運営 / 更新 2026-10-17

訪問介護員の爪切り・口腔清拭・浣腸など6行為(医政発第0726005号 注1)

爪切り、口腔内の清拭、耳垢の除去、ストマ装具のパウチの排泄物の廃棄、自己導尿の補助、市販のグリセリン浣腸器による浣腸の6つは、通知が挙げる条件の範囲で、原則として医行為ではないと整理されています。訪問介護員がこれらを行ってよいかは、厚生労働省の医政局長通知(平成17年7月26日医政発第0726005号)の注1が整理しています(医行為とは、医師の医学的判断と技術がなければ人体に危害を及ぼすおそれのある行為のことです)。この記事は、通知の本文(2026年10月17日確認)で、6行為それぞれの条件と除外、浣腸器の規格、注2・注3・注5の扱い、事業所で決めておくことを確認します(個々の利用者の状態が条件を満たすかの判断はしません)。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

注1が挙げている6つの行為と、条件・除外

注1は、別紙1〜5とは別に、次の6つを「原則として医行為ではない」と挙げています。どれも、条件や除外が付いた書き方です。条件に当たらない場合や除外された行為は、この列挙には含まれません。

注1の6行為と、通知が付けている条件・除外
番号通知が挙げる行為通知が付けている条件・除外
①爪切りで爪を切ること、爪ヤスリでやすりがけすること爪そのものに異常がなく、爪の周囲の皮膚にも化膿や炎症がなく、糖尿病等の疾患に伴う専門的な管理が必要でない場合
②歯ブラシ・綿棒・巻き綿子などで、歯、口腔粘膜、舌に付着している汚れを取り除き、清潔にする日常的な刷掃・清拭重度の歯周病等がない場合
③耳垢を除去すること耳垢塞栓(耳垢が詰まった状態)の除去は除く
④ストマ装具のパウチにたまった排泄物を捨てること肌に接着したパウチの取り替えは除く
⑤自己導尿を補助するため、カテーテルの準備、体位の保持などを行うこと通知が挙げているのは準備と体位の保持など。カテーテルの挿入そのものは挙げられていない
⑥市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器を用いて浣腸すること浣腸器は次の節の規格の範囲内のもの

この記事で決めること

訪問介護員が爪切り、口腔内の清拭、耳垢の除去、ストマ装具のパウチの排泄物の廃棄、自己導尿の補助、市販のグリセリン浣腸器による浣腸を行うことについて、医政発第0726005号の注1が示す6行為の条件と除外、浣腸器の規格、注2・注3・注5の扱い、事業所が決めておくことを、通知の本文で確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、注1の6行為を頼まれたときに確かめる、条件・除外・確認先の一覧を作成できる状態を目指します。

浣腸器の規格(注1の注記)

⑥の浣腸について、通知は注記で、対象とする浣腸器の規格を挙げています。市販のものでも、この規格の範囲を超える浣腸器は、通知の列挙には含まれません。

次の表は注記の数値を、通知の文言どおりに並べたものです。通知は、どの利用者にどの量の浣腸を行うかの判断については書いていないため、この記事でもそれは示しません。

注1の⑥の浣腸器の規格(通知の注記)
項目通知の数値
挿入部の長さ5から6センチメートル程度以内
グリセリン濃度50%
成人用の容量40グラム程度以下
6歳から12歳未満の小児用の容量20グラム程度以下
1歳から6歳未満の幼児用の容量10グラム程度以下

病状が不安定な場合・研修と監督・看護職員の計画(注2・注3・注5)

注2は、注1の行為も、病状が不安定であるなど専門的な管理が必要な場合には医行為とされることがあり得ると書いています。そのため事業者は、サービス担当者会議(利用者のケアプランについて関係者が集まる会議)を開くときなどに、必要に応じて医師・歯科医師・看護職員へ、専門的な管理が必要な状態かどうかを確認することが考えられる、としています。病状が急に変わったときなどは、医師・歯科医師・看護職員に連絡するなど必要な措置をすぐにとる必要があります。

