運営 / 更新 2026-10-15
訪問介護員の定時決定(算定基礎届):4〜6月の支払基礎日数17日と11日の見方
社会保険の保険料の基になる標準報酬月額は、毎年1回、7月1日現在のすべての被保険者の4月・5月・6月の報酬で決め直されます。事業主はその報酬を「算定基礎届」で毎年7月10日までに届け出ます。訪問介護は月ごとの稼働日数がぶれやすく、支払基礎日数が17日に届かない月があると、平均の取り方が変わります。
この記事で決めること
訪問介護事業所の管理者や労務担当者が、毎年7月10日までの算定基礎届(定時決定)で、提出の対象と不要な人、4月・5月・6月のうち平均に入れる月(支払基礎日数17日以上、短時間就労者は15日以上、特定適用事業所の短時間労働者は11日以上)、時給の訪問介護員の出勤日数の数え方、報酬に含めるものを、日本年金機構の案内で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、算定基礎届の事前確認表(7月1日現在の被保険者ごとの4月・5月・6月の報酬額と支払基礎日数、17日以上の月の印、提出不要・月額変更予定の区分、報酬に含めた手当の一覧)を作成できる状態を目指します。
算定基礎届は、4月・5月・6月の報酬を7月10日までに届ける手続き
日本年金機構の案内によると、事業主は、7月1日現在で使用している全被保険者の4月・5月・6月の報酬月額を算定基礎届で届け出ます。この届出をもとに標準報酬月額が毎年1回決め直されることを、定時決定といいます。決め直された標準報酬月額は、9月から翌年8月までの各月に使われます。
提出期限は毎年7月10日で、10日が土曜または日曜の場合は翌営業日です。提出先は事務センターか管轄の年金事務所で、提出方法は電子申請、電子媒体、郵送、窓口持参です。年間の期限の並びは「訪問介護事業所が毎年行う労務・税務手続きの月別期限(年度更新・算定基礎届・法定調書)」で確認できます。
届出用紙は6月中旬以降に順次、事業所あてに届きます。用紙には、5月中旬ごろまでに届け出た被保険者の氏名、生年月日、従前の標準報酬月額などが印字されています。
提出の対象は7月1日現在の全被保険者。出さなくてよい人もいる
対象は、7月1日現在のすべての被保険者と70歳以上被用者です。常勤の職員だけでなく、社会保険に加入している非常勤の訪問介護員も含まれます。加入の要件は「訪問介護員の社会保険の加入要件:4分の3基準・週20時間以上の短時間労働者・賃金要件の撤廃」で確認してください。
次のどれかに当たる人は、算定基礎届の提出が不要です。1つ目は6月1日以降に資格を取得した人、2つ目は6月30日以前に退職した人、3つ目は7月改定の月額変更届を出す人、4つ目は8月または9月に随時改定が予定されている旨を申し出た人です。
3つ目と4つ目の人は、報酬月額の欄を空欄にして、備考欄の「3.月額変更予定」に〇を付けて提出します(電子申請などでは、この2つに当たる人を除いて作成します)。8月・9月の随時改定に当たらないと分かったときは、速やかに算定基礎届を出します。随時改定の要件は「訪問介護員の時給を上げたら出す月額変更届:随時改定の3つの要件と登録ヘルパーの出勤日数」にまとめています。
平均に入れるのは、支払基礎日数が17日以上の月
標準報酬月額は、7月1日前の3か月間(4月・5月・6月、いずれも支払基礎日数が17日以上)に受けた報酬の総額を、その月数で割った額で決まります。特定適用事業所に勤務する短時間労働者は、17日でなく11日以上です。
パートタイマーやアルバイトなど、正規の職員より短い時間の条件で働く人(短時間就労者)には、別の取り扱いがあります。17日以上の月が1か月でもあれば、その月の報酬の平均で決まります。3か月とも17日未満なら15日以上17日未満の月の平均で、3か月とも15日未満なら従前の標準報酬月額のままです。
特定適用事業所に勤務する短時間労働者は、3か月とも11日以上で算定します。11日以上の月が1か月か2か月なら、その月の平均で決まります。3か月とも11日未満なら、従前の標準報酬月額のままです。
| 区分 | 条件 | 報酬月額の出し方 |
|---|---|---|
| 通常の被保険者 | 4月・5月・6月とも17日以上 | 3か月の報酬総額を3で割る |
| 短時間就労者 | 17日以上の月が1か月以上ある | 17日以上の月の報酬総額の平均 |
