参入判断 / 更新 2026-10-17
訪問介護の事業計画に使う認知症高齢者数の将来推計(2040年584万人)
65歳以上の認知症の人は、2022年の443.2万人から2040年に584.2万人になる推計です。これは厚生労働省が公表した、九州大学の研究(令和5年度老人保健事業推進費等補助金)に基づく数字です。この記事は厚生労働省の資料を2026年10月17日に確認し、訪問介護の事業計画に関わる数字を整理したもので、認知症の人の数の推計であり、訪問介護の利用者数や売上の予測ではありません。
認知症高齢者数の推計:2022年の443.2万人から2040年の584.2万人へ
推計の基になったのは、2022年に認知症の地域悉皆調査(調査率80%以上)を行った4地域(福岡県久山町、石川県中島町、愛媛県中山町、島根県海士町)の結果です。この調査から、2022年の高齢者における認知症有病率(性年齢調整後)は12.3%、軽度認知障害(MCI)の有病率は15.5%と推計されました。
2022年の性年齢階級別の有病率が今後も一定と仮定すると、2040年の認知症の高齢者数は584.2万人、MCIの高齢者数は612.8万人です。認知症の人は2050年に586.6万人、2060年に645.1万人で、有病率は2040年の14.9%から2060年の17.7%へ上がります。年齢ごとの有病率を一定としているため、全体の有病率の上昇は、高齢者の年齢構成の変化によるものと読めます。
| 年 | 認知症の高齢者数 | 認知症の有病率 | MCIの高齢者数 | MCIの有病率 |
|---|---|---|---|---|
| 2022年 | 443.2万人 | 12.3% | 558.5万人 | 15.5% |
| 2025年 | 471.6万人 | 12.9% | 564.3万人 | 15.4% |
| 2030年 | 523.1万人 | 14.2% | 593.1万人 | 16.0% |
| 2040年 | 584.2万人 | 14.9% | 612.8万人 | 15.6% |
| 2050年 | 586.6万人 | 15.1% | 631.2万人 | 16.2% |
| 2060年 | 645.1万人 | 17.7% | 632.2万人 | 17.4% |
この記事で決めること
訪問介護の事業計画を立てる人が、厚生労働省が公表した認知症およびMCIの高齢者数と有病率の将来推計(2022〜2060年)で、認知症の人の数の向きと2012年調査との違いを確かめ、認知症の利用者への対応体制を考える前提に使うための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、2022年・2030年・2040年・2060年の認知症高齢者数と有病率を書き写した表と、認知症の利用者への対応体制を決めるための前提の記録を作成できる状態を目指します。
MCIを含めた見方:認知症とMCIの有病率の合計は約28%
資料は、MCIを「もの忘れなどの軽度認知機能障害が認められるが、日常生活は自立しているため、認知症とは診断されない状態」と説明しています。2022年の認知症とMCIの有病率の合計は約28%で、資料は「誰もが認知症になり得る」という認識のもとで、認知症基本法の理念に沿った施策を進めることが重要だと記しています。
上の表の数字をそのまま足すと、2040年の認知症とMCIの高齢者数は合わせて1,197万人(584.2万人と612.8万人の計算値)です。MCIは日常生活が自立している状態なので、訪問介護の対象になる人の数とは別に読みます。
2012年の調査との比較:認知症の有病率は下がった
資料は、2012年の有病率調査(平成23年度厚生労働科学研究費補助金「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」)と、2022年の有病率調査を並べています。認知症は2012年の462万人(有病率15.0%)から2022年の443万人(12.3%)に、MCIは400万人(13.0%)から559万人(15.5%)になりました。
認知症とMCIの合計は、2012年が28.0%、2022年が27.8%でほぼ同じです。65歳以上の人口は3079万人から3603万人へ増えているため、有病率が下がっても、認知症の人の数が大きくは減っていません。二つは別の研究による別の調査で、同じ条件の比較ではありません。
