運営 / 更新 2026-10-16

訪問介護事業所が職員のマイナンバーを扱うときの決まり:利用目的の通知・本人確認・保管と廃棄

職員を雇う訪問介護事業所は、源泉徴収票や健康保険・厚生年金保険の届出書に職員の個人番号(マイナンバー)を書いて提出するため、番号法の取扱いルールの対象になります。番号法の条文と個人情報保護委員会のガイドライン(事業者編・令和7年6月一部改正)で、使える目的、本人確認、保管と廃棄、利用者の番号を求めてはならないことを確認します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護事業所の事業者が、職員や登録ヘルパーのマイナンバー(個人番号)を源泉徴収票や社会保険の届出のために集めて保管するとき、何のために使えるか、どう本人確認するか、いつまで保管して廃棄するか、利用者の番号を求めてよいかを、番号法と個人情報保護委員会のガイドラインで確認する。ための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、職員のマイナンバー取扱いメモ(利用目的の通知文、本人確認の方法、保管場所、保存期限と廃棄の担当)を作成できる状態を目指します。

結論:職員の番号は決まった書類のためだけに集めて使い、不要になったら廃棄する

ガイドラインは、従業員などを有するすべての事業者が、従業員の個人番号を給与所得の源泉徴収票や健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届などに書いて、税務署や日本年金機構などに提出する事務を行うと説明しています。訪問介護事業所が登録ヘルパーを雇っている場合も、この事務は同じように必要になります。

番号法は、個人番号を使える事務を限っています。ガイドラインは、従業員の営業成績などを管理するために個人番号を使うことや、そのための特定個人情報ファイルを作ることはできないと例示しています。番号法が認める事務に当たらない目的の管理には、職員の個人番号を使えません。

この記事は、番号法の条文とガイドラインの原文で確認できた範囲を書いています。取扱規程の文面や、事業所ごとの安全管理措置の水準の判断はしません。

利用目的は、源泉徴収票の作成と社会保険の届出をまとめて通知する

個人番号は、番号法が定めた事務の範囲の中から具体的な利用目的を特定したうえで使います。ガイドラインは、雇用契約に基づく源泉徴収票の作成のために提供を受けた番号を、あとから健康保険・厚生年金保険の届出に使うときは、利用目的を変更して本人へ通知する必要があると説明しています。

一方で、最初から源泉徴収票の作成事務と健康保険・厚生年金保険の届出事務などをすべて利用目的として特定して通知しておけば、利用目的を変えずに番号を使えるとしています。通知の方法として、社内LANでの通知、利用目的を書いた書類の提示、就業規則への明記、自社のホームページへの掲載などが挙げられています。

職員から番号を受け取る前に、どの書類に書くかを一覧にしておくと、通知する利用目的の範囲を決めやすくなります。書類の手続きの流れは訪問介護員の社会保険の加入要件:4分の3基準・週20時間以上の短時間労働者・賃金要件の撤廃と訪問介護員の退職時手続き:雇用保険・社会保険・源泉徴収票の期限で確かめられます。

本人確認は、番号の確認と身元の確認をそろえる

番号法第16条は、本人から個人番号の提供を受けるとき、個人番号カードの提示を受けることなどの本人確認の措置をとるよう求めています。ガイドラインの概要では、本人から提供を受ける場合は、個人番号カードの提示を受ける方法と、カード代替電磁的記録の送信を受ける方法があります。

それ以外の場合は、番号確認書類(住民票の写し等)と本人の身元確認書類(運転免許証等)を組み合わせて確認します。困難な場合の特例も規則で定められていますが、細かい条件はガイドラインと規則で確かめる必要があります。

確認した方法と日付を職員ごとに記録しておくと、あとから何を確認したかを説明できます。登録ヘルパーが多い事業所では、採用時の面談や初回の研修の日に確認を済ませる運用にしておくと、書類をそろえる手間が減ります。

扶養親族の番号は、職員が扶養控除等申告書に書いて提出する

ガイドラインは、事業者が従業員に対して、給与の源泉徴収事務のために、扶養親族の個人番号を記載した扶養控除等申告書の提出を求めると説明しています。従業員は、所得税法第194条第1項に基づいて申告書を提出する義務を負う立場なので、個人番号関係事務実施者として扱われます。

このため、事業所が職員の家族に直接番号の提供を求めるのではなく、職員が申告書に書いて提出する形になります。申告書の書き方や、扶養に入れるかどうかの判断は、税務署と税理士に確認する事項で、この記事では扱いません。

