参入判断 / 更新 2026-10-14

訪問介護のフランチャイズ加盟前に本部へ確認する8項目(公取委の考え方)

訪問介護のフランチャイズに加盟する前に、本部へ確認する事項は、公正取引委員会の「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」が8項目に整理しています。ロイヤルティ、契約の解除、予想売上げの根拠などです。このページは、その8項目を訪問介護で聞く質問に置き換え、指定を受ける主体と収支の見方とあわせて整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護のフランチャイズへの加盟を検討する開業準備者が、本部に何を確認すべきか、予想売上げの説明をどう見るか、指定を受ける主体は誰かを、公正取引委員会の考え方と介護保険法第70条で確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、フランチャイズ本部への確認表(開示が望ましい8項目への回答、予想売上げの根拠と算定方法、自分の地域での損益分岐点の再計算)を作成できる状態を目指します。

指定を受けて報酬を請求するのは、加盟する事業者自身

介護保険法第70条は、居宅サービスの指定を、居宅サービス事業を行う者の申請により、事業所ごとに行うと定めています。フランチャイズに加盟する場合も、事業を行う者として指定を申請するのは加盟する事業者です。

人員の配置、運営基準の遵守、報酬の請求、指定後の届出の責任は、指定を受けた事業者にあります。本部の名前を使う場合も、訪問介護開業の順番にある法人設立から指定申請までの手続は、自分で進めることになります。

公正取引委員会の考え方が示していること

この考え方は、平成14年4月24日に公正取引委員会が示し、令和3年4月28日まで改正されています。冒頭は、フランチャイズ・システムが従来の小売業と外食業だけでなく、各種のサービス業など広い分野で使われていると書いています。

加盟者は本部の包括的な指導を受けるしくみに入るため、加盟希望者の判断が適正に行われることが重要だとしています。本部には十分な情報の開示が望ましいとし、加盟希望者にも、事業内容を自分で十分に検討する必要があると書いています。

この考え方は、独占禁止法上の問題を例示したもので、個々の契約が違反かどうかは個別の事案ごとに判断されるとも書いています。このページも、契約の適否は判断しません。

加盟前に本部へ確認する8項目を、訪問介護の質問にする

考え方は、本部が加盟者の募集のときに開示することが望ましい事項として、次の8つを挙げています。右の列は、訪問介護の加盟希望者が本部に聞く質問の例で、考え方の文言ではありません。

ロイヤルティの算定方法は、何に率や額をかけるのかを必ず確かめます。訪問介護の売上は介護報酬が中心なので、ロイヤルティが介護報酬の請求額にかかるのか、保険外の収入にもかかるのかを聞くと、手元に残る額の計算ができます。

加盟募集で開示が望ましいとされる8項目(公正取引委員会の考え方)と、訪問介護での質問の例
開示が望ましい事項訪問介護で聞く質問の例
加盟後の商品等の供給条件記録ソフトや備品の購入先は本部の指定か、指定でない先も使えるか
事業活動上の指導の内容、方法、回数、費用負担開業後の指導は誰が何回行い、その費用は誰が負担するか
加盟に際して徴収する金銭の性質、金額、返還の有無と条件加盟金は何の対価か。指定が下りなかった場合に返還されるか
ロイヤルティの額、算定方法、徴収の時期と方法介護報酬と保険外収入のどちらにいくらかかり、いつ払うか
本部と加盟者の決済の仕組み、融資の利率等本部が代金を立て替えたり融資したりする場合の条件は何か
損失に対する補償の有無、経営不振のときの経営支援利用者が集まらないときの本部の支援の内容は何か
契約の期間、更新、解除、中途解約の条件と手続中途解約の違約金はいくらか。指定を返上するときの扱いはどうか
同一または類似の事業を近くで営むこと(ドミナント出店)の可否近くに本部や他の加盟者が事業所を出す可能性はあるか

予想売上げと人手不足の説明は、根拠のある事実で示されているか

考え方は、本部が予想売上げや予想収益を示すときは、類似した環境にある既存店舗の実績など、根拠のある事実と合理的な算定方法に基づく必要があり、その根拠や算定方法を加盟希望者に示す必要があると書いています。既存店の平均から作ったモデル収益は、モデルであることを明示して、予想売上げではないことを理解させるよう求めています。

営業時間や臨時休業を説明するときも、特定の時間帯の人手不足など、その時点で分かっている経営に悪影響を与える情報は、加盟希望者に示すことが望ましいと書いています。人手不足に関する情報を示すなら、類似した環境の既存店舗の求人状況など、実態に即した根拠が必要だとしています。

訪問介護は、人員基準を満たす職員を確保する必要があります。地域の採用の見通しは訪問介護員の労働市場で自分でも確認し、本部の説明と見比べます。

本部が示す数字は、そのまま事業計画に入れません。自分の地域の利用者数、訪問回数、人件費で、訪問介護の損益分岐点から計算し直します。

このページの範囲

このページが確認したのは、介護保険法第70条と、公正取引委員会の考え方の「本部の加盟者募集について」の開示事項です。特定の本部の条件や、加盟すれば収益が出るかどうかは扱っていません。

考え方は、小売商業のフランチャイズについて、中小小売商業振興法が一定の事項の開示と説明を義務づけていると書いています。訪問介護の本部がこの法律の対象かどうかは、このページでは判断しません。

考え方は、法律の対象かどうかにかかわらず、本部が重要な事項を書面で交付して説明することが望ましいとしています。契約の適否は、弁護士などの専門家にも確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 加盟を検討する本部に、8項目(供給条件、指導、加盟時の金銭、ロイヤルティ、決済、損失の補償、契約の期間と中途解約、近隣の出店)の説明を書面で求める
  2. ロイヤルティが何にかかるかを確かめ、介護報酬の請求額と保険外収入のどちらに、いくらかかるかを月の売上で計算する
  3. 予想売上げやモデル収益の根拠となる既存事業所の実績と算定方法を示してもらい、モデルか予想かを区別して記録する
  4. 本部の数字を使わず、自分の地域の利用者数と人件費で損益分岐点を計算し直してから、契約書の内容を専門家に確認する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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