事業計画 / 更新 2026-09-21

訪問介護の売上構造と報酬計算

訪問介護の売上は、利用者数へ平均単価を掛けるだけでは説明できません。サービスごとの単位、提供回数、地域別の換算、確認済みの加減算を分け、請求可能性と実際の提供能力を同時に見ます。

この記事で決めること

訪問件数と公定値から月次売上の構成を理解するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、サービス別の単位・単価・件数を分けた月次売上表を作成できる状態を目指します。

売上をサービス行ごとに組み立てる

まず対象の制度版を固定し、サービス区分ごとに単位、月間提供回数、該当地域の一単位当たり単価を記録します。複数サービスを平均単価へまとめると、構成比や制度版が変わった理由を追えません。

加算・減算は基本報酬と分け、対象、届出、算定条件、記録が確認できるものだけを計画へ反映します。名称が似ていても対象サービスや適用時期が異なることがあるため、厚生労働省の現行資料から根拠をたどります。

損益分岐の訪問件数(当月の人件費・固定費・変動費の合計を、1回当たりの単位数と地域の一単位当たり単価の積で割った値)を確認すると、その月の費用を回収するために最低限必要な訪問件数がわかります。計画上の訪問件数がこれを下回る場合は、単価構成の見直しか費用の圧縮を検討します。

月間売上は「単位数×訪問件数×1単位単価」で求める

月間売上の基本部分は、サービス行ごとに「1訪問あたりの単位数 × 月間の訪問件数 × 地域の1単位単価」で金額を出し、行を合計して求めます。事業計画ツールは、サービス行の合計を1円未満切り捨てとして扱います。加算・減算は現在のツールでは入力も計算もしません。月間の訪問件数は、基準ケースでは行ごとの利用者数に1人あたり月間訪問回数を掛けて整数に丸めた値です。

下の表は、公定値台帳にある単位数と地域別単価(現行版の値)に、訪問の人数・回数の仮定を置いた説明用の計算例です。数値は例示であり、実際の計画では制度版と確認日を確かめてから入力します。この例は売上や利益を保証するものではなく、加算・減算、通院等乗降介助、同一建物減算、返戻や入金遅れは含んでいません。請求額の確定は請求ソフトと審査結果で確認します。

月間売上の計算例(仮定:4級地、身体介護中心と生活援助中心の2行)と事業計画ツールの入力欄
項目計算例(架空の仮定を含む)事業計画ツールの入力欄
1訪問あたり単位数身体介護中心(30分以上1時間未満)387単位、生活援助中心(20分以上45分未満)179単位「1. 事業条件と提供量」の「1訪問あたり単位数」(サービス・時間区分の選択肢から選ぶか手入力)を決め、「現在のサービス条件を計画行に追加」でサービス行にする
地域の1単位単価4級地の10.84円「事業所所在地の地域区分」を選ぶと反映される「現行版の1単位単価」(手入力も可)
月間の訪問件数身体介護:10人×月4回=40件、生活援助:5人×月4回=20件(人数と回数は仮定)サービス行の「利用者数」と「1人あたり月間訪問」
行ごとの金額身体介護:387×40×10.84=167,803.2円、生活援助:179×20×10.84=38,807.2円行ごとに自動で展開して計算される
月間売上(サービス行の合計)167,803.2+38,807.2=206,610.4円。1円未満を切り捨てて206,610円結果画面の売上に反映される(加算・減算は含まれない)

利用者数を訪問回数へ変換する

利用者数だけでは売上を計算できません。利用者ごとの開始月、週・月の訪問頻度、サービス構成、休止・終了を月別の提供回数へ変換します。

新規相談がすべて契約・提供へ進む前提は置かず、紹介、提供可否、契約、初回提供、継続の工程を分けます。開始時期がずれた場合は、売上だけでなく採用と現金の計画も同時に更新します。

請求できる量と提供できる量を照合する

売上計画の訪問回数が、職員の対応曜日・時間帯、資格、移動、記録を含む勤務時間で実行できるか照合します。制度上算定できる想定でも、提供枠がなければ売上にはなりません。

職員別の有給時間と提供時間を分け、地域・時間帯別に空き枠を確認します。稼働を詰めすぎて緊急対応や記録の余白がなくなる計画は、保守ケースで受入件数を下げます。

売上・請求・入金を別の数字として読む

提供実績から算出した売上、国保連等へ提出した請求、審査後の決定額、実際の入金額は同じとは限りません。返戻・保留・過誤や利用者負担の未収を別状態で管理します。

事業計画ツールの結果はモデル計算であり、公的請求額を確定するものではありません。制度版、確認日、入力値、未考慮項目を確認し、請求ソフトや審査結果との照合へつなげます。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 対象サービスと適用する制度版を固定する
  2. 基本報酬と確認済みの加減算を分ける
  3. 訪問件数と1訪問あたり単位数を置く
  4. 計算結果と請求額を同一視していないか確認する

関連ガイドで計画をつなぐ

隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。

よくある質問

迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。

利用者数だけで月間売上を計算できますか?

利用者数だけでは足りません。サービス区分、提供回数、制度版、地域別の換算、確認済みの加減算を分けて月次売上を組み立てます。

加算はすべて売上計画へ入れてよいですか?

対象、届出、算定条件、必要な記録を確認できるものだけを基本報酬と分けて反映します。名称だけから算定可能とは判断しません。

売上と実際の入金額は同じですか?

提供実績に基づく売上、提出した請求、審査後の決定額、実際の入金は分けて管理します。返戻や利用者負担の未収も別に扱います。

事業計画ツールで確かめる

記事で整理した前提を事業計画ツールへ入力し、基準ケースだけでなく保守ケースの結果も確認します。制度上の適否や請求額を自動判定するものではありません。

事業計画ツールを開く →

一次資料

制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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