運営 / 更新 2026-10-20

働くヘルパーの在職老齢年金:支給停止の基準額65万円(令和8年度)と計算

老齢厚生年金を受けながら働くヘルパーの年金は、基本月額と総報酬月額相当額の合計が65万円(令和8年度の支給停止調整額)を超えたときに、超えた額の2分の1が支給停止になります。65万円以下なら全額支給です。日本年金機構の案内で、基準額、総報酬月額相当額の数え方、70歳以上の扱いを確認します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

65万円の基準と、支給停止の計算式

日本年金機構は、老齢厚生年金を受給している人が厚生年金保険の被保険者であるとき、基本月額と総報酬月額相当額に応じて年金が支給停止になる場合があると案内しています。基本月額は、加給年金額を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額です。

令和7年年金制度改正法(令和7年法律第74号)に基づき、令和8年4月から、年金が減額になる基準額は月51万円から65万円に引き上げられました。この基準額は令和8年度の額で、毎年度、賃金の変動に応じて改定されます。

令和8年4月以降の支給月額の計算(日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」)
基本月額と総報酬月額相当額の合計年金の支給月額
65万円以下全額支給
65万円を超える基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-65万円)÷2

この記事で決めること

訪問介護事業所の経営者や、老齢厚生年金を受けながら働く65歳以上・70歳以上のヘルパーが、賃金と年金の合計がいくらを超えると年金が支給停止になるか、基本月額と総報酬月額相当額をどう数えて計算するかを、日本年金機構の案内で確認するため。ための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、高年齢のヘルパーへの案内メモ(在職老齢年金の基準額・総報酬月額相当額に含まれる賞与・個別の年金額は年金事務所で確認する旨の記録)を作成できる状態を目指します。

総報酬月額相当額に賞与が入る

総報酬月額相当額は、その月の標準報酬月額に、その月以前1年間の標準賞与額の合計を12で割った額を足して求めます。毎月の賃金が同じでも、賞与を払った月以降の1年間は総報酬月額相当額が上がります。標準報酬月額や標準賞与額は、事業所の社会保険の届出で決まる額です(訪問介護員の定時決定の記事を参照)。

次の表は、計算式に仮の金額を当てはめた例で、実在の人の計算ではありません。個人の基本月額と支給停止額は、本人が年金事務所などで確かめます。

計算式に仮の金額を当てはめた例(令和8年度の基準額65万円)
例基本月額総報酬月額相当額合計支給月額
賞与ありで合計が基準額以下15万円標準報酬月額30万円+標準賞与額の1年間の合計60万円÷12=35万円50万円全額支給(15万円)
合計が基準額を超える20万円50万円70万円20万円-(70万円-65万円)÷2=17.5万円

70歳以上のヘルパーと、調整を受けない年金

平成19年4月以降に70歳に達した人が、70歳以降も厚生年金適用事業所に勤務する場合、その人は厚生年金保険の被保険者ではありませんが、在職による支給停止が行われます。この場合、標準報酬月額と標準賞与額は「相当する額」で数えます。70歳以上の人は被保険者ではないので、保険料の負担はありません。

老齢基礎年金と経過的加算額は、在職老齢年金の調整を受けず全額支給です。年金の支給月額がマイナスになる場合は、老齢厚生年金(加給年金額を含む)が全額支給停止になります。

事業所で決めておくこと(運用の例)

次の表は、職員から相談されたときの対応の例で、国が定めた様式ではありません。事業所が個人の年金額を判断することはできないため、基準額と計算式を説明し、個別の額は年金事務所への確認を案内します。60歳以降の雇用保険の給付は、60歳以降も働く訪問介護員の高年齢雇用継続給付の記事で別に確認します。

在職老齢年金の相談を受けたときの確認事項(事業所の運用の例)
確認すること根拠となる資料
その年度の基準額(令和8年度は65万円)を日本年金機構のページで確かめる日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
標準報酬月額と、その月以前1年間の標準賞与額の合計を給与記録で確かめる日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
個人の基本月額と支給停止額は事業所で判断せず、年金事務所での確認を案内する日本年金機構の案内
年度の始めに基準額を確かめ直し、案内メモの年度を更新する日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」

確かめた資料と確認できていないこと

この記事は、2026年10月20日に、日本年金機構の「在職老齢年金の計算方法」(更新日2026年4月1日)を読んで書きました。65歳以上70歳未満の在職定時改定、年金の請求手続き、令和4年3月以前の65歳未満の計算方法、個人ごとの年金額の試算は扱っていません。

年金額や支給停止の判断は、個人の年金記録によって変わります。迷う点は、最寄りの年金事務所や社会保険労務士に確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 老齢厚生年金を受けながら働く、または働く予定の職員から相談があったときに備え、日本年金機構の「在職老齢年金の計算方法」のページと令和8年度の基準額(65万円)を確認して記録する
  2. 職員の標準報酬月額と、その月以前1年間の標準賞与額の合計を事業所の給与記録で確かめ、総報酬月額相当額の元になる金額として本人に伝えられるようにする
  3. 計算式と基準額は説明するが、個人の基本月額と支給停止額は事業所では判断せず、本人が年金事務所や「ねんきんネット」などで確かめるよう案内する
  4. 基準額は毎年度改定されるため、年度の始めに日本年金機構のページで金額を確かめ直し、案内メモの年度を更新する

関連ガイドで計画をつなぐ

隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。

よくある質問

迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。

ヘルパーが老齢厚生年金を受けながら働くと、年金は必ず減りますか?

基本月額と総報酬月額相当額の合計が65万円(令和8年度の支給停止調整額)以下なら全額支給です。65万円を超えるときだけ、超えた額の2分の1が支給停止になります(日本年金機構の案内)。

70歳を過ぎて働くヘルパーにも、在職老齢年金の調整はありますか?

平成19年4月以降に70歳に達した人が70歳以降も厚生年金適用事業所に勤務するときは、厚生年金保険の被保険者ではありませんが、在職による支給停止が行われます。70歳以上は被保険者ではないため、保険料の負担はありません。

賞与を払うと、在職老齢年金の調整に影響しますか?

総報酬月額相当額は、その月の標準報酬月額に、その月以前1年間の標準賞与額の合計を12で割った額を足して求めるため、賞与は調整額に含まれます。個人の支給停止額は、年金事務所などで確認してください。

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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