事業計画 / 更新 2026-10-23

訪問介護の人件費率は67.8%(令和7年度調査)と自社の計算

訪問介護の人件費率の目安は、厚生労働省の令和7年度介護事業経営概況調査で、令和6年度決算が67.8%、令和5年度決算が67.0%と公表されている「収入に対する給与費の割合」です。自事業所の計画値は、月間人件費÷月間売上モデルで求めて同じ形で比べます。この記事では、公表値の範囲と読み方、延べ訪問回数の階級別の値、本サイトのシミュレーターの結果欄から自社の計画値を同じ形で出す方法を整理します。

この記事の要点

公表値
訪問介護の収入に対する給与費の割合は、令和6年度決算で67.8%、令和5年度決算で67.0%(厚生労働省 令和7年度介護事業経営概況調査)
令和6年度決算の内訳
1事業所あたり月平均で、収入3,290千円、給与費2,230千円
分母の範囲
収入には、介護料収入、保険外の利用料による収入、補助金収入などを含む
補助金を含む集計
コロナ関連・物価高騰対策関連の補助金を含めた値は、66.9%(令和5年度決算)・67.7%(令和6年度決算)と別に示されている
自事業所の計画値
月間人件費÷月間売上モデルで求め、公表値と同じ形で比べる

厚生労働省調査の「収入に対する給与費の割合」

厚生労働省老健局老人保健課の「令和7年度介護事業経営概況調査結果」は、令和7年5月に令和5年度決算と令和6年度決算を調べた結果です。訪問介護の調査客体は1,502、有効回答は638(有効回答率42.5%)で、第4表に1事業所あたりの月平均の収支が示されています。給与費は介護事業費用の一科目で、比率は収入に対する割合として表示されます。

令和6年度決算では、収入が月3,290千円、給与費が月2,230千円で、収入に対する給与費の割合は67.8%です。令和5年度決算は収入3,257千円、給与費2,184千円で67.0%です。調査結果の概要の表でも、訪問介護の収入に対する給与費の割合は令和5年度決算67.0%、令和6年度決算67.8%(対前年度+0.8ポイント)とされています。

第4表の割合の分母は「収入①」で、介護事業収益(介護料収入、保険外の利用料による収入、補助金収入など)と介護事業外収益を合わせた額です。コロナ関連補助金と物価高騰対策関連補助金を含めて集計した値は、概要の表で66.9%(令和5年度決算)・67.7%(令和6年度決算)と別に示されています。人件費率として比べるときは、どちらの集計かを確認してください。

給与費に対して提供時間がどれだけ売上につながるかは「訪問介護の稼働率の計算式と読み方」で確認できます。

訪問介護の収入に対する給与費の割合(1事業所あたり月平均、補助金を含まない集計)
決算年度収入①(千円/月)給与費(千円/月)収入に対する給与費の割合
令和5年度決算3,2572,18467.0%
令和6年度決算3,2902,23067.8%

この記事で決めること

訪問介護の人件費率にあたる「収入に対する給与費の割合」の厚生労働省調査の公表値と、月間人件費÷月間売上モデルで自社の計画値を同じ形に読む方法を確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、人件費率の計画値と調査値の比較メモを作成できる状態を目指します。

過去の調査と比べるときの注意点

概要の表には、参考として令和5年度実態調査(令和4年度決算)の訪問介護の給与費の割合72.2%が並べて載っています。ただし、その調査の訪問介護の有効回答は1,311、令和7年度概況調査は638で、調査ごとに回答した事業所が同一とは限りません。

72.2%から67.8%への変化を「人件費率が下がった」と読むのは避け、令和7年度概況調査の中で、いずれも有効回答638の令和5年度決算67.0%と令和6年度決算67.8%(+0.8ポイント)を比べるほうが安全です。

延べ訪問回数の階級別の値(令和6年度決算)