推計の読み方:認知症の人の数は訪問介護の利用者数ではない
この推計が示すのは65歳以上の認知症の人の数で、介護の認定を受けた人や訪問介護を使う人の数は含まれていません。全国の数字のみで、都道府県別・市区町村別の数字もありません。
2040年以降の数字は、2022年の有病率が今後も一定という仮定の推計です。仮定が変われば数字は変わるため、この記事の数字を利用者数や売上の予測に直接使わないでください。
認知症の利用者への対応は、日常生活自立度の確認、研修、加算の要件の確認に分かれます。自立度の確認は「認知症高齢者の日常生活自立度の確認順(主治医意見書・認定調査票)」、加算は「訪問介護の認知症専門ケア加算(Ⅰ)(Ⅱ) 1日3単位・4単位の要件と対象者の割合」で整理しています。
事業計画に使うときの確認の順序
次の表は、この推計を訪問介護の事業計画に使うときの手順の例です。制度が定めた手順ではなく、確認の順序の一例です。
| 手順 | 確認すること | 使う資料 |
|---|---|---|
| 1. 全国の向きを見る | 認知症の高齢者数が2040年の584.2万人まで増える推計であること、仮定が有病率一定であること | 厚生労働省の将来推計の資料 |
| 2. 利用者の状況を数える | 事業所の利用者のうち、認知症高齢者の日常生活自立度が確認できている人の数と割合 | 認知症高齢者の日常生活自立度の確認順(主治医意見書・認定調査票) |
| 3. 研修と加算を確かめる | 訪問介護員の受講義務の範囲と、認知症専門ケア加算の要件 | 認知症介護基礎研修と訪問介護:運営基準の条文と令和6年度Q&Aで確認する受講義務の範囲 |
| 4. 計画へ反映する | 人員・研修費の前提に、認知症の利用者への対応体制を書き、利用者数の予測とは分けて記録する | 事業計画書 |
次に読む記事
認知症の利用者が一定の割合を占める事業所の加算は、訪問介護の認知症専門ケア加算(Ⅰ)(Ⅱ) 1日3単位・4単位の要件と対象者の割合で整理しています。
訪問介護員の認知症の研修の義務の範囲は、認知症介護基礎研修と訪問介護:運営基準の条文と令和6年度Q&Aで確認する受講義務の範囲で確認できます。
一人暮らしの高齢者の世帯の見通しは、訪問介護の事業計画に使う65歳以上の単独世帯の将来推計(全国・令和6年推計)で確かめられます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 厚生労働省の資料の将来推計表から、認知症高齢者数と有病率を2022年・2030年・2040年・2060年について書き写す
- 2022年の有病率が今後も一定という仮定で作られた推計であること、MCIは認知症とは別に数えられていることを表の注に書く
- 事業所の利用者のうち、認知症高齢者の日常生活自立度が確認できている人の数を数え、全国の有病率と並べて記録する
- 認知症の利用者が増える場合に必要な研修と加算の要件を確かめ、事業計画の人員・研修費の前提に反映する
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
65歳以上の認知症の人は、今後どのくらい増える推計ですか?
厚生労働省が公表した資料では、認知症の高齢者数は2022年の443.2万人から2040年に584.2万人、2060年に645.1万人へ増える推計です。高齢者に占める有病率は、12.3%から14.9%、17.7%になります。
この推計の「認知症の人」には、軽度認知障害(MCI)も含まれますか?
含まれません。MCIは、もの忘れなどの軽度の認知機能の障害があっても日常生活は自立していて、認知症とは診断されない状態とされ、資料では認知症とは別に数えています。2040年のMCI高齢者数は612.8万人の推計です。
認知症の人が増えれば、訪問介護の利用者も同じように増えますか?
この推計は65歳以上の認知症の人の数で、介護の認定を受ける人や訪問介護を使う人の数は含みません。また2022年の有病率が今後も一定という仮定の推計で、全国の数字のみです。事業所のある地域の利用の実績は別の公的統計で確かめます。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。