運営 / 更新 2026-10-01
訪問介護の訪問間隔が2時間未満のときの所要時間の合算と例外(20分未満の頻回訪問)
訪問介護では、前回の訪問からおおむね2時間未満の間隔で再び訪問した場合、それぞれの所要時間を合算して1回の訪問として算定します。ただし、緊急時訪問介護加算を算定する訪問などと、要件を満たす20分未満の身体介護中心型の頻回訪問は例外です。この記事は、厚生労働省の留意事項通知(老企第36号)と、その令和6年4月時点の文言を引用した兵庫県の手引きから、所要時間の決まり方、合算の範囲と例外、20分未満の訪問を一連のサービスとして合計できる場合を整理します。
この記事で決めること
前回の訪問からおおむね2時間未満で再訪問した場合に所要時間を合算して1回として算定する扱いと、その例外(緊急時訪問介護加算・20分未満の身体介護中心型の頻回訪問)、20分未満の訪問を一連のサービスとして合計できる場合を区別するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、訪問間隔が2時間未満の訪問の合算判定表を作成できる状態を目指します。
所要時間は訪問介護計画の標準的な時間で決まる
留意事項通知は、訪問介護の所要時間を、実際に行われた時間ではなく、訪問介護計画に位置付けられた内容を行うのに要する標準的な時間とすると定めています。報酬は、その標準的な時間がどの時間区分に当たるかで決まります。
通知は、所要時間は介護支援専門員やサービス提供責任者が行うアセスメントとマネジメントにより、利用者の意向や状態像に従って設定されるべきものだとし、訪問介護計画の作成時には硬直的な運用にならないよう留意することを求めています。訪問の実績時間の長短だけでは、区分は変わりません。
おおむね2時間未満の間隔は所要時間を合算する
通知は、訪問介護は在宅の要介護者の生活パターンに合わせて提供されるべきであり、1回の長時間の訪問介護を複数回に区分して行うことは適切ではないとしています。そのため、前回提供した指定訪問介護からおおむね2時間未満の間隔で指定訪問介護が行われた場合は、それぞれの所要時間を合算するものとしています。合算後の所要時間がどの区分に当たるかで算定します。
合算の除外は、平成27年度改正版の通知では緊急時訪問介護加算を算定する場合でした。令和6年4月時点の文言を引用した兵庫県の手引きでは、これに加えて、医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者に訪問介護を提供する場合も除かれています。自事業所の利用者がどちらかに当たるかは、指定権者に確認してください。
「おおむね」の幅について、通知に分単位の基準は示されていません。間隔が2時間に近い訪問を組むときは、合算の対象になるかを、指定権者または国保連に確認してから計画します。また、1人の利用者に複数の訪問介護員等が交代して訪問した場合も、1回の訪問介護としてその合計の所要時間に応じた所定単位数を算定し、訪問介護員等ごとに複数回として算定することはできません。
| 場面 | 所要時間の扱い |
|---|---|
| 前回の指定訪問介護からおおむね2時間未満の間隔で再訪問した(通常の訪問) | それぞれの所要時間を合算し、合算後の時間に応じた区分で算定する |
| 緊急時訪問介護加算を算定する訪問、または医師が回復の見込みがないと診断した者への訪問(令和6年4月時点の文言) | 合算の対象から除かれる |
| 20分未満の身体介護中心型で、頻回の訪問の要件を満たす | 2時間未満の間隔で提供でき、所要時間を合算せずにそれぞれの所定単位数を算定する |
| 1人の利用者に複数の訪問介護員等が交代して訪問した | 1回の訪問介護として、その合計の所要時間に応じた所定単位数を算定する |
20分未満の身体介護中心型の頻回訪問の要件
留意事項通知は、所要時間20分未満の身体介護中心型について、次のいずれにも該当する場合に、頻回の訪問(前回の訪問からおおむね2時間の間隔を空けずにサービスを提供するもの)を行うことができるとしています。対象者は、要介護1または2で周囲の者による日常生活に対する注意を必要とする認知症の人(日常生活自立度のランクⅡ、Ⅲ、Ⅳ、M)か、要介護3から5で障害高齢者の日常生活自立度のランクB以上の人です。
