運営 / 更新 2026-10-17
看護小規模多機能型居宅介護の指定基準:看護職員の員数・管理者・登録定員
看護小規模多機能型居宅介護は、小規模多機能型居宅介護の通い・訪問・宿泊に、看護を組み合わせた地域密着型サービスで、指定は市町村長が行います。この記事は、訪問介護の事業者が医療ニーズのある利用者の受け皿を考えるときに、介護保険法第78条の2と、指定地域密着型サービス基準第170条〜第175条を読み、看護職員・管理者・登録定員・設備を小規模多機能型居宅介護と訪問介護の基準と比べるための整理です。指定の申請手順、報酬、収支、個別の事業所が基準を満たすかの判断は扱いません。
指定するのは市町村長:基本方針は訪問看護と小規模多機能の2つを踏まえる
訪問介護は都道府県知事が指定しますが、看護小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスで、指定は市町村長が行います。介護保険法第78条の2第1項は、指定は事業所ごとに行い、指定をする市町村長がその長である市町村の被保険者への給付についてのみ効力を有すると定めています。
基準第170条は、この事業の基本方針を、訪問看護の基本方針と小規模多機能型居宅介護の基本方針を踏まえて行うものと定めています。つまり、小規模多機能型居宅介護の基準に、看護の体制が加わる構成です。
第4項は、申請者が市町村の条例で定める者でないとき、従業者や人員が市町村の条例で定める基準を満たしていないときなどは、指定をしてはならないと定めています。事業所を置く市町村の担当窓口に、申請できる者の条件と公募の有無を確かめる必要があります。市町村の条例の内容は読んでいないため、この記事には書いていません。
この記事で決めること
訪問介護の事業者が医療ニーズのある利用者の受け皿を考えるときに、看護小規模多機能型居宅介護の指定する者、看護職員・介護支援専門員・管理者・登録定員・設備の基準を条文で確かめ、小規模多機能型居宅介護・訪問介護との違いと自社で足りない点を洗い出すための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、看護小規模多機能型居宅介護の基準チェック表(事業所の所在する市町村と担当窓口・常勤の保健師または看護師の候補・看護職員の常勤換算の見込み・介護支援専門員の候補・管理者の要件への該当・登録定員の案・宿泊室の見込みの広さ・市町村に確かめた日と回答)を作成できる状態を目指します。
従業者の員数:小規模多機能の枠に、常勤の保健師または看護師と看護職員2.5以上が加わる
基準第171条第1項は、日中の時間帯について、常勤換算方法で、通いサービスの提供に当たる者を利用者の数が3又はその端数を増すごとに1以上、訪問サービスの提供に当たる者を2以上と定めています。夜間及び深夜は、勤務に当たる者を1以上と、宿直勤務に当たる者を必要な数以上です。小規模多機能型居宅介護では訪問サービスが1以上ですが、看護小規模多機能型居宅介護は2以上です。
看護の体制は第3項〜第5項にあります。従業者のうち1以上は常勤の保健師または看護師であること、常勤換算方法で2.5以上は看護職員(保健師、看護師、准看護師)であること、通いサービスと訪問サービスの従業者のうち1以上は看護職員であることが求められます。
利用者の数は前年度の平均値で、新規に指定を受ける場合は推定数です(第2項)。宿泊サービスの利用者がいない場合で、夜間及び深夜を通じて訪問サービスを提供するための連絡体制を整備しているときは、夜間及び深夜の勤務と宿直勤務に当たる者を置かないことができます(第6項)。
居宅サービス計画と看護小規模多機能型居宅介護計画の作成に専ら従事する介護支援専門員を置くこと、その介護支援専門員が別に厚生労働大臣が定める研修を修了していることも定められています(第11項・第12項)。サテライト型の特例は、訪問サービスの従業者を2人以上とできることや、看護職員の員数を常勤換算方法で1以上とすることなどがありますが、この記事では細目を読んでいません(第8項〜第10項)。
管理者と代表者:認知症の介護の経験と研修の修了、または保健師・看護師
基準第172条第1項は、事業所ごとに専らその職務に従事する常勤の管理者を置くと定め、管理上支障がない場合は、事業所の他の職務や他の事業所、施設等の職務に従事できるとしています。ここは訪問介護の管理者と同じ書き方です。
違いは第3項です。管理者は、特別養護老人ホームや指定小規模多機能型居宅介護事業所などの従業者、または訪問介護員等として3年以上認知症である者の介護に従事した経験があり、別に厚生労働大臣が定める研修を修了している者、または保健師もしくは看護師でなければなりません。小規模多機能型居宅介護と違い、保健師または看護師であることでも要件を満たす点が、看護小規模多機能型居宅介護の管理者の特徴です。
第173条は、事業者の代表者について、認知症である者の介護に従事した経験または保健医療サービス・福祉サービスの経営に携わった経験があり、別に厚生労働大臣が定める研修を修了している者、または保健師もしくは看護師であることを求めています。研修の内容と受講できる機会は、この記事では確認していません。
