開業準備 / 更新 2026-10-10
訪問介護を開業する法人形態6種の比較(設立の手間・目的・決算後の報告)
訪問介護の指定を申請する法人には、株式会社・合同会社・一般社団法人・NPO法人・医療法人・社会福祉法人などの形があります。この記事は、法務省・内閣府・e-Gov法令検索・厚生労働省・自治体の公開ページで確かめた事実だけを、設立の手間、設立に要る費用と期間、定款の目的、決算後の報告の4つの列で並べた比較表です。どの形が向いているかの判断は書きません。
この記事で決めること
訪問介護の指定申請をする法人の形を選ぶ段階で、株式会社・合同会社・一般社団法人・NPO法人・医療法人・社会福祉法人の設立の手間、定款上の目的、決算後の報告を、法務省・内閣府・e-Gov・厚生労働省・自治体の公開ページで確かめた事実だけで比べるための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、法人形態の選定メモ(候補2形態の設立の手間・期間・定款の目的・決算後の報告の担当を並べた表)を作成できる状態を目指します。
この記事の役割と、先に読む記事との分担
指定を受ける法人と資金の考え方は訪問介護の開設主体・法人・資金調達に、設立後に出す労働保険・社会保険・税務署への届出は訪問介護の法人設立後に出す労働保険・社会保険・税務署への届出の期限と提出先に、すでにある事業所を引き継ぐときの手続は訪問介護事業所を引き継ぐ・法人形態を変えるときの指定手続き(廃止と新規指定)にあります。
この記事は、まだ法人を作っていない人が、どの形の法人を作るかを選ぶ段階の比較に絞ります。介護保険法第七十条第二項は、申請者が都道府県の条例で定める者でないときは指定をしてはならないと定めており、法人であることの要件は、指定権者の案内で確認します。
6つの法人形態の比較表(設立の手間・目的・決算後の報告)
表の内容は、各行の出典に書いた公式ページで確認した事実だけです。確認日は2026年10月10日です。登録免許税などの金額は、資本金の額などで変わります。
| 法人形態 | 設立の手間と費用 | 定款上の目的 | 決算後の報告・公告 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 株式会社 | 定款は公証人の認証を受けないと効力を生じない。設立登記の登録免許税は資本金の額×1000分の7で、15万円に満たないときは15万円 | 会社の定款に事業目的を書き、登記される。介護保険の事業を行う旨は、指定権者が求める書き方を確認する | 定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社は損益計算書も)を公告する | 会社法第30条・第440条、法務省の株式会社の設立手続のページ |
| 合同会社 | 定款は公証人の認証を受ける必要がない。設立登記の登録免許税は資本金の額×1000分の7で、6万円に満たないときは6万円 | 定款の絶対的記載事項に「目的」が入っている | 会社法第440条の公告は、条文上「株式会社は」と書かれている | 会社法第575条・第576条・第440条、法務省の合同会社の設立手続のページ |
| 一般社団法人 | 設立時社員2名以上が定款を作り、公証人の認証を受ける。設立の登記で成立する | 定款を作成して公証人の認証を受ける(認証を受けない定款は効力を生じない) | 定時社員総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大規模法人は損益計算書も)を公告する | 一般法人法第10条・第13条・第128条、法務省の一般社団法人制度Q&A |
| NPO法人(特定非営利活動法人) | 所轄庁へ設立認証を申請し、書類を2週間縦覧、縦覧期間の終了後2か月以内に認証または不認証が決まる。認証後2週間以内に登記して成立。受理から成立まで2か月程度(最長2か月と2週間) | 特定非営利活動は20分野で、「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」がその1つ | 毎事業年度終了後3か月以内に、事業報告書・活動計算書・貸借対照表・財産目録・役員名簿などを所轄庁へ提出する(群馬県の案内) | 群馬県のNPO設立・事業報告書等のページ、内閣府のNPO法人制度の概要 |
| 医療法人 | 病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院を開設する社団または財団が対象で、主たる事務所の所在地の都道府県知事の認可を受けて設立する | 訪問介護は医療法人の附帯業務として行えるとされ、新たに行うときは定款または寄附行為の変更が必要 | 毎会計年度終了後3か月以内に、事業報告書等と監事の監査報告書を都道府県知事に届け出る | 医療法第39条・第42条・第44条・第52条、厚生労働省「医療法人の附帯業務について」 |
| 社会福祉法人 | 老人居宅介護等事業は第二種社会福祉事業。設立は、定款について所轄庁の認可を受ける | 定款に「社会福祉事業の種類」を定める | 毎会計年度終了後3か月以内に、計算書類等と財産目録等を所轄庁に届け出る | 社会福祉法第2条・第31条・第59条、老人福祉法第5条の2 |
表の読み方と、確認できていないこと
老人福祉法は、介護保険法の訪問介護に係る居宅介護サービス費の支給に係る者などの居宅で入浴、排せつ、食事等の介護を行う事業を「老人居宅介護等事業」と定義しており、社会福祉法はこれを第二種社会福祉事業に挙げています。社会福祉法人の行を、この2つの条文からまとめました。
医療法人の行は、病院などを開設することが法人の前提です。訪問介護だけを行うために医療法人を新しく作れるかどうかは、確認した資料に書かれていません。都道府県の医療法人の担当課に確認します。
NPO法人の登録免許税、一般社団法人の登録免許税と公証人の手数料、社会福祉法人と医療法人の設立にかかる期間は、この記事では確認できていないため書いていません。表に載せた金額は、確認できたものだけです。
法人形態ごとの税負担、社員や理事の責任、資金調達のしやすさは、この記事では比べていません。指定権者が法人の形について別の要件を置いていないかは、申請先の案内で確認してください。
この比較を使って次に確かめること
候補の形を2つまでに絞り、表の4つの列を自社の計画の言葉に置き換えます。たとえば、設立までの期間を開業日から逆算し、設立後の報告の担当者を決めます。
そのうえで、申請先の指定権者の事前相談で、候補の形で申請できることと、定款の目的の書き方を確認します。定款の目的の書き方は訪問介護の指定申請と定款の事業目的:法人格・登記事項証明書の確認にまとめています。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 開業予定日から逆算して、法人の設立に使える期間を決める
- 表の6形態から候補を2つまでに絞り、設立の手間と決算後の報告を自社の担当者の言葉に置き換える
- 申請先の指定権者の事前相談で、候補の形で申請できることと定款の目的の書き方を確認する
- 確認できなかった項目(登録免許税・設立期間など)は、所轄庁や法務局に問い合わせて記録する
一次資料
制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 法務省「株式会社の設立手続(発起設立)について」(確認日 2026-10-10)
- 法務省「合同会社の設立手続について」(確認日 2026-10-10)
- 法務省「一般社団法人及び一般財団法人制度Q&A」(確認日 2026-10-10)
- e-Gov法令検索「会社法・一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の該当条文」(確認日 2026-10-10)
- 群馬県「NPO法人の設立申請の手続き/事業報告書等の提出」(確認日 2026-10-10)
- e-Gov法令検索「医療法 第39条・第42条・第44条・第52条」(確認日 2026-10-10)
- 厚生労働省「医療法人の附帯業務について(医政発第0330053号・最終改正平成26年3月19日)」(確認日 2026-10-10)
- e-Gov法令検索「社会福祉法 第2条・第31条・第59条、老人福祉法 第5条の2」(確認日 2026-10-10)