運営 / 更新 2026-10-25
介護医療院の基準:看護職員は入所者6人に1以上・療養室は1人8平方メートル以上
介護医療院の人員、施設、設備の基準は、基準省令(平成30年厚生労働省令第5号)の第3条から第6条を中心に定められ、管理者は第26条・第27条にあります。特徴は、療養床がⅠ型とⅡ型に分かれ、医師と介護職員の員数がⅠ型入所者とⅡ型入所者の数で別々の式になることです。員数の式、療養室の定員と広さ、建物と廊下の基準、管理者の要件を、条文の記載どおりに整理します。
Ⅰ型療養床とⅡ型療養床の定義
療養床は、療養室のうち、入所者1人当たりの寝台またはこれに代わる設備の部分をいいます(第3条第1号)。
Ⅰ型療養床は、療養床のうち、主として長期にわたり療養が必要である者であって、重篤な身体疾患を有する者、身体合併症を有する認知症高齢者等を入所させるためのものです。Ⅱ型療養床は、療養床のうちⅠ型療養床以外のものです(第3条第2号・第3号)。
この区別が、次の員数の式で、Ⅰ型療養床の利用者(Ⅰ型入所者)とⅡ型療養床の利用者(Ⅱ型入所者)の数を分けて当てはめるときの分け方になります(第4条第1項)。
この記事で決めること
介護医療院の開設や転換を検討する人が、人員・施設・設備の基準とⅠ型・Ⅱ型の違いを、基準省令の条文どおりに確かめ、単位数や他の施設の基準の記事へ進むための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、介護医療院の基準の確認表(職種ごとの員数の式と入所者数を当てはめた必要人数、療養室・廊下・建物の基準と現状の照合、都道府県・指定都市・中核市に確かめる事項と回答)を作成できる状態を目指します。
従業者の員数(第4条)
員数は、前年度の入所者数の平均値で計算します。新規に許可を受けるときは推定数を使います(第4条第2項)。常勤換算は、従業者の勤務延時間数の総数を、常勤の従業者が勤務すべき時間数で割って、常勤の人数に直す方法です(同条第3項)。
| 職種 | 員数の基準 |
|---|---|
| 医師 | 常勤換算で、Ⅰ型入所者の数を48で除した数に、Ⅱ型入所者の数を100で除した数を加えた数以上。その数が3に満たないときは3とし、1に満たない端数は1として計算する。宿直を行う医師を置かない場合は、入所者の数を100で除した数以上(1に満たない端数は1) |
| 薬剤師 | 常勤換算で、Ⅰ型入所者の数を150で除した数に、Ⅱ型入所者の数を300で除した数を加えた数以上 |
| 看護職員(看護師・准看護師) | 常勤換算で、入所者の数を6で除した数以上 |
| 介護職員 | 常勤換算で、Ⅰ型入所者の数を5で除した数に、Ⅱ型入所者の数を6で除した数を加えた数以上 |
| 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 | 介護医療院の実情に応じた適当数 |
| 栄養士または管理栄養士 | 入所定員100以上の介護医療院は1以上 |
| 介護支援専門員 | 1以上。入所者の数が100またはその端数を増すごとに1を標準とする |
| 診療放射線技師・調理員・事務員その他の従業者 | 介護医療院の実情に応じた適当数 |
員数の例と、専従・常勤の定め
式の読み方の例として、前年度の平均がⅠ型入所者48人・Ⅱ型入所者0人なら、医師の式は48÷48で1ですが、3に満たないので3が基準になります。看護職員は48÷6で8、介護職員は48÷5で9.6が、常勤換算の下限の目安です。この数は条文の式に数字を当てはめた計算の例で、実際の配置が基準を満たすかどうかは、許可権者が判断します。
従業者は、専ら当該介護医療院の職務に従事する者でなければならず、入所者の処遇に支障がない場合は例外です(第4条第4項)。
介護支援専門員は、専らその職務に従事する常勤の者が原則で、入所者の処遇に支障がない場合の例外も条文にあります(同条第5項)。
管理者は、専ら当該介護医療院の職務に従事する常勤の者でなければなりません。当該介護医療院の管理上支障がない場合は、他の事業所や施設等の職務に従事できます(第26条)。
管理者は、介護医療院に医師を宿直させる必要があります。入所者へのサービス提供に支障がない場合は、この限りではありません(第27条第3項)。
医療機関併設型と併設型小規模の員数の特例
医療機関併設型介護医療院(病院または診療所に併設され、入所者の療養生活の支援を目的とする介護医療院)の医師の員数は、医師の式から「3に満たないときは3」の定めと宿直を行う医師を置かない場合の定めを除いたものです(第4条第6項)。
医療機関併設型のうち入所定員が19人以下のものを併設型小規模介護医療院といいます。この場合、併設される医療機関が病院なら当該病院の医師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士により、診療所なら当該診療所の医師により、入所者の処遇が適切に行われると認められるときは、これらの職種を置かないことができます。介護職員は入所者の数を6で除した数以上、介護支援専門員は実情に応じた適当数です(同条第7項)。
