誰から得たかを記録に残しておくと、後で確かめられます。

運営規程には、指定通所介護の内容と利用料その他の費用の額(第100条第5号)と、通常の事業の実施地域(同条第6号)を定めます。第1号の送迎費用は、この実施地域を超える利用者に限る費用なので、実施地域を決めていないと、送迎費用を受け取れる範囲も決まりません。利用開始のときの重要事項の説明と同意は、第105条により第8条が通所介護にも準用されています。

訪問介護では、利用者から受け取れるのは通常の実施地域外の交通費に限られています。この違いは訪問介護の利用料等の受領(基準第20条・交通費と保険外サービスの別料金の条件)の記事で確認できます。

その他の日常生活費の5つの基準(老企第54号)

第5号の「その他の日常生活費」は、厚生労働省の通知(老企第54号)が取扱いを示しています。利用者または家族の自由な選択に基づき、事業者が通所介護の提供の一環として提供する日常生活上の便宜の経費が当たります。サービスの提供と関係のないもの(利用者の嗜好品の購入など)は、その他の日常生活費と区別されます。

通知は、受け取るときに守る基準として、次の5つを挙げています。これを満たさない費用は、受け取れません。

「その他の日常生活費」を受け取るときの基準(通知の記の2)
基準内容
① 重複しない対象の便宜と、保険給付の対象のサービスとの間に重複関係がないこと
② あいまいな名目でないお世話料、管理協力費、共益費、施設利用補償金といったあいまいな名目の費用は認められず、費用の内訳を明らかにする
③ 自由な選択と同意利用者または家族の自由な選択に基づき、事前に十分な説明を行い、同意を得る
④ 実費相当額対象の便宜を行うための実費相当額の範囲内で受け取る
⑤ 運営規程と掲示対象の便宜と額を運営規程で定め、見やすい場所に掲示する。その都度変わる額は「実費」という定め方もできる

通所介護で認められる範囲:身の回り品と教養娯楽

通知の別紙は、通所介護の「その他の日常生活費」を、利用者の希望による身の回り品と、利用者の希望による教養娯楽の2つとしています。身の回り品は、歯ブラシや化粧品など個人用の日用品で、利用者の希望を確認して提供するものです。事業者が全員に一律に提供して、全員から画一的に徴収することは認められません。

教養娯楽は、事業者がサービスの一環で行うクラブ活動や行事の材料費などが想定されています。共用の談話室のテレビやカラオケ設備の使用料のように、全員に一律に提供するものの費用を、その他の日常生活費として徴収することは認められません。

同じ通知に付いたQ&Aでは、習字、お花、絵画、刺繍などのクラブ活動の材料費は、教養娯楽に要する費用に当たると答えています。ただし、作業療法など機能訓練の一環のクラブ活動や、全員が参加する定例行事の材料費は保険給付に含まれ、別に徴収できません。利用者の趣味的活動の材料や、希望者を募る旅行の費用は、サービス提供と関係のない費用として扱われます。

その他の日常生活費に当たらない例

Q&Aは、次のような費用をその他の日常生活費ではないと答えています。利用者の嗜好による贅沢品や専用の家電の電気代は、サービス提供と関係のない費用として徴収できます。一方で、病院の売店のような場所で利用者が自分で買う費用や、事業者が個人のために単に立て替えて払った費用は、事業者として提供する便宜とは言えず、その他の日常生活費には当たりません。

つまり、サービスの一環として事業者が用意し、利用者が選んで使う物に限って、第5号の費用になります。受け取る前に、費用の名目、金額、利用者が選んだ記録、運営規程の記載を並べて確かめると、基準の①から⑤までを漏れなく点検できます。

確かめた資料と確認できていないこと

この記事は、2026年10月24日に確かめた条文と通知で書いています。e-Gov法令検索の指定基準(第96条・第100条・第105条)の現行条文と、厚生労働省の法令等データベースにある老企第54号の通知本文とQ&Aです。通知の本文は平成12年に発出された時の記載で、のちに一部改正が行われているため、現行の全文は厚生労働省の最新の通知で確かめてください。

食事の提供に要する費用の具体的な取扱い、費用の金額の水準、個別の費用の設定が基準に適合するかは、この記事では扱いません。指定権者に確認してください。通所介護の報酬と加算は通所介護費の単位数:通常規模型7〜8時間は要介護1で658単位・入浴介助加算40単位、指定の種類と人員・設備の基準は通所介護の開業の入口:指定の種類(定員19人で分かれる)・人員・設備の基準の記事で確認できます。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 利用者から受け取りたい費用を、食事の提供、おむつ代、通常の事業の実施地域外の送迎、通常より長い時間の提供、その他の日常生活費に分けて書き出し、それぞれ第96条第3項のどの号に当たるかを書く
  2. その他の日常生活費は、通知の5つの基準(保険給付との重複がない、あいまいな名目でない、自由な選択と同意、実費相当額、運営規程と掲示)に1つずつ当てはめ、全員に一律に提供して画一的に徴収するものを外す
  3. 費用ごとに、あらかじめ内容と金額を利用者または家族へ説明して同意を得る流れを決め、重要事項説明書と同意の記録の様式に費用の欄を入れる
  4. 運営規程の利用料その他の費用の額の欄と、事業所の見やすい場所の掲示に、対象の費用と金額(変動するものは「実費」)を書き、食事の費用など定めのある費用は指定権者に確認した日と内容を記録する

関連ガイドで計画をつなぐ

隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。

よくある質問

迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。

デイサービスで、介護保険の自己負担のほかに受け取れる費用は何ですか?

指定基準第96条第3項は、通常の事業の実施地域以外に住む利用者の選定による送迎の費用、通常より長い時間の提供で利用者の選定によるものの費用、食事の提供に要する費用、おむつ代、日常生活でも通常必要となる便宜で利用者に負担させることが適当と認められる費用の5つを挙げています。いずれも、あらかじめ内容と費用を説明して同意を得る必要があります(同条第5項)。

「お世話料」や「共益費」の名目で、全員から一律に費用をもらえますか?

厚生労働省の通知(老企第54号)は、お世話料、管理協力費、共益費、施設利用補償金といったあいまいな名目の費用の徴収は認められず、費用の内訳を明らかにする必要があるとしています。歯ブラシなどの日用品を全員に一律に提供して画一的に徴収することも認められません。

習字や絵画のクラブ活動の材料費は、利用者から受け取れますか?

同じ通知のQ&Aは、事業者がサービスの一環として実施するクラブ活動のために用意する材料で、利用者に負担させることが適当なもの(習字、お花、絵画、刺繍などの材料費)は、教養娯楽に要する費用としてその他の日常生活費に当たるとしています。一方、機能訓練の一環のクラブ活動や全員参加の定例行事の材料費は保険給付に含まれ、別に徴収できません。

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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