第73表は、令和6年度決算を月の延べ訪問回数の階級に分けた値です。収入に対する給与費の割合は、訪問回数が最も多い2階級(1,401〜2,000回、2,001回以上)で65.5%・61.4%と全体の67.8%より低く、201〜600回の階級は75%台です。ただし、階級ごとの有効回答は26〜142件と少なく、回数が増えるほど順に下がる形ではありません。

給与費の割合が低い階級が、収支差率も高いとは限りません。1,201〜1,400回の階級は給与費の割合が68.2%で税引前収支差率が4.8%、601〜800回の階級は給与費の割合が70.0%で税引前収支差率が13.9%です。給与費以外では、「その他」の費用の割合が1,201〜1,400回の階級で22.2%、601〜800回の階級で12.4%と違っており、人件費率だけで採算は判断できません。

延べ訪問回数の階級別の給与費の割合(令和6年度決算、1事業所あたり月平均)
延べ訪問回数(月)の階級有効回答数収入に対する給与費の割合税引前収支差率
200回以下7769.9%10.9%
201〜400回14275.3%2.8%
401〜600回12275.1%7.0%
601〜800回6870.0%13.9%
801〜1,000回4974.4%7.5%
1,001〜1,200回4268.4%11.3%
1,201〜1,400回2668.2%4.8%
1,401〜2,000回4665.5%8.9%
2,001回以上6661.4%12.4%

シミュレーターで自社の計画値を同じ形で出す

シミュレーターの結果欄には「月間売上モデル」と「月間人件費」が表示されますが、人件費率という項目はありません。自社の計画値は、月間人件費を月間売上モデルで割って自分で計算します。月間人件費は、入力した「月給者の事業主負担額」と、「時給者の有給時間」×「時給者の事業主負担単価」の合計です。

架空の数値例です。月間売上モデルが3,000,000円、月間人件費が2,000,000円なら、2,000,000÷3,000,000で約66.7%になります。この値を調査の67.8%や、自社の延べ訪問回数に近い階級の値と並べて、差の大きさを見ます。

並べるときは範囲の違いに注意します。調査の分母は保険外の利用料や補助金なども含む収入①で、シミュレーターの分母は報酬の計算による月間売上モデルです。

調査の給与費にどの項目(賞与や法定福利費など)が含まれるかは、結果資料に定義の記載が無く、調査の記入要領も取得できなかったため未確認です。自社の入力に含めた項目と調査の給与費の範囲が同じとは断定できないので、差は目安として読みます。

  1. 人件費の内訳を確認する: 月給者・時給者の人件費の入力と、採用時期を含む人員計画の前提を確認します。 人員計画と採用シナリオ と 人員と提供能力で確認します。
  2. 有給時間と提供時間を確認する: 移動・待機・記録を含む有給時間と、サービス提供時間の入力を確認します。 雇用・勤怠と移動時間 と 人員と提供能力で確認します。

自事業所の人件費率を計算して目安と比べる

月間の売上と人件費を入れると、人件費÷売上を計算し、調査の67.8%との差を表示します。

売上と人件費を入力すると、人件費率を表示します。

収支の試算へ進む →

リンク先では月間人件費だけが入力済みになります。訪問件数・単位数・1単位単価を入れると、黒字化の月や資金残高まで試算できます。

読み方の注意

調査の割合は、回答した事業所の1事業所あたり平均を集計した実績値で、目標値や基準ではありません。自社の人件費率が調査の値より高い、または低いことだけで、事業の可否や賃金水準の良否は判断できません。

計画値と調査値の差が大きいときは、人件費の入力(月給者の額、有給時間、事業主負担単価)と、売上側の入力(月間訪問件数、1訪問あたり単位数、1単位単価)の両方を見直し、見直した前提と日付を残します。

最低賃金の改定を時給の前提に反映する(令和8年度)