保管できる期間と廃棄:事務が終わり保存期間が過ぎたら速やかに廃棄する

ガイドラインは、個人番号を保管できるのは、番号を使う事務を行う必要があるあいだに限ると説明しています。雇用契約のように継続する関係がある場合は、源泉徴収票の作成や社会保険の届出のために継続的に保管できます。

個人番号が書かれた書類のうち、法令で保存期間が決まっているものは、その期間は保管します。たとえば扶養控除等申告書は、所得税法施行規則第76条の3により、提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年を経過する日まで保存することになっています。ガイドラインは、この期間を過ぎたら、個人番号が書かれた申告書を原則としてできるだけ速やかに廃棄しなければならないとしています。

電子データで保存している場合も、事務に使う必要がなく保存期間を過ぎたときは、原則としてできるだけ速やかに番号を廃棄または削除します。ガイドラインは、保存期間が過ぎたあとの廃棄や削除を前提にした保管の仕方やシステムにすることが望ましいとしています。

退職した職員の分は、書類ごとの保存期間が過ぎたものから順に廃棄します。保存期間は書類によって違うため、書類ごとの一覧にして、廃棄の時期を決めておきます。

利用者の個人番号は、番号法の例外に当たらない限り求めても集めてもいけない

番号法第15条は、第19条各号に当たって特定個人情報の提供を受けられる場合を除き、他人に個人番号の提供を求めてはならないと定めています。第20条は、同じく第19条各号の場合を除き、他人の個人番号を含む特定個人情報を収集し、保管してはならないと定めています。ここでいう他人は、自己と同一の世帯に属する者以外の人です。

事業所が利用者の個人番号を集めたり保管したりしてよいかは、番号法第19条各号のどれかに当たるかで決まります。利用者や家族の書類に個人番号が書かれていても、事業所が控えとして保管すると、収集・保管の制限に当たる可能性があるため、コピーを取る前に第19条各号に当たるかを確かめます。

利用者の個人情報の漏えい時の対応は訪問介護の利用者情報の漏えい:個人情報保護委員会への報告・本人通知と開示請求への対応、利用者情報の秘密保持は訪問介護の秘密保持等(基準第33条):守秘義務と個人情報の同意で確認できます。

税理士・社会保険労務士に任せるときの確認事項

個人番号を扱う事務を外部に委託する場合、番号法第11条は、委託する側が委託先に対して必要かつ適切な監督を行わなければならないと定めています。ガイドラインは、委託先が委託者自らが行うべき安全管理措置と同等の措置を講じられるかを、あらかじめ確認しなければならないと説明しています。

委託先と結ぶ契約には、秘密保持義務、委託する業務に必要な範囲を超える事業所内からの特定個人情報の持ち出しの禁止、目的外利用の禁止、再委託における条件、漏えい等が起きたときの委託先の責任、委託契約の終了後の特定個人情報の返却または廃棄、従業者への監督・教育、契約内容の遵守状況の報告などを盛り込まなければならないとされています。

外部の事務所に書類を預けるときは、番号が書かれた書類の受け渡しの方法と、委託が終わったときの返却または廃棄の扱いを、契約書で確かめます。特定個人情報が漏えいしたときの報告は、個人情報保護委員会の規則とガイドラインの別添に定めがあるため、そちらで確かめてください。

この記事で確認していないこと

この記事は、番号法の条文とガイドライン(事業者編・令和7年6月一部改正)で確認できた範囲だけを書いています。中小規模の事業者の安全管理措置、取扱規程の書き方、外注のヘルパーなど個人への報酬の支払いに関する番号の取扱い、番号を記載する各届出書の書式は、この記事では確認していません。

外注のヘルパーとの契約の整理は訪問介護員の業務委託:労働者に当たるかの判断基準とフリーランス法の明示・60日払いに分けています。個別の事案で番号を集めてよいか迷うときは、顧問の税理士・社会保険労務士や、届出先の窓口に確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 源泉徴収票の作成と、健康保険・厚生年金保険などの届出に使うことを利用目的として書き出し、就業規則・社内連絡・書面のどれで職員へ通知するかを決める
  2. 個人番号カードの提示を受けるか、番号確認書類と身元確認書類を組み合わせて確認するかを決め、確認した方法を職員ごとに記録する
  3. 個人番号を書いた書類と電子データの保管場所、見られる担当者、持ち出しの禁止を決め、扶養控除等申告書などの保存期限を書類ごとに一覧にする
  4. 保存期限を過ぎた書類と電子データの廃棄・削除の担当と時期を決め、税理士や社会保険労務士に事務を任せる場合は、契約に秘密保持・目的外利用の禁止・終了後の返却又は廃棄を入れているか確かめる

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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