そのうえで、担当の介護支援専門員が開催するサービス担当者会議で、1週間のうち5日以上、頻回の訪問を含む20分未満の身体介護の提供が必要と判断されていること、会議は提供日の属する月の前3月の間に1度以上開かれてサービス提供責任者が参加していること、事業所が24時間体制で利用者またはその家族等から電話等による連絡に常時対応できる体制にあること、事業所が指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と一体的に運営しているか、その指定を併せて受ける計画を策定していること(要介護1または2の利用者に提供する場合は、一体的に運営している事業所に限る)が求められます。24時間体制と定期巡回との関係は届出が必要とされています。
頻回の訪問を含む20分未満の身体介護中心型を算定した月は、その利用者の1月当たりの訪問介護費に、定期巡回・随時対応型訪問介護看護費の所定単位数(要介護状態区分に応じたもの)を限度とする上限がかかります。頻回の訪問の要件を満たす事業所でも、その月に頻回の訪問を含まない利用者には、この上限を適用しません。夜間・早朝・深夜の加算は夜間・早朝・深夜の加算と時間帯の判定で説明しています。20分未満の身体介護中心型は、排泄介助、体位交換、服薬介助、起床介助、就寝介助など、定期的に必要な短時間の身体介護を想定する区分で、単なる安否確認や健康チェックに若干の身体介護を伴う場合は算定できません。
20分未満の訪問を一連のサービス行為として合計する場合
所要時間が算定要件を満たさない訪問(生活援助中心型の20分未満など)は、そのままでは訪問介護費の算定対象になりません。ただし通知は、複数回にわたる訪問介護を一連のサービス行為とみなすことができる場合に限り、それぞれの所要時間を合計して1回の訪問介護として算定できるとしています。
通知の例は、午前に訪問介護員等が診察券を窓口に提出し(所要時間20分未満)、昼に通院介助を行い、午後に薬を受け取りに行く(所要時間20分未満)場合です。それぞれの所要時間が20分未満なので生活援助として別々には算定できませんが、一連のサービス行為(通院介助)とみなして所要時間を合計し、身体介護中心型に引き続き生活援助を行う場合の1回の訪問介護として算定できます。どの行為が身体介護と生活援助のどちらに当たるかは、訪問介護でできること・できないこと一覧で確認できます。
訪問の組み方と事業計画への反映
短い訪問を2時間未満の間隔で重ねると、合算により区分が変わり、1回あたりの所定単位数が想定と異なります。訪問の回数に1訪問あたりの単位数を掛ける見込みは、合算の対象になる訪問を先にまとめてから置きます。訪問件数の上限の決め方は訪問介護の訪問件数上限の決め方で、算定の計算の流れは訪問介護の介護報酬の算定構造で確認できます。
訪問介護計画には、訪問の内容と標準的な所要時間、開始時刻を位置付け、計画の書き方は訪問介護計画の作成・変更サイクルに沿って整えます。個別の訪問が合算の対象かの最終判断は指定権者と国保連の審査によります。この記事は厚生労働省の平成27年度改正版の留意事項通知と、令和6年4月時点の文言を引用した兵庫県の手引きを確認した内容で、厚生労働省が公表する現行の通知全文とは細部が異なる場合があります。迷う事例は指定権者へ確認してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 利用者ごとに、訪問介護計画に位置付けた訪問の開始時刻・標準的な所要時間・前回の訪問との間隔を一覧にする
- 前回からおおむね2時間未満の訪問は所要時間を合算し、合算後の時間がどの区分に当たるかで算定単位を見込む
- 緊急時訪問介護加算を算定する訪問などと、20分未満の身体介護中心型の頻回訪問の要件(対象者・サービス担当者会議・24時間体制・定期巡回との関係・届出)を満たす訪問は、合算の例外として分けて確認する
- 20分未満の訪問を一連のサービス行為として合計する場合は、行為のつながりと所要時間の内訳を記録し、迷う事例は指定権者へ確認する
一次資料
制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(確認日 2026-09-28)
- 厚生労働省老健局「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日老企第36号)平成27年度改正版」(確認日 2026-09-28)
- 兵庫県「訪問介護の手引き(令和6年4月)」(確認日 2026-10-01)