事業計画 / 更新 2026-09-30
訪問介護の生活援助中心型(ロ)を算定できる利用者の要件(単身世帯・家族等が家事困難)
訪問介護の「生活援助が中心である場合」(ロ区分)は、調理・洗濯・掃除などの家事の援助であれば誰にでも算定できるわけではなく、告示が利用者の状況を限っています。この記事は、厚生労働省の告示(訪問介護費 注3)と留意事項通知(老企第36号)から、算定できる利用者の範囲、居宅サービス計画に書く内容、事業所が受付時に確かめる点を整理します。
この記事で決めること
生活援助中心型を算定できる利用者の範囲と、居宅サービス計画に書く算定理由、受付時に確かめる点を理解するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、生活援助中心型の受付時確認シートを作成できる状態を目指します。
告示が定める対象の利用者(訪問介護費 注3)
告示(指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準)の訪問介護費の注3は、ロ(生活援助が中心である場合)を、単身の世帯に属する利用者、または家族もしくは親族(家族等)と同居している利用者であって、その家族等の障害、疾病等の理由により、利用者または家族等が家事を行うことが困難であるものに対して、生活援助が中心である指定訪問介護を行った場合に算定すると定めています。つまり、対象は「単身の世帯」と「同居家族等が障害・疾病等で家事ができない世帯」の2つの場合です。
注3は、生活援助を、調理、洗濯、掃除等の家事の援助であって、これを受けなければ日常生活を営むのに支障が生ずる居宅要介護者に対して行われるものと定義しています。この定義に当たる行為かどうかは、訪問介護でできること・できないこと一覧で整理しています。
| 利用者の世帯の状況 | 算定の考え方 |
|---|---|
| 単身の世帯に属する利用者 | 家事の援助が必要な状況であれば、注3の対象になる |
| 家族等と同居している利用者 | 家族等の障害、疾病等の理由により、利用者または家族等が家事を行うことが困難である場合に限り、対象になる |
「障害、疾病等」以外のやむを得ない事情(留意事項通知)
平成27年度改正版の留意事項通知(老企第36号)は、注3の「家族等が障害、疾病等のため、利用者や家族等が家事を行うことが困難な場合」について、障害、疾病のほか、障害、疾病がない場合であっても、同様のやむを得ない事情により家事が困難な場合をいうものと説明しています。同居家族がいることだけで算定できないと決まるわけではなく、同居家族の有無と、家事が困難かどうかの事情を分けて見る必要があります。
この通知の文言は、同居家族の就労や外出だけを理由に対象とする、あるいは対象から外すといった個別の基準を示していません。個々の利用者が対象になるかは、居宅サービス計画を作るケアマネジャーが利用者の状況を確かめて位置づけるものです。事業所が単独で決められる事項ではないため、受付時は根拠となる事情を居宅サービス計画から確認します。なお、この通知の最新の版で同じ文言が維持されているかは、本記事では確認していません。運用は指定権者や居宅介護支援事業者に確認してください。
居宅サービス計画に書く内容と受付時の確認
同じ留意事項通知は、居宅サービス計画に生活援助中心型の訪問介護を位置づける場合、居宅サービス計画書に生活援助中心型の算定理由その他やむを得ない事情の内容を記載することを求めています。あわせて、生活全般の解決すべき課題に対応して、その解決に必要であって最適なサービスの内容とその方針を明確に記載する必要があるとしています。
訪問介護事業所の側では、新規の依頼を受けるとき、居宅サービス計画書に算定理由が書かれているかを確認する手順を置くと、対象外の利用者へ生活援助中心型を提供するリスクを減らせます。世帯の状況が変わり、家族が家事をできるようになった場合は、計画の見直しをケアマネジャーへ連絡する窓口も決めておきます。個別の利用者が対象かどうかの判断は事業所では行いません。
複数の要介護者がいる世帯での生活援助の時間の振り分け
留意事項通知は、複数の要介護者がいる世帯で同一時間帯に訪問サービスを利用した場合、それぞれに標準的な所要時間を見込んで居宅サービス計画上に位置づけるとしたうえで、生活援助については、要介護者間で適宜所要時間を振り分けることとしています。生活援助については、同じ時間帯に同じ世帯で複数の要介護者へ提供しても、要介護者ごとに標準の時間を重ねて置くのではなく、時間を振り分けて位置づけます。
事業計画で複数の要介護者がいる世帯の生活援助を見込むときは、この振り分けを前提に時間を置きます。単位数の積み上げは訪問介護の売上構造で、生活援助中心型の月あたりの回数基準とケアプランの届出は訪問介護(生活援助中心型)の回数基準とケアプラン届出で確認できます。
事業設計で確かめる点
生活援助中心型の依頼は、対象の利用者かどうかが居宅サービス計画で決まるため、算定できる依頼が来る量は、地域のケアマネジャーの計画の付け方に左右されます。開業前に、事業所を置く市区町村の生活援助の位置づけに関する考え方を、指定権者や地域の居宅介護支援事業所に確認しておくと、見込みが実態から離れにくくなります。
また、生活援助中心型を担える人員の資格は、身体介護中心型と同じではありません。担い手の資格の整理は訪問介護員等の資格・研修と算定できる区分を参照してください。本記事は制度の一般的な整理で、個別の利用者が対象かの判断や、算定可否の断定はしません。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 依頼を受けるとき、居宅サービス計画書に生活援助中心型の算定理由(単身の世帯か、同居家族等が障害・疾病等で家事が困難か)が記載されているかを確認する
- 同居家族がいる利用者は、家族等が家事を行うことが困難な事情の内容が計画に書かれているかを確認し、書かれていなければケアマネジャーへ問い合わせる
- 複数の要介護者がいる世帯では、生活援助の時間が要介護者間で振り分けて位置づけられているかを確認する
- 世帯の状況が変わったときにケアマネジャーへ連絡する窓口を決め、事業計画の生活援助の見込みは地域の居宅介護支援事業所や指定権者への確認結果に基づいて置く
一次資料
制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(確認日 2026-09-28)
- 厚生労働省老健局「別紙1 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日老企第36号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)(抄)(新旧対照表)」(確認日 2026-09-26)
- 厚生労働省老健局「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日老企第36号)平成27年度改正版」(確認日 2026-09-28)