注3は、業として行う場合には実施する人に一定の研修や訓練が行われることが望ましく、事業者は事業を行ううえで、これらの行為が安全に行われるよう監督することが求められる、と書いています。注5は、看護職員による実施計画が立てられている場合は、具体的な手技や方法をその計画に基づいて行い、結果を報告、相談して連携するべきだと書いています。

なお、測った数値の範囲外の異常値を報告するという注2の後段は、別紙1〜3に向けた定めで、注1の行為には当たりません。

6行為を頼まれたときに事業所が決めておくこと

通知は、これらの行為の記録の様式や項目を定めていません。次の表の項目は事業所の運用の例で、通知が定めたものではありません。サービス提供の記録は運営基準第19条が提供した具体的なサービスの内容などの記載を求めており、その内容は「訪問介護のサービスの提供の記録(基準第19条)と身分を証する書類の携行(第18条)」で確認できます。

注1の行為を頼まれたときに決めておく事項(事業所の運用の例)
決めておく事項通知との対応
頼まれた行為が、6行為のどれか、条件や除外に外れていないかを確かめる順番注1の条件・除外(爪や皮膚の状態、重度の歯周病、耳垢塞栓、パウチの取り替え、浣腸器の規格)
病状が不安定かもしれないとき、誰に確認するか注2が、必要に応じて医師・歯科医師・看護職員への確認を挙げている
看護職員の実施計画があるかを確かめ、あるときは手技をその計画に合わせる注5が、計画に基づく手技と結果の報告・相談を求めている
行った内容と日時を、サービスの記録のどこに書くか通知に様式の定めはない。基準第19条のサービス提供の記録の中で決める
訪問介護員への研修や訓練と、事業所の監督の方法注3が、研修や訓練が望ましいことと、事業者の監督を挙げている

判断がつかないときの確認先

個々の利用者が条件に当たるか、頼まれた行為を行ってよいかは、利用者の主治医、訪問看護などの看護職員、担当のケアマネジャー、事業所を指定した都道府県・市区町村(指定権者)に確認してください。この記事は、通知の本文だけで書いており、通知の後の追補は確認していません。

医行為かどうかの全体の整理は「医行為ではない行為(医政発第0726005号)と介助の条件」に、切り傷ややけどの処置は「訪問介護員の軽微な切り傷・やけどの処置と汚物ガーゼの交換(医政発第0726005号)」にあります。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 頼まれた行為が、注1の6行為(爪切り・口腔内の清拭・耳垢の除去・ストマのパウチの排泄物の廃棄・自己導尿の補助・グリセリン浣腸)のどれに当たるかを確かめる
  2. 通知が付けている条件(爪や皮膚の状態、重度の歯周病がないこと、耳垢塞栓やパウチの取り替えの除外、浣腸器の規格)に外れていないかを確かめる
  3. 病状が不安定かもしれないときや条件に迷うときは、主治医または看護職員に確認し、日付と確認した相手を記録する
  4. 行った内容と日時をサービス提供の記録のどこに書くかを決め、看護職員の実施計画があるときはその手技に従い、結果を報告する

関連ガイドで計画をつなぐ

隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。

よくある質問

迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。

訪問介護員は利用者の爪を切ってもよいですか?

医政発第0726005号の注1は、爪そのものに異常がなく、爪の周囲の皮膚にも化膿や炎症がなく、糖尿病等の疾患に伴う専門的な管理が必要でない場合に、爪切りで切ることと爪ヤスリでやすりがけすることを、原則として医行為ではないと整理しています。条件に当たるか迷うときは、主治医や看護職員に確認します。

訪問介護員が浣腸をしてもよいですか?

注1は、市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器を用いて浣腸することを、原則として医行為ではない行為に挙げています。浣腸器は、挿入部の長さが5から6センチメートル程度以内、グリセリン濃度50%、成人用で40グラム程度以下など、通知の注記の規格の範囲内のものです。病状が不安定な場合は医行為とされることもあり得るため、通知は事業者が医師・歯科医師・看護職員に確認することが考えられるとしています。

ストーマ装具のパウチの取り替えは訪問介護員がしてもよいですか?

通知が挙げているのは、パウチにたまった排泄物を捨てることだけです。肌に接着したパウチの取り替えは、注1が除いています。

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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