運営 / 更新 2026-10-17

デジタル化・AI導入補助金で訪問介護の記録ソフトを入れる:対象者・補助額・申請前の手続き

国のデジタル化・AI導入補助金(旧称はIT導入補助金)は、介護を対象の業種の例に挙げ、会計・給与・業種に特化した業務ソフトなどの導入費の一部を補助します。通常枠の6次締切は2026年10月30日(金)17:00です。この記事は、訪問介護事業所が記録・請求ソフトの導入に使えるかを、事務局サイトと公募要領で確認した範囲で整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

結論:規模の要件を確認したうえで、通常枠の補助の対象になり得る

事務局サイトの「申請の対象となる方」のページは、対象の中小企業の例として、飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業を挙げています。通常枠の補助率は1/2以内で、補助額は、ソフトの業務プロセスが1つ以上なら5万円以上150万円未満、4つ以上なら150万円以上450万円以下です。

交付申請には、事務局が登録した「ITツール」と、そのITツールを提供する「IT導入支援事業者」が必要です。申請は、事業所が単独で行うのではなく、IT導入支援事業者と共同で、申請マイページを使って作ります。

通常枠の6次締切分は、締切日が2026年10月30日(金)17:00、交付決定日が2026年12月10日(木)(予定)、事業実施期間が交付決定から2027年5月31日(月)17:00(予定)と、事務局のスケジュールのページに載っています。

この記事は、制度の概要と申請前に確認する点を整理したものです。事業所が採択されるかどうかや、事業計画の書き方は扱いません。最終的な要件と手続きは、事務局サイトの最新の公募要領で確認してください。

この記事で決めること

訪問介護事業所の管理者や開業準備者が、国のデジタル化・AI導入補助金(通常枠)を記録・請求ソフトなどの導入費に使えるかを、対象者の規模、補助率と補助額、申請前に必要な手続き、事業計画の要件、締切と交付決定の前後の注意から確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、補助金を使うかどうかの確認メモ(規模要件の判定、導入したいソフトの用途、事前手続きの期日、交付決定の前に契約しないことの社内確認)を作成できる状態を目指します。

対象になる規模:資本金か従業員数のどちらかが基準以下

対象の判定は、業種分類ごとに決まった資本金の額(または出資の総額)と、常時使用する従業員数のうち、一方が基準以下であることで行います。常時使用する従業員とは、労働基準法第20条の「あらかじめ解雇の予告を必要とする者」と事務局サイトに書かれています。

事務局サイトの表では、サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)は、資本金5,000万円以下または従業員100人以下です。医療法人と社会福祉法人は、従業員300人以下です。従業員5人以下の商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は、小規模事業者として別に定められています。

訪問介護事業所を運営する法人が、どの業種分類に当たるかは、事務局サイトの申請対象者チェッカーで、組織形態と業種分類を選んで確認できます。チェッカーの結果は参考情報とされ、申請の要件は公募要領で確認するよう案内されています。

申請の対象となる規模(事務局サイトの表の抜粋)
組織形態・業種資本金常時使用する従業員
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円100人
医療法人、社会福祉法人(資本金の基準なし)300人
小規模事業者(商業・サービス業。宿泊業・娯楽業を除く)(資本金の基準なし)5人以下

補助の対象になる費用と、対象外の費用

通常枠の補助対象は、ソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)が必須で、これに機能拡張、データ連携ツール、セキュリティのオプションと、導入コンサルティング、導入設定・マニュアル設定・導入研修、保守サポートの役務を加えられます。ソフトは、業務プロセスを1つ以上持つものを申請します。汎用プロセスだけのソフトは申請できません。

公募要領は、補助対象外の経費も列挙しています。補助金の申請や報告の代行費、消費税、リース・レンタル契約のITツール、中古品、交付決定の前に購入したITツールなどです。記録ソフトをクラウドの月額で使う場合は、クラウド利用料として最大2年分が対象になります。

ソフトの機能が訪問介護の記録・請求に当たるかは、事務局サイトのITツール検索で、用途ごとに登録されたソフトとIT導入支援事業者を確認します。検索結果にあるソフトでも、事業所の運用に合うかどうかは、IT導入支援事業者に確認が必要です。

