運営 / 更新 2026-11-05
居宅療養管理指導の取扱方針:職種別の違い・担当者会議への参加・文書の交付
居宅療養管理指導の取扱方針は、指定基準の第88条(基本取扱方針)と第89条(具体的取扱方針)にあります。第89条は、3つの職種ごとに項を分けています。居宅介護支援事業者等への情報提供はサービス担当者会議への参加が原則で、参加できないときは文書の交付が原則ですが、これは医師・歯科医師と薬剤師の項だけにあります。
第88条:計画的に行い、自ら質を評価して改善する
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)の第88条は、指定居宅療養管理指導の基本取扱方針です。e-Gov法令検索で、2026年11月5日に原文を確認しました。第1項は、利用者の要介護状態の軽減又は悪化の防止に資するよう、計画的に行われなければならないと定めています。
第2項は、事業者が自らその提供する指定居宅療養管理指導の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならないと定めています。評価の方法や頻度、様式は条文に書かれていないので、評価した内容と改善した内容を残す方法は、事業所で決めておく必要があります。
この記事で決めること
居宅療養管理指導を行う病院・診療所・薬局の管理者が、基準第88条の基本取扱方針と第89条の職種別の具体的取扱方針を確かめ、居宅介護支援事業者等への情報提供の方法、サービス担当者会議に参加できない場合の文書交付、職種ごとの記録の扱いを点検表にするための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、居宅療養管理指導の取扱方針の点検表(1枚):第88条の2つの項と第89条の職種別の項を行に並べ、事業所にいる職種ごとに守る項へ印を付け、対応する書類(情報提供の記録、会議への参加記録、文書の控え、診療録・診療記録、身体的拘束等の記録)と最後に見直した日を書き込む表を作成できる状態を目指します。
第89条は職種ごとに3つの項:医師・歯科医師、薬剤師、歯科衛生士・管理栄養士
第89条は、第1項が医師又は歯科医師、第2項が薬剤師、第3項が歯科衛生士又は管理栄養士の行う指定居宅療養管理指導の方針です。同じ事業所でも、職種によって守る項が違います。表は、第89条の項ごとの違いを原文で確かめたものです。
表の右の列は、事業所が用意する書類の例で、条文が求めるものではありません。身体的拘束等の記録のように、条文が記録を直接求めている行は、その旨を書いています。
| 確認する事項 | 医師・歯科医師(第1項) | 薬剤師(第2項) | 歯科衛生士・管理栄養士(第3項) |
|---|---|---|---|
| 指示・計画 | 訪問診療等で病状と心身の状況を把握し、計画的かつ継続的な医学的管理又は歯科医学的管理に基づく | 医師又は歯科医師の指示に基づく(薬局の薬剤師は、その指示に基づき自分で策定した薬学的管理指導計画に基づく) | 医師又は歯科医師の指示に基づく |
| 利用者・家族への説明 | 相談に懇切丁寧に応じ、理解しやすいように指導又は助言を行う。療養上必要な事項等を記載した文書の交付に努める | 懇切丁寧に行い、理解しやすいように指導又は説明を行う | 懇切丁寧に行い、理解しやすいように指導又は説明を行う |
| 身体的拘束等 | 緊急やむを得ない場合を除き禁止。行う場合は、態様及び時間、心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録する | 同左 | 同左 |
| 居宅介護支援事業者等への情報提供 | 必要があると認める場合又は求めがあった場合に行う。原則としてサービス担当者会議に参加して行い、困難なときは原則として文書を交付する | 同左 | この項に定めなし |
| 提供内容の記録 | 速やかに診療録に記録する | 速やかに診療記録を作成し、医師又は歯科医師に報告する | 速やかに診療記録を作成し、医師又は歯科医師に報告する |
情報提供:原則はサービス担当者会議への参加、困難なら文書の交付
情報提供の定めは、医師・歯科医師の項と薬剤師の項の、どちらも第6号から第8号にあります。必要があると認める場合、又は居宅介護支援事業者若しくは居宅サービス事業者から求めがあった場合に、居宅サービス計画の作成、居宅サービスの提供等に必要な情報提供又は助言を行います。
