運営 / 更新 2026-10-24
訪問入浴介護の看取り連携体制加算:1回64単位・死亡日以前30日以下と施設基準3点
訪問入浴介護の看取り連携体制加算は、看取り期の利用者に訪問入浴介護を行ったとき、死亡日及び死亡日以前30日以下について1回につき64単位を加算する仕組みです。算定には、事業所が病院などとの連絡体制・看取り期の対応方針・職員研修を整えて届け出ること、利用者が医師の診断と説明への同意を満たすことが求められます。この記事では、告示と留意事項通知で、対象者・事業所の基準・記録と説明の決まりを確認します。
64単位は1回ごとの加算で、期間は死亡日を含めて30日が上限
平成12年厚生省告示第19号の別表で、訪問入浴介護費の看取り連携体制加算は64単位です。算定できるのは、都道府県知事への届出(電子情報処理組織を使う方法)を行った事業所です。厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者に看取り期のサービスを行った場合に、死亡日及び死亡日以前30日以下について1回につき加算します。
留意事項通知は、死亡日を含めて30日を上限として、事業所が行った看取り期の取組を評価するものと説明しています。死亡前に医療機関へ入院して入院先で亡くなった場合も算定できますが、事業所がサービスを直接提供していない、入院した日の翌日から死亡日までの間は算定できません。この期間が30日以上あると、加算は算定できないとされています。
基本報酬やほかの加算の単位数は訪問入浴介護費の単位数で整理しています。
この記事で決めること
訪問入浴介護を併設・展開する訪問介護の事業者が、看取り連携体制加算の単位数と算定できる期間、対象者の2要件、事業所の施設基準3点、記録と説明の決まりを告示と留意事項通知の原文で確かめるための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、看取り連携体制加算の算定前チェック表(1枚、対象者の2要件・施設基準3点・説明と同意の実施日・入院時の説明の有無を記入)を作成できる状態を目指します。
対象になる利用者:医師の診断と、説明を受けた同意の2つ
対象者は、平成27年厚生労働省告示第94号の第三号の四で、次の2つをどちらも満たす利用者とされています。1つ目は、医師が一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがないと診断した者であることです。
2つ目は、看取り期の対応方針に基づくサービスについて、介護職員や看護職員等から説明を受け、同意したうえでサービスを受けている者であることです。説明は、利用者の状態や家族の求め等に応じて、介護記録等を活用して行われます。家族等が説明を受けて同意している場合も含みます。
回復の見込みがないかどうかは医師の診断で決まり、事業所が判断するものではありません。診断の書面の様式や、診断日を記録する欄は告示の2つの要件に定めがないため、書き方は届出先の都道府県の案内で確かめます。
事業所の施設基準3点:連絡体制・対応方針・職員研修
事業所の基準は、平成27年厚生労働省告示第96号の第二号の二にあります。イは、病院、診療所または指定訪問看護ステーションとの連携により、利用者の状態等に応じた対応ができる連絡体制を確保し、必要に応じて訪問看護等が提供されるよう、訪問入浴介護を行う日時をこれらの機関と調整していることです。ロは看取り期における対応方針を定め、利用開始の際に利用者または家族等に説明して同意を得ていること、ハは看取りに関する職員研修を行っていることです。
留意事項通知は、連絡体制を整える前に、次の3点を事前に取り決めておくこととしています。緊急時の注意事項や利用者の病状等を共有する方法、曜日や時間帯ごとの連絡方法、必要に応じて訪問看護等が提供されるようにするためのサービス提供の日時の調整です。
看取り期における対応方針は、管理者を中心に、介護職員、看護職員、介護支援専門員等で協議して定めます。通知は、対応方針に含める事項の例として、事業所の考え方、訪問看護ステーション等との連携体制(緊急時の対応を含む)、利用者等との話し合いにおける同意・意思確認・情報提供の方法、情報提供に使う資料や同意書の様式、その他職員の具体的対応の5つを挙げます。また、ケアカンファレンスや対応の振り返りを通じて、対応方針を適宜見直すことを求めています。
| 基準 | 告示第96号の内容 | 通知で確かめる点 |
|---|---|---|
| イ 連絡体制 | 病院・診療所・訪問看護ステーションとの連携で連絡体制を確保し、訪問入浴の日時を調整する | 情報共有の方法、曜日や時間帯ごとの連絡方法、サービス提供日時の取り決めを事前に定める |
| ロ 対応方針 | 看取り期の対応方針を定め、利用開始の際に利用者または家族等へ説明して同意を得る | 管理者を中心に多職種で協議して定め、5つの事項を例に含め、適宜見直す |
| ハ 職員研修 | 看取りに関する職員研修を行う | 研修の回数や内容は、届出先の都道府県の案内で確かめる |
記録と説明:介護記録に残す事項と同意の取り方
