運営 / 更新 2026-10-06
訪問介護の運営指導の確認項目と確認文書:自己点検表(個別サービスの質・体制の全項目)
訪問介護の運営指導で行政が確認する項目と、そのとき見る書類は、厚生労働省の運営指導マニュアルの別添「確認項目及び確認文書」の訪問介護(101)に項目ごとに定められています。この記事は、その項目名と確認文書の名前を表にし、項目ごとの解説記事へのリンクを付けたもので、書類の置き場所を決める自己点検に使えます。確認項目は行政が確認する最低限の範囲で、法令の遵守事項の全部ではありません。
この記事で決めること
運営指導で確認される訪問介護の確認項目と確認文書を項目ごとに並べ、自事業所の書類の置き場所と不足を自己点検するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、運営指導の確認項目ごとの書類の置き場所・最新の更新日・担当者を書いた自己点検表を作成できる状態を目指します。
確認項目と確認文書の位置づけ(確認日2026年10月6日)
マニュアルの別添は、自治体ごとに違っていた確認項目をそろえ、運営指導を効率よく行うために作られました。確認項目以外は特段の事情がない限り確認せず、確認文書以外の文書は原則求めないと定められています。ただし、確認文書の内容に不備があり確認項目を確かめられない場合は、それ以外の文書の提示を求められることがあります。
別添の冒頭には、確認文書として複数の例が挙がっているときは、そのうち1つで目的が達成されれば複数を求めなくてよいこと、運営基準に明記のない文書は提出がなくても基準違反にはならないことが書かれています。以下の表の「見る文書」は、この別添に例として挙がっている名称です。自治体が事前提出を求める様式や、自己点検シートの提出は、自治体の運用によります(指定権者に確認してください)。
個別サービスの質に関する確認項目(利用者3名程度の一連の記録)
この区分は、利用者ごとに、説明と同意から計画、提供、記録までが一連でそろっているかを見ます。マニュアル本文は、気になった利用者など3名程度を抽出して関係する一連の文書を確認すると説明しています(施設の巡回を想定した記述を含むため、訪問介護で同じ人数かは指定権者に確認してください)。表の条は、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)の条番号です。
身体的拘束等は、行っていないことの確認に加え、行う場合は切迫性・非代替性・一時性の3要件を満たすか、態様・時間・利用者の心身の状況・緊急やむを得ない理由を記録しているかが項目になっています。拘束が無い事業所でも、記録の様式と判断の手順を決めておくと、項目に答えやすくなります。
| 確認項目(基準の条) | 行政が見る点 | 見る文書(例) | 詳しい記事 |
|---|---|---|---|
| 内容及び手続の説明及び同意(第8条) | 利用申込者又は家族へ説明し同意を得ているか。重要事項説明書の内容に不備が無いか | 重要事項説明書(同意があったことがわかるもの)、利用契約書 | 利用契約・重要事項説明・記録の流れ |
| 心身の状況等の把握(第13条)・居宅介護支援事業者等との連携(第14条) | サービス担当者会議等に参加し、ケアマネジャーや他サービスと連携しているか | サービス担当者会議の記録 | サービス提供・ケアマネ連携・月次報告 |
| 居宅サービス計画に沿ったサービスの提供(第16条) | 居宅サービス計画に沿ったサービスが提供されているか | 居宅サービス計画、訪問介護計画(利用者又は家族の同意があったことがわかるもの) | 訪問介護計画の作成・変更サイクル |
| サービスの提供の記録(第19条) | サービス提供日・内容・利用者に代わって受ける費用の額などが記載されているか。具体的なサービス内容が記録されているか | 居宅サービス計画、サービス提供記録 | サービスの提供の記録(基準第19条) |
| 指定訪問介護の具体的取扱方針(第23条) | 緊急やむを得ない場合を除き身体的拘束等を行っていないか。行う場合に3要件と記録があるか | 身体的拘束等の記録(身体的拘束等がある場合) | 身体的拘束等:原則禁止と緊急時の記録 |
| 訪問介護計画の作成(第24条) | 日常生活全般の状況と希望を踏まえ、目標と具体的な内容を書き、居宅サービス計画に基づくか。説明・同意・交付、実施状況の把握と変更があるか | 居宅サービス計画、訪問介護計画、アセスメントの結果がわかるもの、モニタリングの結果がわかるもの | 訪問介護計画の作成・変更サイクル |
個別サービスの質を確保するための体制に関する確認項目
この区分は、事業所として体制が整っているかを見ます。マニュアルは、この区分の確認項目と確認文書の全部または一部について、現場に行かなくても確認可能と判断できる場合は、実地以外の方法(オンライン会議システム等)を使えるとしています。委員会・指針・研修・訓練の項目は、実施した記録と次回の予定を同じ場所にまとめておくと、日付で示しやすくなります。