登録定員と設備:登録29人以下、宿泊室は1室7.43平方メートル以上
基準第174条第1項は、登録定員を29人以下(サテライト型は18人以下)と定めています。第2項は、通いサービスの利用定員を登録定員の2分の1から15人まで、宿泊サービスの利用定員を通いサービスの利用定員の3分の1から9人までの範囲で定めるとしています。登録定員が25人を超える場合の通いサービスの利用定員は条文の表で決まりますが、この記事では表を読んでいません。
基準第175条第1項は、居間、食堂、台所、宿泊室、浴室、消火設備その他の非常災害に際して必要な設備などを備えると定めています。宿泊室は、1室の定員を1人(処遇上必要な場合は2人)、1室の床面積を7.43平方メートル以上とします。事業所が病院または診療所で定員1人の宿泊室は、6.4平方メートル以上とできます(第2項第2号)。
第4項は、利用者の家族や地域住民との交流の機会が確保される観点から、住宅地または住宅地と同程度の地域にあることを求めています。これらの登録定員と設備の基準は、小規模多機能型居宅介護とおおむね同じ数字です。
小規模多機能型居宅介護・訪問介護の基準との比較
指定する者、看護の体制、管理者の要件のいずれも、小規模多機能型居宅介護や訪問介護の基準とは構成が異なります。
| 項目 | 看護小規模多機能型居宅介護 | 小規模多機能型居宅介護 | 訪問介護 |
|---|---|---|---|
| 指定する者 | 市町村長(法第78条の2第1項) | 市町村長 | 都道府県知事 |
| 訪問サービスの従業者 | 常勤換算方法で2以上(第171条第1項) | 1以上(第63条第1項) | 訪問介護員等を常勤換算方法で2.5以上(居宅サービス基準第5条第1項) |
| 看護の体制 | 常勤の保健師または看護師1以上、看護職員は常勤換算2.5以上(第171条第3項・第4項) | 看護師または准看護師1以上(第63条第4項) | 看護職員の定めなし |
| 管理者 | 専らその職務に従事する常勤。認知症の介護の経験と研修の修了、または保健師・看護師(第172条) | 専らその職務に従事する常勤。認知症の介護の経験と研修の修了(第64条) | 専らその職務に従事する常勤。支障がなければ兼務可(居宅サービス基準第6条) |
| 登録定員 | 29人以下(第174条) | 29人以下(第66条) | 定員の定めなし |
| 宿泊室・設備 | 宿泊室は1室7.43平方メートル以上(第175条) | 宿泊室は1室7.43平方メートル以上(第67条) | 専用の区画と必要な設備及び備品等(居宅サービス基準第7条) |
訪問介護の事業者が確かめる順番
以下は条文の定めではなく、事業所内の進め方の例です。まず、事業所を置く予定の市町村の担当窓口に、申請できる者の条件と公募の有無を確かめます。市町村の条例と運用が、広がれるかどうかを左右するためです。
次に、常勤の保健師または看護師と、常勤換算2.5以上の看護職員を確保できるかを書き出します。看護職員の確保は、小規模多機能型居宅介護にない要件で、広がりの可否を分ける点です。報酬と収支は、この記事の範囲外です。
小規模多機能型居宅介護との差は小規模多機能型居宅介護の指定基準:市町村が指定、員数・管理者・登録定員で、看護の体制の土台になる訪問看護ステーションの基準は訪問看護ステーションの指定基準:看護職員の員数・管理者・設備(基準第60条〜第62条)で確認できます。
ほかのサービスとの指定の主体と人員の比べ方は訪問介護から広げる5サービスの比較:指定の主体・人員・管理者の兼務で、訪問介護自体の人員基準は訪問介護の人員基準(必要人数・常勤換算2.5以上・サービス提供責任者・管理者の兼務)で確認できます。
同じ地域密着型サービスで共同生活住居を持つ認知症対応型共同生活介護の基準は認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の指定基準:共同生活住居・計画作成担当者・夜勤で確認できます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 看護小規模多機能型居宅介護を置く予定の市町村を決め、担当窓口に、申請できる者の条件(市町村の条例)と公募の有無を確かめ、確かめた日と回答をチェック表の最初の行に書く
- 常勤の保健師または看護師1以上と、看護職員(准看護師を含む)の常勤換算2.5以上を確保できるかを、候補者ごとに資格と勤務時間で書き出す
- 通いサービス・訪問サービス・夜間及び深夜の勤務・宿直に必要な従業者と、計画の作成に専ら従事する介護支援専門員の候補を書き、管理者が認知症の介護の経験と研修の修了、または保健師・看護師のどれに当たるかを整理する
- 登録定員の案と、宿泊室の数と1室の広さの見込みを整理し、チェック表を持って担当窓口に相談して、確かめた日と回答を記録する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。