運営 / 更新 2026-10-23

居宅療養管理指導の指定基準:事業所は病院・診療所・薬局に限る(従業者・取扱方針)

居宅療養管理指導は、医師、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士が、通院が困難な利用者の居宅を訪問して、療養上の管理や指導を行うサービスです。指定は都道府県知事が行い、事業所になれるのは病院、診療所、薬局です。この記事は、訪問介護の事業者がこのサービスを事業に加えられるかを考えるときや、利用者を一緒に支える医師・薬剤師の役割を知りたいときに、指定居宅サービス基準第84条〜第86条・第89条〜第91条と介護保険法第71条を読み、訪問介護の基準との違いを整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

指定するのは都道府県知事:医師・薬剤師などが居宅を訪問して管理・指導する

介護保険法第41条第1項は、居宅介護サービス費の対象を、都道府県知事が指定する者(指定居宅サービス事業者)から受けた居宅サービスと定めています。居宅療養管理指導も、訪問介護と同じ指定居宅サービス基準の中にあり、市町村長が指定する地域密着型サービスではありません。

基準第84条の基本方針は、医師、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士又は管理栄養士が、通院が困難な利用者に対して、その居宅を訪問して、心身の状況や置かれている環境を把握し、療養上の管理及び指導を行うことで、療養生活の質の向上を図るものとしています。身体介護や生活援助を行う訪問介護とは、担い手も提供する内容も別です。

この記事で決めること

訪問介護の事業者が居宅療養管理指導を事業に加えられるか、また訪問介護員と一緒に利用者を支える医師・薬剤師などの役割を知りたいときに、指定する者、事業所の要件、職種ごとの従業者、職種ごとの取扱方針を条文で確かめ、訪問介護の基準との違いと自社で足りない点を洗い出すための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、居宅療養管理指導の基準チェック表(自社が運営する病院・診療所・薬局の有無と種類・保険医療機関または保険薬局の指定の有無・事業所を置く都道府県と担当窓口・医師または歯科医師と薬剤師・歯科衛生士・管理栄養士の候補と人数・サービス担当者会議への参加と文書による情報提供の流れ・診療録または診療記録の作成と報告の流れ・都道府県に確かめた日と回答)を作成できる状態を目指します。

事業所になれるのは病院・診療所・薬局:保険医療機関等の指定でみなし指定

基準第86条第1項は、指定居宅療養管理指導事業所を、病院、診療所又は薬局であって、事業の運営に必要な広さを有し、提供に必要な設備及び備品等を備えているものと定めています。事業所の種類は、この3つに限られています。

介護保険法第71条第1項は、病院等について健康保険法による保険医療機関又は保険薬局の指定があったときは、その指定の時に、その病院等の開設者について、居宅療養管理指導の指定があったものとみなすと定めています。病院又は診療所は居宅療養管理指導のほか厚生労働省令で定める居宅サービスも対象で、薬局は居宅療養管理指導に限ります。開設者が省令に従って別段の申出をした場合などは、みなされません。

同条第2項は、みなされた指定が、保険医療機関又は保険薬局の指定の取消しがあったときに効力を失うと定めています。みなし指定を受けた場合の個別の届出や運用は、この記事では読んでいないため、事業所を置く都道府県の担当窓口に確かめます。

従業者の員数:病院・診療所は医師または歯科医師、薬局は薬剤師

基準第85条第1項は、事業所の種類で員数を分けています。病院又は診療所は、医師又は歯科医師を置き、あわせて薬剤師、歯科衛生士又は管理栄養士を、提供する居宅療養管理指導の内容に応じた適当数置きます。薬局は、薬剤師を置きます。

訪問介護の訪問介護員等が常勤換算方法で2.5以上であるのに対し、この条文には常勤換算の数え方での要件はありません。事業所が介護予防居宅療養管理指導の指定を併せて受け、同じ事業所で一体的に運営している場合は、第2項により、介護予防の基準の人員を満たせば足りるとみなせます。介護予防の基準の中身は、この記事では読んでいません。

職種ごとの取扱方針:情報提供はサービス担当者会議への参加が原則

基準第89条は、職種ごとに取扱方針を定めています。医師又は歯科医師は、訪問診療等で利用者の病状や心身の状況を把握し、居宅介護支援事業者に対して居宅サービス計画の作成等に必要な情報を提供し、利用者や家族に介護方法などの指導や助言を行います。提供した内容は、速やかに診療録に記録します。

薬剤師は、医師又は歯科医師の指示に基づいて行います。薬局の薬剤師は、医師又は歯科医師の指示を受けて自分で作る薬学的管理指導計画に沿って行います。提供した内容は、速やかに診療記録を作成して、医師又は歯科医師に報告します。