運営規程は8項目(事業の目的と運営の方針、従業者の職種・員数・職務の内容、営業日と営業時間、サービスの内容と利用料その他の費用、通常の事業の実施地域、緊急時等の対応方法、虐待の防止のための措置、その他運営に関する重要事項)を定めているかが項目です。員数と管理者は、勤務体制一覧表や勤務実績、タイムカード、資格証の写しなどで確かめられる形にしておくと、点検しやすくなります。
| 確認項目(基準の条) | 行政が見る点 | 見る文書(例) | 詳しい記事 |
|---|---|---|---|
| 訪問介護員等の員数(第5条) | 員数が適切か。必要な資格を有しているか | 勤務体制一覧表・勤務実績表、タイムカード・勤怠管理システム、資格証の写し | 人員基準 |
| 管理者(第6条) | 常勤専従か。兼務なら兼務体制が適切か | 管理者の雇用形態がわかるもの、勤務体制・勤務実績、勤怠状況 | 管理者とサービス提供責任者の責務 |
| 受給資格等の確認(第11条) | 被保険者資格、要介護認定の有無と有効期限を確認しているか | 介護保険番号・有効期限等を確認している記録等 | — |
| 利用料等の受領(第20条) | 費用徴収が適切か。領収書を発行しているか | 請求書、領収書 | — |
| 緊急時等の対応(第27条) | 緊急事態が発生したとき、速やかに主治の医師に連絡しているか | 運営規程、サービス提供記録 | 緊急時等の対応 |
| 運営規程(第29条) | 重要事項8項目を定めているか | 運営規程 | 運営規程の必須記載事項 |
| 勤務体制の確保等(第30条) | 事業所の訪問介護員等がサービスを提供しているか。研修の機会があるか。ハラスメント防止の方針を明確にしているか | 勤務体制・勤務実績、雇用の形態(常勤・非常勤)、研修の計画及び実績、ハラスメント防止の方針 | 勤務体制の確保等 |
| 業務継続計画の策定等(第30条の2) | 業務継続計画を策定し、周知・研修・訓練を定期的に行い、見直しているか | 業務継続計画、研修と訓練の計画及び実績 | 虐待防止・業務継続計画未策定減算 |
| 衛生管理等(第31条) | 感染症対策の委員会(おおむね6月に1回以上)とその結果の周知、指針、研修・訓練があるか | 委員会の開催状況・結果、指針、研修及び訓練の実施状況・結果 | 衛生管理等 |
| 秘密保持等(第33条) | 利用者と家族から個人情報の利用の同意を得ているか。退職者を含む従業者が秘密保持を誓約しているか | 個人情報の利用に関する同意書、従業者の秘密保持誓約書 | 秘密保持等 |
| 広告(第34条) | 広告が虚偽又は誇大になっていないか | パンフレット・チラシ、web広告 | 掲示・秘密保持・広告・紹介に関する運営基準 |
| 苦情処理(第36条) | 苦情の受付窓口を設けているか。内容を記録し保存しているか | 苦情の受付簿、苦情への対応記録 | 苦情処理 |
| 事故発生時の対応(第37条) | 市町村・家族・居宅介護支援事業者等に連絡しているか。状況と処置を記録しているか。損害賠償すべき事故で速やかに賠償しているか | 連絡状況がわかるもの、事故に際して採った処置の記録、損害賠償の実施状況がわかるもの | 事故発生時の対応 |
| 虐待の防止(第37条の2) | 委員会の定期開催と結果の周知、指針、研修の定期実施、担当者の配置があるか | 委員会の開催状況及び結果、指針、研修の計画及び実績、担当者を置いていることがわかるもの | 虐待防止・業務継続計画未策定減算 |
自己点検の進め方と、この表に無い確認
表の項目ごとに、確認文書の置き場所、最新の更新日、担当者の3つを書き出し、同意の日付や委員会の開催日が空いていないかを見ます。書類の保存期間は記録の保存義務・保存期間、加算の準備書類は運営指導で確認される記録・書類、期日が決まっている研修や計画は開業後の義務カレンダーで確かめられます。
この表に挙がっていない報酬請求の確認は別です。マニュアル本文は、各種加算の確認は人員体制に関するもの等を除き確認文書に限定せず、それぞれの算定要件にかかる文書で適合状況を確かめると説明しています。また、確認項目以外で基準違反が著しいと認められた場合は、監査に切り替わることがあります(運営指導から監査への切替)。この記事は自己点検の整理であり、個別の事業所が基準に適合しているかや、運営指導の結果を保証するものではありません。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 個別サービスの質の6項目は、利用者3名程度を選び、説明の同意から計画・提供記録・モニタリングまでが一連でそろっているかを見る
- 体制の項目は、確認文書ごとに置き場所と最新の更新日を書き、委員会・研修・訓練の記録が空いていないかを確かめる
- 確認文書の内容に不備がある項目は、補う文書を決めて修正日を記録する
- 自治体が事前提出や自己点検シートを求めるかを指定権者に確認し、求められた様式があれば同じ表から転記する
一次資料
制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(確認日 2026-10-02)
- 厚生労働省老健局総務課介護保険指導室「介護保険施設等運営指導マニュアル(令和4年3月策定・令和6年7月改訂)」(確認日 2026-10-01)