事業計画 / 更新 2026-09-22

訪問介護の人件費率(収入に対する給与費の割合)67.8%と訪問回数階級別の値(令和7年度概況調査)

訪問介護の人件費率にあたる数値は、厚生労働省の令和7年度介護事業経営概況調査で「収入に対する給与費の割合」として公表されています。令和6年度決算は67.8%、令和5年度決算は67.0%です。この記事では、公表値の範囲と読み方、延べ訪問回数の階級別の値、本サイトのシミュレーターの結果欄から自社の計画値を同じ形で出す方法を整理します。

この記事で決めること

訪問介護の人件費率にあたる「収入に対する給与費の割合」の厚生労働省調査の公表値と、月間人件費÷月間売上モデルで自社の計画値を同じ形に読む方法を確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、人件費率の計画値と調査値の比較メモを作成できる状態を目指します。

厚生労働省調査の「収入に対する給与費の割合」

厚生労働省老健局老人保健課の「令和7年度介護事業経営概況調査結果」は、令和7年5月に令和5年度決算と令和6年度決算を調べた結果です。訪問介護の調査客体は1,502、有効回答は638(有効回答率42.5%)で、第4表に1事業所あたりの月平均の収支が示されています。給与費は介護事業費用の一科目で、比率は収入に対する割合として表示されます。

令和6年度決算では、収入が月3,290千円、給与費が月2,230千円で、収入に対する給与費の割合は67.8%です。令和5年度決算は収入3,257千円、給与費2,184千円で67.0%です。調査結果の概要の表でも、訪問介護の収入に対する給与費の割合は令和5年度決算67.0%、令和6年度決算67.8%(対前年度+0.8ポイント)とされています。

第4表の割合の分母は「収入①」で、介護事業収益(介護料収入、保険外の利用料による収入、補助金収入など)と介護事業外収益を合わせた額です。コロナ関連補助金と物価高騰対策関連補助金を含めて集計した値は、概要の表で66.9%(令和5年度決算)・67.7%(令和6年度決算)と別に示されています。人件費率として比べるときは、どちらの集計かを確認してください。

訪問介護の収入に対する給与費の割合(1事業所あたり月平均、補助金を含まない集計)
決算年度収入①(千円/月)給与費(千円/月)収入に対する給与費の割合
令和5年度決算3,2572,18467.0%
令和6年度決算3,2902,23067.8%

過去の調査との並びは増減として読まない

概要の表には、参考として令和5年度実態調査(令和4年度決算)の訪問介護の給与費の割合72.2%が並べて載っています。ただし、その調査の訪問介護の有効回答は1,311、令和7年度概況調査は638で、調査ごとに回答した事業所が同一とは限りません。

72.2%から67.8%への変化を「人件費率が下がった」と読むのは避け、令和7年度概況調査の中で、いずれも有効回答638の令和5年度決算67.0%と令和6年度決算67.8%(+0.8ポイント)を比べるほうが安全です。

延べ訪問回数の階級別の値(令和6年度決算)

第73表は、令和6年度決算を月の延べ訪問回数の階級に分けた値です。収入に対する給与費の割合は、訪問回数が最も多い2階級(1,401〜2,000回、2,001回以上)で65.5%・61.4%と全体の67.8%より低く、201〜600回の階級は75%台です。ただし、階級ごとの有効回答は26〜142件と少なく、回数が増えるほど順に下がる形ではありません。

給与費の割合が低い階級が、収支差率も高いとは限りません。1,201〜1,400回の階級は給与費の割合が68.2%で税引前収支差率が4.8%、601〜800回の階級は給与費の割合が70.0%で税引前収支差率が13.9%です。給与費以外では、「その他」の費用の割合が1,201〜1,400回の階級で22.2%、601〜800回の階級で12.4%と違っており、人件費率だけで採算は判断できません。

延べ訪問回数の階級別の給与費の割合(令和6年度決算、1事業所あたり月平均)
延べ訪問回数(月)の階級有効回答数収入に対する給与費の割合税引前収支差率
200回以下7769.9%10.9%
201〜400回14275.3%2.8%
401〜600回12275.1%7.0%
601〜800回6870.0%13.9%
801〜1,000回4974.4%7.5%
1,001〜1,200回4268.4%11.3%
1,201〜1,400回2668.2%4.8%
1,401〜2,000回4665.5%8.9%
2,001回以上6661.4%12.4%

シミュレーターで自社の計画値を同じ形で出す

シミュレーターの結果欄には「月間売上モデル」と「月間人件費」が表示されますが、人件費率という項目はありません。自社の計画値は、月間人件費を月間売上モデルで割って自分で計算します。月間人件費は、入力した「月給者の事業主負担額」と、「時給者の有給時間」×「時給者の事業主負担単価」の合計です。

架空の数値例です。月間売上モデルが3,000,000円、月間人件費が2,000,000円なら、2,000,000÷3,000,000で約66.7%になります。この値を調査の67.8%や、自社の延べ訪問回数に近い階級の値と並べて、差の大きさを見ます。

並べるときは範囲の違いに注意します。調査の分母は保険外の利用料や補助金なども含む収入①で、シミュレーターの分母は報酬の計算による月間売上モデルです。調査の給与費にどの項目(賞与や法定福利費など)が含まれるかは、結果資料に定義の記載が無く、調査の記入要領も取得できなかったため未確認です。自社の入力に含めた項目と調査の給与費の範囲が同じとは断定できないので、差は目安として読みます。

  1. 人件費の内訳を確認する: 月給者・時給者の人件費の入力と、採用時期を含む人員計画の前提を確認します。 人員計画と採用シナリオ人員と提供能力で確認します。
  2. 有給時間と提供時間を確認する: 移動・待機・記録を含む有給時間と、サービス提供時間の入力を確認します。 雇用・勤怠と移動時間人員と提供能力で確認します。

読み方の注意

調査の割合は、回答した事業所の1事業所あたり平均を集計した実績値で、目標値や基準ではありません。自社の人件費率が調査の値より高い、または低いことだけで、事業の可否や賃金水準の良否は判断できません。

計画値と調査値の差が大きいときは、人件費の入力(月給者の額、有給時間、事業主負担単価)と、売上側の入力(月間訪問件数、1訪問あたり単位数、1単位単価)の両方を見直し、見直した前提と日付を残します。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. シミュレーターの基準ケースで、結果欄の月間人件費と月間売上モデルを書き出す
  2. 月間人件費を月間売上モデルで割って自社の計画値を出し、調査の67.8%と延べ訪問回数の近い階級の値を並べる
  3. 調査の分母(保険外利用料や補助金を含む収入)と自社の月間売上モデルの範囲の違い、給与費に含める項目の範囲の違いを記録する
  4. 差が大きい場合は人員計画と有給時間の入力を見直し、見直した前提と日付を残す

事業計画ツールで確かめる

記事で整理した前提を事業計画ツールへ入力し、基準ケースだけでなく保守ケースの結果も確認します。制度上の適否や請求額を自動判定するものではありません。

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一次資料

制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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