運営 / 更新 2026-10-12

訪問介護の看取り期の利用者への対応:2時間ルールの弾力化と特定事業所加算の看取り期対応体制

医師が回復の見込みがないと診断した利用者に訪問介護を提供するとき、2時間未満の間隔の訪問を合算しなくてよい扱いがあります。特定事業所加算にも、看取り期の利用者への対応体制を評価する要件があります。このページは、厚生労働省の通知・Q&A・告示で、算定の扱い、体制の要件、記録と同意の確認事項を整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

看取り期の利用者への訪問で2時間未満の間隔の訪問を合算しない扱いと、特定事業所加算の看取り期対応体制の要件を、通知・Q&A・告示で確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、看取り期対応の確認表(医師の診断を確認した日と方法・訪問間隔と算定方法の記録・対応方針の同意記録・連携先の連絡体制)を作成できる状態を目指します。

2時間未満の訪問を合算しなくてよい扱い

訪問介護は、前回の訪問からおおむね2時間未満の間隔で再訪問したとき、それぞれの所要時間を合算して1回として算定するのが原則です。令和3年3月の通知改正(介護保険最新情報Vol.934)で、合算の除外に、医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者に訪問介護を提供する場合が加わりました。もう1つの除外は、緊急時訪問介護加算を算定する場合です。

合算の考え方そのものは訪問間隔が2時間未満のときの所要時間の合算で確認できます。

令和3年度介護報酬改定Q&A(Vol.4)の問7は、この扱いを「看取り期の利用者に訪問介護を提供する場合の2時間ルールの弾力化」と呼んでいます。看取り期の利用者に頻回で柔軟な訪問介護を提供した手間を評価するものとされ、2時間未満の間隔で訪問しても、所要時間を合算せずにそれぞれの所定単位数を算定できます。

合算するかどうかを選べる点と、適用の始まり

問7は、従来どおり合算して算定してもよいかという問いに「可能」と答えています。合算して算定する場合と合算せずに算定する場合を比べ、合算した方の所定単位数が高いときは、合算してよいとされています。弾力化は、合算しない算定を義務づけるものではありません。

この扱いが適用されるのは、医師が回復の見込みがないと診断した時点以降です。適用回数や日数の要件は設けていない、とも答えています。診断の時点を事業所が確認できなければ、弾力化を使った根拠が残らないため、診断を確認した日と方法を記録に残しておくと、後から算定の根拠を説明しやすくなります。

このQ&Aは令和3年3月に発出されたものです。令和6年度の改定で内容が改められたかは、このページでは確認していません。算定の前に、最新の通知とQ&Aを指定権者の案内とあわせて確認します。

緊急時訪問介護加算の訪問との違い

緊急時訪問介護加算を算定する訪問も、2時間未満の間隔でも合算しない除外にあたります。この除外は加算を算定することが条件で、利用者が看取り期かどうかは問いません。看取り期の弾力化は、加算の算定とは別に、医師の診断を条件にしています。

加算の算定要件は緊急時訪問介護加算の算定要件で確認できます。

特定事業所加算の看取り期対応体制の要件

令和6年度の改定で、特定事業所加算(Ⅰ)と(Ⅲ)の重度要介護者等対応要件に、看取り期の利用者への対応体制が加わりました(令和6年度改定Q&A Vol.1 問2)。厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)では、要介護4・5の利用者などの割合が20%以上であること、または看取り期の対応体制の要件にすべて適合することの、どちらかを満たせばよいとされています。加算の全体像は特定事業所加算の算定要件で確認できます。

告示が定める看取り期の対応体制の要件は、次のa〜eのすべてに適合することです。

看取り期の対応体制の要件(厚生労働大臣が定める基準 三 イ(7)(二)。厚生労働省の告示で確認、2026-10-12)
項目告示で確認できる内容
a 連絡体制病院、診療所または指定訪問看護ステーションの看護師との連携により、24時間連絡できる体制を確保し、必要に応じて訪問介護を行える体制を整備していること
b 対応方針と同意看取り期における対応方針を定め、利用開始のときに、利用者またはその家族等へ内容を説明し、同意を得ていること
c 方針の見直し医師、看護職員、訪問介護員等、介護支援専門員その他の職種による協議のうえ、看取りの実績等を踏まえて、適宜、対応方針を見直すこと
d 職員研修看取りに関する職員研修を行っていること
e 実績前年度または算定日が属する月の前3月間に、医師が回復の見込みがないと診断し、かつ対応方針に基づく説明を受けて同意したうえでサービスを受けている利用者が1人以上いること

