運営 / 更新 2026-10-13

訪問介護員の雇入れ時の安全衛生教育:労働安全衛生規則第35条の8項目と登録ヘルパー

訪問介護事業所は、訪問介護員を雇い入れたとき、従事する業務に関する安全または衛生のための教育を行う義務があります。労働安全衛生法第59条が定め、教える事項は労働安全衛生規則第35条の8項目のうち業務に必要なもので、パートや登録ヘルパーも労働者であれば対象になり、担当する業務を変えたときも同じ教育が必要です。このページは、8項目を訪問介護の業務に当てはめる考え方と、教育を省略できる場合をe-Gov法令検索で整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護事業所の経営者が、訪問介護員を雇い入れたときや担当業務を変えたときに、労働安全衛生法第59条と労働安全衛生規則第35条で求められる安全衛生教育の内容、対象、省略できる場合を確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、雇入れ時の安全衛生教育の実施表(教育8項目ごとの訪問介護での内容、使う資料、担当者、実施日、受けた人の署名)を作成できる状態を目指します。

対象は、雇い入れた労働者全員と、業務を変えたとき

労働安全衛生法第59条第1項は、事業者が労働者を雇い入れたとき、その従事する業務に関する安全または衛生のための教育を行わなければならないと定めています。第2項は、労働者の作業内容を変更したときにも同じ規定を当てはめるとしています。労働安全衛生規則第35条は、これを「遅滞なく」行うよう求めています。

ここでいう労働者は、労働基準法第9条の労働者で、職業の種類を問わず事業に使用される者で賃金を支払われる者です。正社員に限る定めはなく、雇用契約を結んで働くパートや登録ヘルパーの訪問介護員も、賃金を払って使用していれば当たります。雇用契約か業務委託かの見分け方は登録ヘルパーの雇用契約・勤務の扱いで扱っています。

教育を行う義務は事業者にあり、管理者やサービス提供責任者に任せる場合も、事業所として実施した記録を残します。実施の時期は、条文の「遅滞なく」に合わせ、初回の訪問に出る前に済ませておくと、教えていない状態で現場に出すことを避けられます。

労働安全衛生規則第35条の8項目を訪問介護に当てはめる

第35条第1項は、次の8項目のうち、その労働者が従事する業務に関する安全または衛生のために必要な事項を教えるとしています。条文は製造業を想定した言葉で書かれているため、訪問介護では事業所が業務に引き寄せて読み替えます。次の表の右の欄は、当てはめの一例です。

どの項目に何を入れるかは、事業所の業務の実態で決める事項です。条文が訪問介護の内容を指定しているわけではないため、表の右の欄は決まった正解ではなく、考え方の例として使ってください。

労働安全衛生規則第35条第1項の教育事項と、訪問介護での当てはめの例(e-Gov法令検索で確認、2026-10-13)
教育事項(第35条第1項)訪問介護での当てはめの例
機械等、原材料等の危険性または有害性と取扱い方法(第1号)介護用の機器、洗剤・消毒剤などの取扱い
安全装置、有害物抑制装置、保護具の性能と取扱い方法(第2号)手袋・マスクなど保護具の使い方
作業手順(第3号)訪問介護計画に沿った介助の手順、移乗などの介助方法
作業開始時の点検(第4号)訪問前の体調確認、持ち物や車両の点検
業務に関して発生するおそれのある疾病の原因と予防(第5号)腰痛、感染症、熱中症の予防
整理、整頓、清潔の保持(第6号)訪問先での清潔の保持、感染を広げない動き
事故時等の応急措置と退避(第7号)けがや急変、利用者宅での危険時の連絡と避難
その他、業務に関する安全または衛生に必要な事項(第8号)移動中の安全、単独訪問のリスクへの備え

省略できる場合と、記録の残し方

第35条第2項は、第1項の各号の事項の全部または一部について十分な知識と技能を有していると認められる労働者には、その事項の教育を省略できると定めています。たとえば経験豊富な介護福祉士に、すでに身につけている介助方法の教育を省く場合が考えられます。ただし「十分な知識と技能を有していると認められる」かどうかは事業所が判断するため、前職の経験を口頭で聞いただけで済ませず、確認した内容を残します。

記録の様式や保存期間は、このページで取り上げた条文には書かれていません。事業所の運用としては、実施日、教えた項目、使った資料、受けた人の署名を表に残し、雇用関係の書類と一緒に保管する運用が考えられます。保存期間などの扱いは、所轄の労働基準監督署に確認してください。

確認した範囲と、つなげて読むページ

このページが確認したのは、労働安全衛生法第2条・第59条、労働基準法第9条、労働安全衛生規則第35条(いずれもe-Gov法令検索)です。訪問介護への当てはめは事業所の判断で、個別の事業所が条文を満たしているかの判定ではありません。

個別の予防は、腰痛予防、感染対策の手引き、熱中症対策で扱っています。衛生委員会や産業医などの管理体制は衛生委員会・産業医・衛生管理者で整理しています。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 労働安全衛生規則第35条第1項の8項目を表の縦軸に並べ、訪問介護員の業務に当てはまる内容を横に書く。介護用具や保護具の取扱い、訪問前後の点検、腰痛や感染などの疾病の予防、事故やけがのときの応急措置と連絡先が、それぞれどの項目に入るかを決める
  2. 項目ごとに使う資料と担当者を決める。事業所の手順書、腰痛予防や感染対策の手引き、緊急時の連絡体制を使い、当てはまらない項目は理由を一言書いて残す
  3. 新しく雇う訪問介護員と、登録ヘルパーやパートも含めて、雇い入れたあとなるべく早く、初回の訪問に出る前を目安に実施する。担当する業務を変えたときも同じ表で実施する
  4. 実施日、教えた内容、受けた人の署名を表に残して保管する。すでに十分な知識と技能があると判断して省いた項目は、その判断の理由と確認方法を記録に書く

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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