その方法は、原則としてサービス担当者会議に参加することです。参加が困難な場合は、原則として、情報提供又は助言の内容を記載した文書を交付して行わなければならないとされています。会議に出られないときは、原則として文書の交付が求められます。
老企第25号(厚生労働省の解釈通知)の居宅療養管理指導の具体的取扱方針の項は、事業者が、要介護者等にサービスを提供している事業者に対して必要に応じて迅速に指導又は助言を行うために、日頃からサービスの提供事業者や提供状況を把握するよう努めることを求めています。
通知の留意点:医学的管理の対象と、薬剤師等の記録の4項目
老企第25号は、医師又は歯科医師の行う指定居宅療養管理指導について、訪問診療等により常に利用者の病状及び心身の状況を把握し、計画的な医学的管理又は歯科医学的管理を行っている要介護者等に対して行うものとしています。
薬剤師、歯科衛生士及び管理栄養士については、指定居宅療養管理指導を行った際に、速やかに、実施した要介護者等の氏名、実施日時、実施した居宅療養管理指導の要点、担当者の氏名を記録することとされています。条文の身体的拘束等の記録と提供内容の記録の定めと合わせて、職種ごとに記録の様式を分けておく必要があります。
整備すべき記録は、病院又は診療所では診療録その他の個々の指定居宅療養管理指導に関する記録、薬局では医師又は歯科医師が交付した処方せんその他の個々の指定居宅療養管理指導に関する記録と、通知に示されています。
身体的拘束等の原則禁止と記録の考え方は、訪問介護の場合を訪問介護の身体的拘束等:原則禁止と緊急時の記録で整理しています。
この記事で確認した範囲と、点検表の作り方
2026年11月5日に、e-Gov法令検索で第88条と第89条の原文を、厚生労働省が掲載する老企第25号の居宅療養管理指導の具体的取扱方針の項で3点の留意点を、準用される第39条の記録の項で整備すべき記録を確認しました。通知の版は最新の改正が反映されていない可能性があるので、最新の運用は指定権者の案内でも確かめてください。
点検表は、第88条と第89条の項を行に並べ、職種ごとに守る項に印を付けて作ると、事業所にいる職種の抜けが見つけやすくなります。サービス担当者会議への参加や文書の交付をした日と相手は、記録に残す欄を設けておくと、あとから確かめられます。
次に知りたいこと:指定基準・単位数・事業計画
事業所の要件と従業者の員数は居宅療養管理指導の指定基準で整理しています。報酬の確認は居宅療養管理指導の単位数が入口です。
記録の保存は居宅療養管理指導の記録の整備と保存期間で整理しています。
事業としての見通しは居宅療養管理指導の事業計画で確かめられます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- e-Gov法令検索で指定基準の第88条と第89条を開き、医師・歯科医師、薬剤師、歯科衛生士・管理栄養士の項を表の行として書き写す
- 事業所にいる職種ごとに、守る項に印を付け、行ごとに対応する書類の名前と保管場所を書く
- 居宅介護支援事業者等への情報提供について、サービス担当者会議に参加した日と、参加できず文書を交付した日・相手・内容の控えを残す欄を用意する
- 薬剤師・歯科衛生士・管理栄養士の記録に氏名・実施日時・要点・担当者の氏名が入っているかと、医師又は歯科医師への報告の記録を確かめ、足りない行の見直す日を決める
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について(平成11年9月17日老企第25号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)」(第三 訪問介護に関する基準)(確認日 2026-10-04)
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(第84条 基本方針、第85条 従業者の員数、第86条 設備及び備品等、第89条 具体的取扱方針、第90条 運営規程、第91条 準用)、介護保険法第71条」(基準第84条〜第86条、第89条〜第91条(居宅療養管理指導)、法第71条(指定居宅サービス事業者の特例))(確認日 2026-10-23)