運営 / 更新 2026-10-23

訪問時に利用者が倒れている・亡くなっているのを見つけたとき:消防への通報と事業所の連絡

訪問先で利用者が倒れている、または亡くなっているのを見つけたとき、消防と警察のどちらへ先に連絡するかは、現場で迷いやすい点です。松江市消防本部と松江市在宅医療・介護連携支援センターの『救急時の対応で困ったこと Q&A』(2022年2月22日改訂)は、まず消防へ通報し、救急隊が明らかに死亡していると観察したときに消防から警察を要請する、と答えています。これは松江市の資料で全国共通の取扱いとは限らないため、この記事は、その内容と、運営基準第27条・第37条、医師法第20条・第21条の読み方を整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

松江市の資料の答え:まず消防へ通報する

松江市消防本部のQ&Aは、亡くなっている場合の連絡先を問う質問に、まず救急搬送が必要と判断して消防へ通報してほしいと答えています。到着した救急隊が「明らかに死亡している状態」と観察したときは、消防から警察を要請するとされています。

施錠されて家の中へ入れない場合も同じ考え方で、体調不良などで救急搬送が必要になる可能性があるため消防へ通報し、家に入れない状態であることを伝えれば、救助隊を出動させることができるとされています。警察が必要な場合は、消防からも連絡するとされています。

この記事で決めること

訪問介護員が訪問先で利用者が倒れている、または亡くなっているのを見つけたときに、消防と警察のどちらへ連絡するか、通報中に何を求められるか、事業所としてどの条文に沿って連絡と記録を整えるかを知りたい人向け。ための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、利用者が倒れている・亡くなっているのを見つけたときの初動メモ(訪問介護員向け1枚):通報先、通報時に伝える事項、事業所への連絡順、事前指示書の有無、記録欄を作成できる状態を目指します。

「明らかに死亡している状態」は救急隊が観察して判断する

Q&Aには参考として、明らかに死亡している状態と判断する基準が6項目載っています。意識レベルがJCS-300で痛み刺激に反応しない、呼吸が全く感じられない、総頸動脈で脈拍が全く触知できない、瞳孔の散大が認められ対光反射が全くない、体温が感じられず冷感が認められる、死後硬直または死斑が認められる、の6つです。

資料は、この判断を「到着した救急隊により観察されれば」としており、訪問介護員に死亡の判断を求める記載はありません。見つけた人は、死亡かどうかを自分で判断してから連絡先を選ぶのではなく、救急搬送が必要かもしれない状態として消防へ通報する、という読み方になります。

通報中に聞かれること:場所、状況、心肺蘇生の口頭指導

Q&Aによると、119番では最初に救急車を向かわせる場所を特定するため、住所・氏名・近くの目標となる建物等を聞かれます。場所が特定できたら、傷病者の状態を知るため、いつ・だれが・どこで・どうなったかを聞かれます。かかりつけの病院があれば、そのときに伝えるとされています。

通信指令員が心肺停止状態と判断した場合は、心肺蘇生法の口頭指導が行われます。資料は、これは強要ではなく協力依頼であり、無理と判断した場合は差し控えてよいとしています。口頭指導を受けるときは、携帯電話をスピーカーフォンにすると、通信指令員と会話しながら応急手当ができるとされています。

救急車が来るまでにしておいてほしいことは、家族等に連絡し、通信指令員の指示に従って救急車の到着を待つことと答えています。救急要請の状態やタイミングに悩むときは、かかりつけ医がいれば医師に相談して指示を仰ぎ、連絡がつかない場合や緊急と思われる場合は、ためらわず119番通報をしてほしいとされています。

蘇生を希望しない取り決めがある利用者の場合

Q&Aは、蘇生を希望していない場合は、本人、家族、主治医の間でなんらかの取り決めがなされているので、その事前指示書に従って対応してほしいと答えています。取り決めがない場合や、あっても主治医に連絡がつかない場合は、通常どおり119番通報をします。取り決めがある場合は、到着した救急隊に事前指示書等を提示して伝えるとされています。

資料は事前指示書の把握の仕方までは書いていません。この記事の見解として、事前指示書の有無は、見つけた訪問介護員がその場で探すよりも、事業所が利用者ごとに事前に確かめておくほうがよい事項と考えます。