| 短時間就労者 | 3か月とも17日未満 | 15日以上17日未満の月の報酬総額の平均 |
| 短時間就労者 | 3か月とも15日未満 | 従前の標準報酬月額で決定 |
| 特定適用事業所の短時間労働者 | 11日以上の月がある | 11日以上の月の報酬総額の平均(すべて11日未満なら従前のまま) |
時給の訪問介護員は、支払基礎日数を出勤日数で数える
支払基礎日数は、給与計算の対象となる日数です。日本年金機構の随時改定の案内では、日給制や時給制は出勤日数、月給制や週給制は暦日数で数える扱いが示されています。時給で働く訪問介護員は出勤日数で数えます(有給休暇の日の扱いは年金事務所に確認してください)。
訪問に入る日が少ない月が続くと、4月・5月・6月のうち17日に届かない月が出ます。どの月が17日以上かを、給与計算の出勤日数の記録から月ごとに確かめます。記録の取り方は「訪問介護員の労働時間の記録方法:始業・終業時刻の確認と、自己申告制で必要な措置」の内容と合わせて整えると、確認が楽になります。
どの区分に当たるか、17日に届かない月をどう扱うかは、事業所の状況によって変わります。迷うときは年金事務所に確認してください。
報酬に入れるのは、通勤手当を含む、現金と現物の支給
日本年金機構の案内によると、標準報酬月額の対象になる報酬は、被保険者が自分の労働の対償として受けるもの、または事業所から経常的かつ実質的に受けて通常の生計にあてられるものです。税引き前の給与で、基本給のほか、残業手当や通勤手当などを含みます。
報酬の例には、能率給、役付手当、家族手当、通勤手当、住宅手当、早出残業手当などが並びます。事業所から現金または現物で支給されるものを指し、宿舎費や食事代などの現物給与も報酬月額に含めて決めます。年4回以上支給される賞与も、報酬に含まれます。
訪問介護員に支給する移動の手当や交通費が、通勤手当などの手当に当たるかは、手当の定め方で変わります。自社の手当の名称と支給の根拠を整理して、年金事務所に確認してください。通勤手当は、「訪問介護員の通勤手当(マイカー)の非課税限度額」で扱う税の非課税限度額とは別に、社会保険の報酬の例に挙がっています。
このページの範囲と、確認する先
このページが確認したのは、日本年金機構の「定時決定(算定基礎届)」「随時改定(月額変更届)」「標準報酬月額・標準賞与額」の案内です(2026-10-15に確認、算定基礎届の案内は令和8年度版)。事例集に載る個別の取り扱いや、年間報酬の平均で算定する場合の申立ての条件は確認していません。
個別の被保険者の標準報酬月額が何等級になるか、年間報酬の平均で算定できるかは、このページでは決められません。管轄の年金事務所か、社会保険労務士に確認してください。
次に知りたいこと
年の途中で時給を上げたときの届出は、時給を上げたら出す月額変更届で確認できます。
算定基礎届の対象になる職員の加入要件は、訪問介護員の社会保険の加入要件で確認できます。
7月以外の月の手続きも含めた年間の流れは、訪問介護事業所が毎年行う労務・税務手続きの月別期限で確認できます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 6月中旬以降に届く届出用紙の印字(氏名・従前の標準報酬月額)と、7月1日現在の被保険者の一覧を突き合わせ、6月1日以降の資格取得者と6月30日以前の退職者を提出不要として分ける
- 4月・5月・6月の給与台帳から、被保険者ごとに報酬額と支払基礎日数(時給の人は出勤日数)を書き出し、17日以上の月(短時間就労者や特定適用事業所の短時間労働者は区分に応じた日数)に印を付ける
- 通勤手当を含む手当を報酬に入れ、移動の手当など区分に迷う手当は名称と支給の根拠を年金事務所に確認してから金額を確定する
- 8月・9月の随時改定を予定する人は報酬月額を空欄にして備考欄の月額変更予定に〇を付け、7月10日(土日なら翌営業日)までに提出して控えを残す
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」(確認日 2026-10-09)
- 日本年金機構「随時改定(月額変更届)(日本年金機構)」(確認日 2026-10-15)
- 日本年金機構「標準報酬月額・標準賞与額(日本年金機構)」(確認日 2026-10-15)