運営 / 更新 2026-11-03
グループホームの運営指導で確認される書類:厚生労働省の確認項目と確認文書
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の運営指導では、厚生労働省が定めた「確認項目」に沿って確認され、書類は「確認文書」に挙げられたものが中心になります。入居時のアセスメントと診断書、認知症対応型共同生活介護計画、運営推進会議の記録、身体的拘束等の書類を中心に、項目と確認文書を原文で一覧にし、指導の前に自分で点検する手順をまとめます。
確認項目と確認文書の位置づけ
厚生労働省の運営指導マニュアルの別添「確認項目及び確認文書」は、サービスの種類ごとに、運営指導で確認する項目と、それを確かめるための文書の例を示しています。この記事は、そのうち認知症対応型共同生活介護の項(資料内139〜143ページ)を整理したものです。
別添の「はじめに」は、確認文書として複数例示されているものは、その1つの確認で目的が達成されるなら複数を求めなくてよいと示しています。また、確認文書として例示されていても運営基準には明記されていないものは、提出がなくても基準違反にはならないとも書いています。
この記事で決めること
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)事業所の運営指導を前に、行政が確認する項目と、用意する書類を、厚生労働省の標準の確認項目・確認文書の原文で点検したい事業者向け。グループホームを開業する事業者が、運営指導の準備の見通しを持つ場面も含む。ための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、認知症対応型共同生活介護の運営指導の点検表(1枚):第90条から第104条までと共通の確認項目ごとに、確認文書の名前、置き場所、入居者ごとの認知症対応型共同生活介護計画とアセスメント・モニタリングの最新の状態、運営推進会議の直近の記録、不足の有無を作成できる状態を目指します。
個別サービスの質に関する事項:入居時の書類・計画・身体的拘束等
別添の認知症対応型共同生活介護の項は、確認項目を2つの区分に分けています。1つ目の「個別サービスの質に関する事項」には、設備(第93条)、内容及び手続の説明及び同意(第3条の7)、入退居(第94条)、サービスの提供の記録(第95条)、指定認知症対応型共同生活介護の取扱方針(第97条)、認知症対応型共同生活介護計画の作成(第98条)、介護等(第99条)が並びます。
訪問介護の項と比べると、入退居の行があることが目立ちます。確認項目は、入居申込者が認知症であることを確認しているか、心身の状況、生活歴、病歴等の把握に努めているか、の2つで、確認文書にはアセスメントの結果、モニタリングの結果、計画、診断書が挙がっています。住まいとして暮らす入居者を受け入れる段階の書類も見られると読めます(この読み方は別添の記載ではなく、この記事の整理です)。
| 確認項目(条項) | 確認文書 |
|---|---|
| 設備(第93条) | 平面図(行政機関側が保存しているもの)。確認項目は、指定申請時(更新時含む)または直近の変更届の平面図に合致しているか、使用目的に沿って使われているか(どちらも目視) |
| 内容及び手続の説明及び同意(第3条の7) | 重要事項説明書(利用申込者または家族の同意があったことがわかるもの)、利用契約書 |
| 入退居(第94条) | アセスメントの結果がわかるもの、モニタリングの結果がわかるもの、認知症対応型共同生活介護計画(利用者または家族の同意があったことがわかるもの)、診断書 |
| サービスの提供の記録(第95条) | サービス提供記録、モニタリングの結果がわかるもの。確認項目は、サービスの提供日、内容、利用者の状況などの記録 |
| 指定認知症対応型共同生活介護の取扱方針(第97条) | 身体的拘束等の記録(身体的拘束等がある場合)、適正化の指針、適正化検討委員会の開催状況及び結果がわかるもの、適正化のための研修の開催状況及び結果がわかるもの、外部または運営推進会議による評価の結果 |
| 認知症対応型共同生活介護計画の作成(第98条) | 認知症対応型共同生活介護計画(利用者または家族の同意があったことがわかるもの)、アセスメントの結果がわかるもの、サービス提供記録、モニタリングの結果がわかるもの |
| 介護等(第99条) | 雇用の形態(常勤・非常勤)がわかるもの、サービス提供記録 |
取扱方針と計画の確認項目:委員会・評価の公表から計画の変更まで
第97条の確認項目は、緊急やむを得ない場合を除いて身体的拘束等を行っていないか、行う場合に切迫性・非代替性・一時性の要件を全て満たしているか、態様と時間、利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録しているか、の順です。続けて、適正化のための委員会を3月に1回以上開催しているか、指針を整備しているか、研修を定期的に開催しているか、が並びます。この項では、この3つに努力義務の注記は付いていません。
最後の確認項目は、自ら提供するサービスの質の評価を行い、定期的に外部の者または運営推進会議による評価を受け、結果を公表しているか、です。確認文書は「外部又は運営推進会議による評価の結果」です。
第98条の確認項目は、利用者の心身の状況、希望、置かれている環境等を踏まえているか、介護従業者と協議のうえで援助の目標と具体的なサービスの内容等を定めているか、本人や家族に説明して同意を得ているか、の順です。続いて、計画の実施状況の把握を行っているか、必要に応じて計画の変更を行っているか、という項目です。
体制に関する事項:管理者・運営規程・運営推進会議・防災の書類