通知は、看取り期の利用者へのサービス提供で、次の2つを介護記録等に記録し、多職種で情報共有するよう求めています。利用者の身体状況の変化とこれに対する介護の記録、そして看取り期のサービス提供の各過程で利用者と家族の意向を把握し、それに基づくアセスメントと対応の経過の記録です。
本人または家族への随時の説明に口頭で同意を得た場合は、介護記録に説明の日時と内容、同意を得た旨を書きます。あわせて、職員間で相談した日時と内容、本人の状態、家族への連絡状況も記載します。通知は、家族が看取りをともに考えることが極めて重要で、事業所は定期的に連絡を取り、可能な限り家族の意思を確認しながら進めるとしています。
利用者や家族の求めに応じて介護記録を開示したり写しを渡したりするときは、理解しやすい資料を作って代えてもかまいません。看取り期のサービス提供では、厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等を参考に、本人の意思を尊重できるよう多職種で連携するとされています。
入院したとき・月をまたぐときの説明
入院した月と死亡した月が違っても算定できますが、加算は死亡した月にまとめて算定します。利用者は訪問入浴介護の利用を終えた翌月に自己負担を請求されることになるため、通知は、入院する際に、前月分の加算の一部負担を請求することがあると説明し、文書で同意を得ておくよう求めています。
通知の説明に当てはめた例です。12月に入院した利用者が1月に亡くなった場合、死亡日以前30日以下に当たる12月のサービス分は、1月分にまとめて算定され、利用者は1月分として一部負担を請求されることになります。この例は仕組みを示すための仮の場面で、実在の利用者ではありません。
事業所は、入院後も、家族や入院先の医療機関等と継続的に関わる必要があります。入院先に利用者の状態を尋ねたときに、医療機関が事業所へ本人の状態を伝えることについて、入院の際に本人または家族へ説明して文書で同意を得ておくことも、通知に書かれています。
この記事で確認した範囲と、次に知りたいこと
2026年10月24日に、厚生労働省の掲載ページで3つの告示を確認しました。平成12年厚生省告示第19号の別表(訪問入浴介護費)、平成27年厚生労働省告示第94号の第三号の四、同第96号の第二号の二です。掲載ページには施行日の明示がなく、令和8年6月改定後の版かどうかは本文から断定できません。
留意事項通知は、令和6年度改定の新旧対照表の看取り連携体制加算の項で確認しています。令和8年6月版の通知で内容が変わったかは確認していません。届出の様式、算定を始められる月、研修の細目は書いていないため、算定できるかの最終確認は、届出先の指定権者に行ってください。
員数や設備の基準は訪問入浴介護の指定基準にあります。介護福祉士の割合が効く加算は訪問入浴介護のサービス提供体制強化加算で、訪問介護の看取り期の対応は訪問介護の看取り期の利用者への対応で確かめられます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 利用者ごとに、医師が回復の見込みがないと診断した旨を確かめた日と、看取り期の対応方針の説明を受けて本人または家族等が同意した日を書く
- 病院・診療所・訪問看護ステーションとの連絡方法と曜日・時間帯ごとの連絡先、訪問入浴の日時を調整する取り決めの日付、看取りに関する職員研修の実施日を書く
- 看取り期の介護記録に、身体状況の変化と介護の記録、利用者と家族の意向を把握した経過、口頭で同意を得たときの説明日時と内容、職員間の相談日時を書く欄を作る
- 入院した月と死亡した月が異なる場合に備えて、翌月に一部負担を請求することがある旨を説明して文書で同意を得る様式と、入院先との情報共有の同意書を用意し、算定の最終確認を指定権者に問い合わせる事項を一覧にする
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)別表 2 訪問入浴介護費」(別表 2 訪問入浴介護費 注1(看護職員1人・介護職員2人)、注2・注3(減算100分の1)、注4(介護職員3人・100分の95)、注5(清拭・部分浴・100分の90)、注6(同一建物・100分の90/100分の85)、注7〜注9、初回加算、看取り連携体制加算)(確認日 2026-10-19)
- 厚生労働省老健局「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の留意事項について(老企第36号)の改正(令和6年度改定・新旧対照表)訪問入浴介護費」(訪問入浴介護費の留意事項(介護職員3人の場合、清拭・部分浴、初回加算、看取り連携体制加算の算定範囲・入院した場合・連絡体制・対応方針))(確認日 2026-10-19)
- 厚生労働省「厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号)第二号の二 指定訪問入浴介護における看取り連携体制加算に係る施設基準」(第二号の二 イ・ロ・ハ)(確認日 2026-10-24)
- 厚生労働省「厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年厚生労働省告示第94号)第三号の四 訪問入浴介護費の看取り連携体制加算の対象となる利用者の基準」(第三号の四 イ・ロ)(確認日 2026-10-24)