24時間連絡できる体制の中身

令和6年度改定Q&A(Vol.1)の問2は、24時間連絡できる体制について、事業所内に訪問介護員等が常に勤務することは要らないと答えています。夜間でも、訪問介護事業所から連携先の訪問看護ステーション等へ連絡でき、必要なときは事業所からの緊急の呼び出しに応じて出勤する体制を指します。

具体的には、管理者を中心に、連携先と夜間の連絡・対応の取り決め(緊急時の注意事項や利用者の病状等の情報共有の方法を含む)をしていること、訪問介護員等による観察項目の標準化(何が観察されれば連携先へ連絡するか)をしていること、事業所内研修などでその内容を訪問介護員等へ周知していることが挙げられています。

対応方針・記録・同意で通知が求めること

留意事項通知(老企第36号。令和6年3月の改正は介護保険最新情報Vol.1213)は、看取り期の対応方針を、管理者を中心に、介護職員、看護職員、介護支援専門員等による協議のうえで定めるよう求めています。方針には、事業所の考え方、訪問看護ステーション等との連携体制(緊急時の対応を含む)、利用者等との話し合いでの同意・意思確認・情報提供の方法、情報提供の資料と同意書等の様式などを含めるとされています。

サービス提供では、利用者の身体状況の変化とこれに対する介護の記録、サービス提供の各プロセスで利用者と家族の意向を把握し、それに基づくアセスメントと対応の経過の記録を、介護記録等に残し、多職種で共有します。利用者の状態や家族の求めに応じて、記録の開示や写しの提供をするときは、利用者等に理解しやすい資料を作って代替してよいとされています。

入院したあとも、家族や入院先の医療機関との継続的な関わりが必要です。入院先の医療機関が事業所へ利用者の状態を伝えられるよう、入院のときに本人または家族へ説明し、文書で同意を得ておくこととされています。

口頭で同意を得たときは、介護記録に説明した日時と内容、同意を得た旨を書きます。職員間の相談の日時と内容、本人の状態、家族への連絡状況も記載します。

本人の意思を尊重する進め方

通知は、看取り期のサービス提供で、厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等を参考にするよう求めています。ガイドラインは、本人が医療・介護従事者から構成されるチームと十分に話し合い、本人による意思決定を基本とすることが最も重要な原則だとしています。本人の意思は変化しうるため、話し合いを繰り返すことも大切とされています。

訪問介護の現場では、利用者や家族の意向が日によって変わる場面があります。意向を聞いた日と内容をその都度記録に残し、ケアマネジャーや連携先の看護師と共有する運用は、通知が求める記録とも合います。

このページが判断しないこと

このページは、訪問介護費に看取り専用の加算があるかを個別に判断しません。訪問介護の報酬の構造を示した令和6年1月の審議会資料では、訪問介護に看取り・ターミナルの名がつく加算は見当たりませんでしたが、算定できるかは指定権者や国保連合会へ確認します。

死亡日や死亡月の算定は、確認できた公的資料がないため扱いません。入院・死亡・中止時の請求は入院・死亡・サービス中止になったときの算定と請求で確認できます。

加算の届出や、個々の利用者が看取り期にあたるかの判断は、医師の診断と指定権者の案内に従います。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 利用者について、医師が回復の見込みがないと診断したことを、ケアマネジャーや家族を通じて確認した日と方法を記録し、その日以降の訪問から2時間ルールの扱いを分けて管理する
  2. 2時間未満の間隔で訪問した日は、合算した場合と合算しない場合の単位数を比べ、どちらで請求したかとその理由を訪問記録に残す
  3. 特定事業所加算の看取り期対応体制を届け出ているときは、対応方針の様式、利用開始時の説明と同意の記録、研修の実施記録、実績に数える利用者の一覧を確認表にまとめる
  4. 連携先の訪問看護ステーション等との夜間の連絡手順と、利用者の観察項目の標準化の内容を、職員への周知記録とあわせて管理者が定期的に見直す

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

次に読む: 訪問介護の特定事業所加算(Ⅰ)〜(Ⅴ)の単位(加算率)と算定要件一覧(体制・人材) →