運営 / 更新 2026-10-26
要介護認定・給付への不服は介護保険審査会へ:審査請求は知った日の翌日から3か月
利用者が要介護認定や保険給付の決定に納得していないとき、不服を申し立てる先は、都道府県に置かれる介護保険審査会です。介護保険法第192条は、審査請求の期間を、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内と定めています。事業所が行うのは、この仕組みがあることの案内までで、個別の処分の当否の判断や書類の代行は含まれません。
審査請求の対象・先・期間
不服がある者は、介護保険審査会に審査請求をすることができます(介護保険法第183条第1項)。対象は、保険給付に関する処分(被保険者証の交付の請求に関する処分と、要介護認定又は要支援認定に関する処分を含む)と、保険料その他の徴収金に関する処分です。
審査会は各都道府県に置かれ(第184条)、審査請求は処分をした市町村を含む都道府県の審査会にします(第191条第1項)。期間と方式は第192条が、処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内に、文書又は口頭でしなければならないと定めています。正当な理由でこの期間内にできなかったことを疎明したときは例外です。
| 確認したいこと | 条文の内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 何に対して | 保険給付に関する処分(要介護認定・要支援認定を含む)と、徴収金に関する処分 | 介護保険法第183条第1項 |
| どこへ | 処分をした市町村を含む都道府県の介護保険審査会 | 同法第184条・第191条第1項 |
| いつまでに | 処分があったことを知った日の翌日から3月以内(正当な理由があれば例外) | 同法第192条 |
| どうやって | 文書又は口頭 | 同法第192条 |
この記事で決めること
訪問介護事業所の管理者やサービス提供責任者が、利用者から要介護認定や保険給付の処分への不満を聞いたとき、審査請求の先・期間・方式を介護保険法の条文で確かめ、事業所として案内できる範囲を知るための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、利用者から不服を聞いたときの案内メモ(不服の対象となる処分、利用者が処分を知った日、審査請求の先と3か月の期限、処分通知書の教示欄の写し、案内した日と相手)を作成できる状態を目指します。
訴訟との順序と、処分の通知にある教示
第183条第1項の処分の取消しの訴えは、その処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ提起できません(第196条)。介護保険の保険給付や認定の処分では、審査請求が先に来る順序です。
行政不服審査法第82条第1項は、不服申立てができる処分をする行政庁に、不服申立てができる旨、申立てをすべき行政庁、申立てができる期間を、書面で教示するよう求めています。口頭で処分をする場合は除かれます。実際の宛先と期間は、利用者に届いた処分通知書の教示欄で確かめるのが確実です。
行政不服審査法第18条第1項は、審査請求を、処分があったことを知った日の翌日から起算して3月を経過したときはできないと定めており、介護保険法第192条と同じ長さです。
訪問介護事業所が案内できること・しないこと
条文が不服を申し立てる主体としているのは、処分に不服がある者です。訪問介護事業所は、サービスを提供する立場にあり、この審査請求の当事者として条文に出てくるわけではありません。したがって、事業所の役割は、仕組みがあることを伝え、処分通知書の教示欄を一緒に確かめるところまでと考えるのが無理のない線引きです(条文からの整理で、事業所の義務ではありません)。
処分が違法・不当かどうか、審査請求で認められる見込み、審査請求書の書き方の助言や代理は、個別の法的助言に当たるため、この記事では扱いません。必要になった利用者には、市町村の窓口、地域包括支援センター、都道府県の窓口、弁護士などの専門家に相談するよう案内します。
事業所のサービスそのものへの苦情は、この審査請求の対象ではありません。苦情の受付と記録は訪問介護の苦情処理(基準第36条):窓口・記録・市町村と国保連の調査協力と改善報告で確認できます。
関連する記事
認定の申請や更新の援助は要介護認定の申請援助・更新申請援助(基準第11条・第12条)、受給資格の確認は訪問介護の受給資格の確認手順:被保険者証・認定有効期間・負担割合証・給付制限で確認できます。事業所自身が指定の取消しなどの処分を受けたあとの審査請求は、訪問介護の指定取消し・効力停止を受けたあと:審査請求と取消訴訟の期間と、執行停止の位置づけに別に整理しています。利用者の不服と事業所自身の処分は、審査請求の先も当事者も別です。
この記事で確認した範囲
2026-10-26に、介護保険法の第183条・第184条・第189条・第191条・第192条・第196条と、行政不服審査法の第18条・第82条を、e-Govの現行条文で確認しました。
審査会の審理の実際の流れ、政令(第195条)で定める手続の細目、審査請求書の記載事項は確認しておらず、書いていません。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 利用者が不満を持つ対象が、要介護認定・保険給付・保険料などの市町村の処分なのか、事業所のサービス内容なのかを聞き分けて記録する
- 市町村の処分なら、処分通知書に書かれた教示(審査請求先と期間)を見せてもらい、処分を知った日を確かめて書き写す
- 審査請求は都道府県の介護保険審査会にすること、期間は処分を知った日の翌日から3か月以内であることを案内し、手続の詳細は市町村または審査会の窓口に確かめるよう伝える
- 事業所のサービスへの苦情は、苦情処理の手順に切り分けて記録する。処分の当否や勝てるかの助言はしない
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「介護保険法第183条・第184条・第189条・第191条・第192条・第196条(審査請求)、行政不服審査法第18条・第82条」(介護保険法第183条第1項・第2項、第184条、第189条、第191条第1項、第192条、第196条/行政不服審査法第18条第1項・第82条第1項)(確認日 2026-10-26)