通常枠の補助率と補助額(事務局サイトの通常枠のページ)
区分補助率補助額業務プロセス数
小さい導入1/2以内5万円以上150万円未満1つ以上
大きい導入1/2以内150万円以上450万円以下4つ以上

申請前に先に済ませる手続きと、申請の流れ

交付申請の要件は、GビズIDプライムの取得と、SECURITY ACTIONの宣言です。GビズIDプライムの発行は、事務局サイトでおおむね2週間とされています。SECURITY ACTIONはIPAが実施する自己宣言の制度で、宣言済みアカウントIDの発行はおおむね2〜3日、宣言は一つ星または二つ星が要件です。

申請の流れは、制度の理解、GビズIDの取得とSECURITY ACTIONの宣言、IT導入支援事業者とITツールの選定、IT導入支援事業者との共同での交付申請、交付決定の順です。IT導入支援事業者から申請マイページの招待を受け、代表者氏名などを入力し、必要書類を添付し、ITツールの情報と事業計画値はIT導入支援事業者が入力します。

締切が2026年10月30日の回に出すなら、GビズIDプライムの発行期間を考えると、手続きは早めに始める必要があります。GビズIDの扱いは訪問介護の電子申請・届出システム:GビズIDと対象手続でも整理しています。

事業計画で約束すること:労働生産性の目標と、賃金要件の適用外

公募要領は、交付申請日の属する事業年度の前事業年度を基準にして、翌事業年度以降の3年間の事業計画を作り、実行することを求めています。労働生産性は、1年後に3パーセント以上、事業計画期間の年平均で3パーセント以上の向上が必要です。計算式は(営業利益+人件費+減価償却費)÷年間の事業者当たり総労働時間です。

公募要領には、1人当たり給与支給総額の引上げや、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にする要件もあります。ただし公募要領は、介護保険法に基づく保険給付の対象となる居宅サービスや施設サービスを提供する介護サービス事業者を、これらの賃金引上げ要件の適用外としています。労働生産性の要件は、この適用外の規定の対象ではありません。

適用外に当たるかの最終判断は、公募要領の原文とIT導入支援事業者への確認で行ってください。補助率が2/3以内になる場合がある条件も、公募要領の補助率欄に別に書かれています。

前事業年度の営業利益や人件費の数字が基準になるため、法人を設立して間もない事業所は、基準にできる事業年度があるかをIT導入支援事業者に確認してから進めます。

交付決定の前に購入しない・ほかの補助との関係

公募要領は、交付決定前に購入したITツールを補助対象外としています。事務局サイトの流れの説明でも、交付決定の通知を受けた申請者が補助事業者となり、補助事業を開始できるとされています。見積もりや相談は交付決定の前でも進められますが、ソフトの購入や契約は、通知を受けてからにします。

公募要領は、国と中小機構その他の独立行政法人の他の補助金等と重複する事業を、補助事業の対象に含まないことも要件にしています。都道府県の補助と同じ経費を重ねて申請できるかは、都道府県の窓口とIT導入支援事業者に確認してください。

都道府県の補助の例は訪問介護の記録ICT導入に使える都道府県の補助(令和8年度、3県の例)に、記録の電子化に関する運営基準は訪問介護の書類の電子化(基準第8条・第217条):重要事項説明書の電子交付にあります。ケアマネジャーとのやり取りの電子化は訪問介護のケアプランデータ連携システム:加入手順・費用と処遇改善加算の令和8年度特例要件も確認してください。

この記事は、個別の事業所が補助の対象になるか、採択されるかを判断するものではありません。申請を考えるときは、事務局サイトの公募要領とIT導入支援事業者の説明で、最新の内容を確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 法人の資本金と常時使用する従業員数を確認し、事務局サイトの申請対象者の表に当てはめて、対象の規模に入るかを書き出す
  2. 記録、請求、勤務表、給与計算のうち、導入したいソフトの用途を決め、事務局サイトのITツール検索で、その用途のソフトが登録されているかとIT導入支援事業者の名前を控える
  3. GビズIDプライムの取得とSECURITY ACTIONの宣言を、締切から逆算して先に済ませる。GビズIDプライムはおおむね2週間かかる
  4. 交付決定の通知を受ける前にはソフトを購入・契約しないことと、事業計画で求められる労働生産性や賃金の目標を、社内で実行できるかを確認してから、IT導入支援事業者と申請を進める

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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