運営 / 更新 2026-10-26
訪問介護の償還払いへの対応:法定代理受領の説明(第15条)と証明書の交付(第21条)
居宅介護支援を受ける届出をしていないなど、介護給付費が事業者に代理で支払われる「法定代理受領サービス」にならない訪問介護の利用者がいます。この記事は、基準省令の第15条、第17条、第20条第2項、第21条をもとに、そのとき事業者が果たす説明、援助、証明書の交付の義務を整理します。
4つの条文の一覧
法定代理受領サービスに関わる事業者の義務は、基準省令(平成11年厚生省令第37号)の次の条文にあります。いずれも訪問介護の条文で、利用者が給付を受けるための手続を事業者が支える内容です。
| 条文 | 事業者の義務 | 主な場面 |
|---|---|---|
| 第15条 | 法定代理受領サービスを受けられる旨の説明、居宅介護支援事業者に関する情報提供、その他の必要な援助 | サービス提供の開始に際し、利用申込者が施行規則第64条各号のいずれにも該当しないとき |
| 第17条 | 利用者が居宅サービス計画の変更を希望する場合の、居宅介護支援事業者への連絡その他の必要な援助 | 利用者がサービスの内容や回数の変更を望んだとき |
| 第20条第2項 | 法定代理受領サービスに該当しない場合に支払を受ける利用料と、居宅介護サービス費用基準額との間に、不合理な差額を生じさせない | 償還払いになる利用者から利用料を受けるとき |
| 第21条 | 法定代理受領サービスに該当しない場合に利用料の支払を受けたときは、サービス提供証明書を利用者に交付する | 償還払いになる利用者から利用料の支払を受けたとき |
この記事で決めること
訪問介護の事業者が、利用者が法定代理受領サービスを受けられない場合に求められる説明・居宅介護支援事業者への連絡・利用料の扱い・サービス提供証明書の交付を、条文どおりに確かめ、受付から支払までの手順に落とし込むための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、訪問介護の受付時の給付手続の確認表(居宅介護支援の届出の有無、法定代理受領の説明日、償還払いの利用者への利用料の根拠とサービス提供証明書の交付日)を作成できる状態を目指します。
第15条:説明と援助が必要になる場面
第15条が対象にするのは、提供の開始に際して、利用申込者が介護保険法施行規則第64条各号のいずれにも該当しないときです。第64条は、居宅介護サービス費が事業者に代理で支払われる場合の要件を定めています。
第64条第1号イは、居宅介護支援を受けることをあらかじめ市町村に届け出ていて、その居宅サービス計画に訪問介護が入っている場合です。
第1号には、基準該当居宅介護支援の届出(ロ)、小規模多機能型居宅介護や看護小規模多機能型居宅介護の届出(ハ)、指定居宅サービスの利用に係る計画の市町村への届出(ニ)の場合もあります。ロからニの細かい要件は、この記事では確かめていません。
これらのどれにも当たらないとき、事業者は、利用申込者またはその家族に対して、居宅サービス計画の作成を居宅介護支援事業者に依頼する旨を市町村に届け出ることなどで、訪問介護を法定代理受領サービスとして受けられると説明します。居宅介護支援事業者に関する情報の提供と、その他の必要な援助も行います。
第20条第2項と第21条:償還払いになる利用者への対応
法定代理受領サービスに該当しない訪問介護を提供して利用料を受けるとき、受け取る額と居宅介護サービス費用基準額との間に、不合理な差額を生じさせてはなりません(第20条第2項)。
利用料の支払を受けたときは、提供した訪問介護の内容、費用の額その他必要と認められる事項を記載したサービス提供証明書を、利用者に交付します(第21条)。条文の見出しは「保険給付の請求のための証明書の交付」で、この証明書は保険給付の請求に使われるものです。
証明書に書く事項の細目や様式は、条文は「その他必要と認められる事項」と書くだけです。様式は市町村や保険者が示していることがあるため、この記事では確かめておらず、利用者の保険者に確かめます。
第17条:居宅サービス計画の変更を望まれたとき
利用者が居宅サービス計画の変更を希望する場合、事業者は、その利用者に係る居宅介護支援事業者への連絡その他の必要な援助を行います(第17条)。訪問介護の内容や回数を事業者の側で勝手に変えるのではなく、計画を作る居宅介護支援事業者につなぐ条文です。
計画の変更は、サービス担当者会議や居宅介護支援事業者との連携の場面とも重なります。連携の全体は、訪問介護のサービス提供・ケアマネ連携・月次報告の記事で確かめられます。
実務の手順(例)
次は条文にある様式ではなく、上の義務を実務に落とした一例です。サービス提供の開始に際して、利用申込者の居宅介護支援の届出の有無と、居宅サービス計画に訪問介護が入っているかを確かめ、記録に残します。
第64条各号のいずれにも当たらないと判断される場合は、利用申込者または家族に、法定代理受領サービスとして受けられる旨と、居宅介護支援事業者に関する情報を説明した日を記録します。償還払いになる利用者には、受け取った利用料の額の根拠を残し、支払を受けたときはサービス提供証明書を交付した日付を控えます。
この記事で確かめていないこと
解釈通知による運用の細目、サービス提供証明書の様式、市町村や保険者ごとの償還払いの手続は、この記事では確かめていません。施行規則第64条は訪問介護に関わる第1号を中心に読んでおり、居宅療養管理指導などを扱う第2号以降は扱っていません。
個別の利用者が要件に当たるかどうかは、市町村と居宅介護支援事業者に確かめます。
次に知りたいこと
利用料の受領の全体(交通費や保険外サービスの別料金)は「訪問介護の利用料等の受領(基準第20条・交通費と保険外サービスの別料金の条件)」で確かめられます。
サービス開始前の被保険者証などの確認は「訪問介護の受給資格の確認手順:被保険者証・認定有効期間・負担割合証・給付制限」、要介護認定の申請の援助は「要介護認定の申請援助・更新申請援助(基準第11条・第12条)」にあります。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- サービス提供の開始に際して、利用申込者が居宅介護支援を受ける届出を市町村にしているか、居宅サービス計画に訪問介護が入っているかを確かめ、確認した日と方法を書く
- 届出が確かめられない場合は、法定代理受領サービスとして受けられる旨と居宅介護支援事業者に関する情報を、利用申込者または家族に説明した日を記録する
- 法定代理受領にならない利用者から利用料を受けるときは、居宅介護サービス費用基準額との間に不合理な差額がないことを、計算の根拠とともに残す
- 利用料の支払を受けたら、提供した内容と費用の額などを書いたサービス提供証明書を交付し、交付日と控えを保管する。様式は利用者の保険者に確かめる
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第15条・第17条・第20条・第21条」(省令第37号 第15条、第17条、第20条第2項、第21条)(確認日 2026-10-26)
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第64条(居宅介護サービス費の代理受領の要件)」(施行規則 第64条第1号イ〜ニ)(確認日 2026-10-26)