2つ目の区分は「個別サービスの質を確保するための体制に関する事項」です。従業者の員数(第90条)、管理者(第91条)、受給資格等の確認(第3条の10)、利用料等の受領(第96条)、緊急時等の対応(第80条)、運営規程(第102条)、勤務体制の確保等(第103条)、定員の遵守(第104条)、業務継続計画の策定等、非常災害対策、衛生管理等、地域との連携等(第34条)、虐待の防止などが並びます。表の条項は、別添が指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準から抽出したものと注記している番号です。
従業者の員数と管理者の確認項目には、計画作成担当者が必要な研修を受けているか、管理者が必要な研修を受けているかが入っており、確認文書にも研修を修了したことがわかるものが挙がっています。
| 確認項目(条項) | 確認文書 |
|---|---|
| 従業者の員数(第90条) | 従業者の勤務体制及び勤務実績がわかるもの(例:勤務体制一覧表、勤務実績表)、勤怠状況がわかるもの(例:タイムカード、勤怠管理システム)、資格要件に合致していることがわかるもの(例:資格証の写し、研修を修了したことがわかるもの) |
| 管理者(第91条) | 管理者の雇用形態がわかるもの、勤務体制及び勤務実績がわかるもの、勤怠状況がわかるもの、研修を修了したことがわかるもの。確認項目は、常勤専従か、兼務している場合は兼務体制が適切か |
| 利用料等の受領(第96条) | 請求書、領収書 |
| 運営規程(第102条) | 運営規程(事業の目的及び運営の方針、従業者の職種・員数及び職務内容、利用定員、指定認知症対応型共同生活介護の内容及び利用料その他の費用の額、入居に当たっての留意事項、非常災害対策、虐待の防止のための措置に関する事項、その他運営に関する重要事項の8項目) |
| 定員の遵守(第104条) | 国保連への請求書控え。確認項目は、入居定員及び居室の定員を上回っていないか |
| 非常災害対策(第82条の2) | 非常災害時の対応計画(管轄消防署へ届け出た消防計画またはこれに準ずる計画)、運営規程、避難・救出等訓練の実施状況がわかるもの、通報・連絡体制がわかるもの。確認項目に、訓練で運営推進会議を活用し地域住民の参加が得られるよう連携に努めているかがある |
| 地域との連携等(第34条) | 運営推進会議の記録。確認項目は、おおむね2月に1回以上開催しているか、活動状況の報告を行い評価を受けているか、要望や助言が記録されているか、会議録が公表されているか |
運営指導の前に、自分で点検する手順
別添の認知症対応型共同生活介護の項の確認項目を左の列に写し、右の列に確認文書の名前と事業所での置き場所を書いていきます。そのうえで、入居者ごとに入居時のアセスメントの結果と診断書、同意の日付と署名の入った認知症対応型共同生活介護計画、モニタリングの結果、サービス提供記録が、直近の分まで揃っているかを1人ずつ見ます。
管理者と計画作成担当者は、雇用形態、勤務体制一覧表、勤怠の記録に加えて、研修を修了したことがわかる書類を照らします。運営規程は8項目が揃っているか、平面図が届出の内容と合っているかを目視の前に見直しておきます。運営推進会議の記録は、おおむね2月に1回の開催が続いているか、会議録の公表まで含めて確かめておくと安心です。
足りない文書があるときは、運営基準に書かれている文書から先に整える進め方が、別添の「はじめに」の趣旨に合います。この順番は別添に書かれた手順ではなく、この記事の整理です。訪問介護の運営指導の確認文書は別の記事の運営指導の確認項目チェックリストにまとめています。
この記事で確認した範囲と、次に確かめること
2026年11月3日に、厚生労働省の運営指導マニュアルの別添PDFの認知症対応型共同生活介護の項で、項目と文書名を原文で確認しました。別添のPDFの本文に作成日・改訂日の表記は見当たりませんでした。この記事の表に載せたのは、原文で確かめた主な行だけで、勤務体制の確保等、業務継続計画、介護現場の生産性の向上、衛生管理等、秘密保持等、広告、苦情処理、事故発生時の対応、虐待の防止などの行は載せていません。
自治体が独自に求める書類や様式、運営指導の通知から当日までの日程は、この記事では扱っていません。実際に求められる書類は、事業所のある都道府県・市町村の案内で確かめてください。個別の運営基準違反の有無を、この記事で判断することはできません。
次に知りたいことは、認知症対応型共同生活介護の人員・設備の条件は認知症対応型共同生活介護の指定基準、基本報酬の単位は認知症対応型共同生活介護の基本報酬、開業後の収支の見通しは認知症対応型共同生活介護の事業計画で確かめられます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 別添(認知症対応型共同生活介護)の確認項目を左の列に写し、右に確認文書の名前を並べて、置き場所を書く
- 入居者ごとに、入居時のアセスメントの結果と診断書、同意の署名と日付入りの認知症対応型共同生活介護計画、モニタリングの結果、サービス提供記録が直近の分まで揃っているかを確かめて表に書く
- 管理者と計画作成担当者ごとに、雇用形態、勤務体制一覧表、勤怠の記録、研修を修了したことがわかる書類を確かめ、運営規程の8項目と平面図が届出の内容と合っているかを見直す
- 運営推進会議の記録(おおむね2月に1回)、身体的拘束等の記録・指針・委員会・研修、感染症と虐待防止の記録、非常災害時の訓練の記録のうち不足しているものから先に整え、整えた日と担当者を表に残す
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省老健局総務課介護保険指導室「介護保険施設等運営指導マニュアル(令和4年3月策定・令和6年7月改訂)」(Ⅰ 基本編 第4章 監査への変更/Ⅱ 実践編 第3章 運営指導の実施)(確認日 2026-10-14)
- 厚生労働省老健局総務課介護保険指導室「介護保険施設等運営指導マニュアル 別紙2 別添「確認項目及び確認文書」(605 認知症対応型共同生活介護)」(別添 605 認知症対応型共同生活介護(資料内139〜143ページ)、はじめに)(確認日 2026-11-03)