特例に当たるかどうか、既存の病院や診療所の施設をどう位置づけるかは、事業所の個別の事情によります。許可権者の窓口に確かめます。
施設と療養室の基準(第5条)
介護医療院が有する施設は、療養室、診察室、処置室、機能訓練室、談話室、食堂、浴室、レクリエーション・ルーム、洗面所、便所、サービス・ステーション、調理室、洗濯室または洗濯場、汚物処理室です(第5条第1項)。これらは、入所者の処遇に支障がない場合を除き、専ら当該介護医療院の用に供するものでなければなりません(同条第3項)。
療養室の基準は、1つの療養室の定員が4人以下であること、入所者1人当たりの床面積が8平方メートル以上であること、地階に設けないこと、1以上の出入口が避難上有効な空地、廊下または広間に直接面していること、プライバシーの確保に配慮した療養床を備えること、身の回り品を保管できる設備を備えること、ナース・コールを設けること、です(同条第2項第1号)。
浴室は、身体の不自由な者が入浴するのに適したものとし、一般浴槽のほか、入浴に介助を必要とする者に適した特別浴槽を設けます(同条第2項第7号)。診察室と処置室が備える設備の細目は、この記事では確かめていません。
建物・階段・廊下の基準(第6条)
建物は耐火建築物とします。二階建てまたは平屋建てで、療養室等を二階にも地階にも設けていない場合などの要件を満たせば、準耐火建築物にできます。都道府県知事等が、専門的知識を有する者の意見を聴いて、初期消火と延焼の抑制に配慮した構造、火災の早期発見と通報の体制、円滑な避難が可能な構造のいずれかの要件を満たし、火災に係る入所者の安全性が確保されていると認めた木造かつ平屋建ての建物は、耐火建築物でも準耐火建築物でもなくてよいとされています(第6条第1項第1号・第2項)。
療養室等が二階以上にあるときは、屋内の直通階段とエレベーターをそれぞれ1以上設けます。三階以上にあるときは、避難階段を2以上設けます(同項第2号・第3号)。階段には手すりを設けます(同項第5号)。
廊下の幅は1.8メートル以上で、中廊下は2.7メートル以上です。手すりと常夜灯も設けます(同項第6号)。消火設備その他の非常災害に際して必要な設備も設けます(同項第8号)。
ユニット型介護医療院は、ユニット(療養室、共同生活室、洗面設備、便所)などを有する別の基準が第45条にあります。ユニット型の廊下は、入居者や従業者等の円滑な往来に支障がないと認められる場合に、一部の幅を拡張することで1.5メートル以上(中廊下は1.8メートル以上)としてよいという但し書きが、第45条第4項にあります。ユニット型の療養室の広さなど細目は、この記事では確かめていません。
この記事で確かめていないこと
開設許可の申請手続と審査の基準、解釈通知による細目、自治体の条例による上乗せ、病院や介護療養型医療施設から転換する場合の経過措置は、この記事では確かめていません。これらは、所在地の都道府県、指定都市、中核市の窓口に、日付つきで確かめます。
次に知りたいこと
介護医療院の1日の単位数は、「介護医療院の単位数:Ⅰ型の従来型個室は要介護1で721単位・ユニット型Ⅰ型は850単位」で区分と要介護度ごとに確かめられます。
特養・老健との役割や員数の違いは「特養・老健・介護医療院の違い:役割・人員・居室の広さ・単位数を比較」の比較表にあります。老健の基準は「介護老人保健施設の基準:看護・介護職員は入所者3人に1以上・療養室は1人8平方メートル以上」、特養の基準は「特別養護老人ホームの指定基準:職員は入所者3人に1以上・居室は10.65平方メートル以上」で整理しています。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 前年度の平均入所者数(新規に許可を受けるときは推定数)を、Ⅰ型療養床の利用者とⅡ型療養床の利用者に分けて書く
- 医師・薬剤師・看護職員・介護職員の式に、Ⅰ型入所者数とⅡ型入所者数を当てはめて必要な常勤換算数を計算し、現在の配置と並べる。医師は3に満たないときは3、端数は切り上げで数える
- 療養室の定員(4人以下)、1人当たりの床面積(8平方メートル以上)、廊下の幅(1.8メートル以上、中廊下は2.7メートル以上)、建物の構造(耐火建築物または準耐火建築物)を、図面の数値と並べて確かめる
- 医療機関併設型・併設型小規模の特例、既存の病棟や施設からの転換時の扱い、条例による上乗せは、許可権者の窓口に確かめ、回答を日付つきで残す
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成30年厚生労働省令第5号)第3条〜第6条・第26条・第27条・第45条」(省令第5号 第3条、第4条、第5条、第6条、第26条、第27条、第45条)(確認日 2026-10-25)