事業所の連絡と記録:基準第27条と第37条

指定居宅サービス基準第27条は、訪問介護員等が、現に指定訪問介護の提供を行っているときに利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、速やかに主治の医師への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならないと定めています。倒れている利用者を見つけた場面は、この「その他必要な場合」にあたるかが論点になります。条文の読み方は緊急時等の対応(基準第27条)で整理しています。

第37条は、利用者に対する指定訪問介護の提供により事故が発生した場合に、市町村、利用者の家族、居宅介護支援事業者等へ連絡を行い、必要な措置を講じることを求め、事故の状況と採った処置の記録も求めています。倒れている、または亡くなっているのを訪問時に見つけたことが、「指定訪問介護の提供により事故が発生した場合」にあたるかは、この記事の資料からは判断できません。事故の連絡や報告を要するかは、保険者である市町村に確認してください。

連絡と記録の中身は事故発生時の対応(基準第37条)にあります。

松江市のQ&Aには、ケアマネジャーや事業所への連絡を直接書いた箇所はありません。家族等への連絡を求める記載(Q7)があるだけです。事業所への報告の順番や連絡網は、事業所が事前に決めておく事項になります。

医師法第20条・第21条は医師に課された条文

医師法第20条は、医師が自ら診察しないで診断書や処方箋を交付することなどを禁じ、診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合の死亡診断書を例外としています。第21条は、医師が死体を検案して異状があると認めたときに、24時間以内に所轄警察署へ届け出なければならないと定めています。

どちらも主語は医師で、訪問介護員や事業所に届出を課す条文ではありません。訪問介護員が消防へ通報したあとの死亡の確認や死亡診断書、警察への届出は、駆けつけた救急隊、医師、警察の役割で、この記事では手順を扱いません。

資料の範囲と、事業所が確かめる順番

松江市のQ&Aは、松江市消防本部と松江市在宅医療・介護連携支援センターが作った地域資料で、松江市の運用を前提にしています。ほかの地域で同じ順番になるとは限らないため、事業所のある地域の消防本部に、倒れている利用者を見つけたときの通報と、警察への連絡の流れを確かめてください。資料は画像のみのPDFで、この記事は2026年10月23日にページ画像を目で読み直して書いています。

利用者が倒れている・亡くなっているのを見つけたときの連絡先(松江市Q&Aと基準の読み方)
場面資料・条文が書いていることこの記事で言えないこと
倒れている・反応がないまず消防へ通報(松江市Q&A Q1・Q2)通報前に死亡かどうかを判断する方法
亡くなっているように見える消防へ通報し、救急隊が明らかな死亡と観察すれば消防から警察を要請(Q2)訪問介護員が警察へ直接連絡する場合の扱い
通報中場所、いつ・だれが・どこで・どうなったかを聞かれる。心肺蘇生の口頭指導は協力依頼で、無理なら差し控えてよい(Q3・Q6)心肺蘇生の手技
蘇生を希望しない取り決め事前指示書に従い、救急隊に提示。取り決めがなければ通常どおり119番(Q10)事前指示書の作り方
事業所の連絡と記録基準第27条は主治医への連絡等、第37条は提供により事故が発生した場合の連絡と記録見つけた場面が第37条の事故にあたるか(保険者に確認)

関連ページ

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実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 訪問先で利用者が倒れている、または反応がないのを見つけたときは、まず消防(119番)へ通報すると書き、事業所の管理者への連絡はその後であることを手順の頭に置く
  2. 通報時に伝える事項として、住所・氏名・近くの目標となる建物等、続けて、いつ・だれが・どこで・どうなったかを書き、かかりつけの病院があれば伝えることも加える
  3. 利用者ごとに、主治医や家族の連絡先と、蘇生を希望しないなどの事前の取り決めの有無を訪問介護計画の控えにそろえ、事前指示書があれば救急隊に見せることを書く
  4. 事業所への報告を受けた後に、市町村・家族・居宅介護支援事業者への連絡、事故の状況と採った処置の記録を、基準第37条の対象になるかを保険者に確かめたうえで進める順を書き、確かめた日と回答を記録する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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