上の67.8%は令和6年度決算の調査値です。令和8年度の地域別最低賃金の改定は含まれていません。事業計画の時給や月間人件費の前提を、令和8年度の改定後の水準で見直すときの確認点を整理します。

厚生労働省の「地域別最低賃金の全国一覧」によると、令和8年度の全国加重平均は1,177円で、改定前の1,121円から56円(5.0%)の引上げとして答申されています。都道府県別の金額と発効日は同じ一覧にあり、発効日は令和8年10月1日から12月2日までと地域で異なります。発効日の一覧は運用カレンダーに並べています。

最低賃金法第4条は、最低賃金の適用を受ける労働者に最低賃金額以上の賃金を支払うよう使用者に求め、これに達しない契約の部分は無効になると定めています。開業予定の都道府県の金額と発効日を一覧で確認し、計画に置く時給がその額を下回っていないかを見直します。

どの賃金が最低賃金の比較に含まれるかは、法律と厚生労働省令で決まっていて、個別の賃金体系に当てはまるかは、この記事では判断しません。計画の時給は、事業開始の日が発効日の前か後かで前提を分けておくと、見直しがしやすくなります。

3つの規模の収支を並べた記事

階級別の給与費の割合を、収入・その他の費用・収支差率とあわせて3つの規模で並べた表は、訪問介護の事業所規模別の収支比較(月約300回・700回・1,650回、令和6年度決算)にあります。

あわせて確認する論点

人件費率のほかに、月次の利益率を公表値の収支差率と比べたい場合は、訪問介護の利益率と収支差率の違い(9.6%の読み方)で定義の違いを確認できます。

ほかの経営指標と並べて見る

稼働率・人件費率・損益分岐点・収支差率の式と公表値を1枚の表にした記事は、訪問介護の経営指標の早見表:稼働率・人件費率・損益分岐点・収支差率です。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. シミュレーターの基準ケースで、結果欄の月間人件費と月間売上モデルを書き出す
  2. 月間人件費を月間売上モデルで割って自社の計画値を出し、調査の67.8%と延べ訪問回数の近い階級の値を並べる
  3. 調査の分母(保険外利用料や補助金を含む収入)と自社の月間売上モデルの範囲の違い、給与費に含める項目の範囲の違いを記録する
  4. 差が大きい場合は人員計画と有給時間の入力を見直し、見直した前提と日付を残す

関連ガイドで計画をつなぐ

隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。

よくある質問

迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。

訪問介護の人件費率は、何%が目安ですか?

厚生労働省の令和7年度介護事業経営概況調査では、訪問介護の収入に対する給与費の割合は、令和6年度決算で67.8%、令和5年度決算で67.0%です。令和6年度決算の1事業所あたり月平均は、収入3,290千円、給与費2,230千円です。

自分の事業所の人件費率は、どう計算して比べればよいですか?

月間人件費を月間売上モデルで割って求めます。たとえば月間売上モデルが3,000,000円、月間人件費が2,000,000円なら約66.7%です(架空の数値例)。調査の分母は保険外の利用料や補助金なども含む収入で、シミュレーターの分母は報酬の計算による売上モデルのため、範囲の違いに注意して目安として比べます。

訪問回数が多い事業所ほど、人件費率は低くなりますか?

訪問回数が最も多い2階級(月1,401〜2,000回、2,001回以上)は65.5%・61.4%と全体の67.8%より低い一方、回数が増えるほど順に下がる形ではありません。階級ごとの有効回答は26〜142件と少なく、給与費の割合が低くても収支差率が高いとは限らないため、人件費率だけで採算は判断できません。

事業計画ツールで確かめる

記事で整理した前提を事業計画ツールへ入力し、基準ケースだけでなく保守ケースの結果も確認します。

事業計画ツールを開く →

この例で収支を試算する →(月約700回の事業所規模のモデル例を入力した状態で開きます。厚生労働省の調査の月平均から換算したモデル値で、公定値ではありません)

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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