歯科衛生士又は管理栄養士は、医師又は歯科医師の指示に基づいて行い、薬剤師と同じく、診療記録を作成して医師又は歯科医師に報告します。

医師、歯科医師、薬剤師が、居宅介護支援事業者や居宅サービス事業者に情報提供や助言をする場合は、原則としてサービス担当者会議に参加して行います。参加が難しいときは、原則として、内容を記載した文書を交付して行います。訪問介護の事業者から見ると、居宅サービスの提供に必要な情報や助言を、この会議や文書で受け取る立場になります。

身体的拘束等は、利用者や他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、行ってはならず、行う場合は態様、時間、心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録します。これは訪問介護と共通の考え方ですが、条文の書きぶりは職種ごとに別の項になっています。

運営規程と準用:虐待防止の措置を含む7項目

基準第90条は、運営規程に定める事項を7つ挙げています。事業の目的と運営の方針、従業者の職種・員数・職務の内容、営業日と営業時間、指定居宅療養管理指導の種類と利用料その他の費用の額、通常の事業の実施地域、虐待の防止のための措置に関する事項、その他運営に関する重要事項です。

第91条は、第8条(内容及び手続の説明及び同意)から第13条までなど、訪問介護の運営基準の条文を、読み替えのうえで準用すると定めています。読み替えでは、第13条の「心身の状況」が「心身の状況、病歴、服薬歴」になります。準用される条文の一つ一つの中身は、この記事では読んでいません。

訪問介護の基準との比較

指定する者は同じですが、事業所の要件と従業者は、訪問介護と大きく異なります。

居宅療養管理指導と訪問介護の指定・事業所・人員・取扱方針の基準(居宅サービス基準第85条・第86条・第89条、第5条・第7条、法第71条)
項目居宅療養管理指導訪問介護
指定する者都道府県知事(法第41条第1項)。保険医療機関等の指定でみなし指定(法第71条)都道府県知事
事業所病院、診療所又は薬局で、運営に必要な広さと設備及び備品等がある(第86条)専用の区画と必要な設備及び備品等(居宅サービス基準第7条)
従業者病院・診療所は医師又は歯科医師と、薬剤師等の適当数。薬局は薬剤師(第85条)訪問介護員等を常勤換算方法で2.5以上(居宅サービス基準第5条第1項)
提供の記録診療録または診療記録に記録し、薬剤師等は医師等に報告(第89条)。第19条も準用(第91条)サービス提供の記録と利用者への情報提供(居宅サービス基準第19条第1項・第2項)

訪問介護の事業者が確かめる順番

まず、自社が条文の定める病院、診療所、薬局のいずれかを運営しているかを確かめます。運営していない場合は、第86条の事業所の要件を満たさないため、基準のうえでは自社で指定を受けられません。詳しくは都道府県の担当窓口に確かめます。

運営している、または運営する予定がある場合は、保険医療機関又は保険薬局の指定の状況を確かめ、事業所を置く都道府県の担当窓口に、みなし指定の扱いを相談します。単位数は「居宅療養管理指導費の単位数:職種別(医師515・歯科医師517・管理栄養士545)」に、指定の主体と人員をほかのサービスと比べる表は「訪問介護から広げる5サービスの比較:指定の主体・人員・管理者の兼務」にまとめています。

同じように事業所の種類が限られるサービスは、「訪問リハビリテーションの指定基準:事業所は病院・診療所・老健・介護医療院に限る」で読めます。訪問介護自体の人員基準は訪問介護の人員基準(サ責の配置基準・常勤換算2.5・管理者)で確認できます。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 自社が運営している病院、診療所、薬局があるかを書き、ない場合は、連携先の医療機関や薬局の候補をチェック表に書いて、自社での指定を前提にするかを決める
  2. 運営している病院、診療所、薬局について、保険医療機関または保険薬局の指定の有無を書き、事業所を置く都道府県の担当窓口に、みなし指定の扱いと別段の申出の要否を確かめ、確かめた日と回答を記録する
  3. 病院・診療所は医師または歯科医師と、提供する内容に応じた薬剤師・歯科衛生士・管理栄養士の候補と人数を、薬局は薬剤師の候補と人数を書く
  4. 居宅介護支援事業者や居宅サービス事業者への情報提供を、サービス担当者会議への参加で行う流れと、参加が難しいときに文書で交付する流れを書き、診療録または診療記録の作成と医師等への報告の流れとあわせて、担当窓口に相談し、確かめた日と回答を記録する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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