運営 / 更新 2026-10-13

パート・登録ヘルパーの待遇差と説明義務:2026年10月の明示事項の追加

登録ヘルパーやパートの訪問介護員を雇う事業所には、パートタイム・有期雇用労働法で、雇入れ時の明示、不合理な待遇差の禁止、待遇の違いの説明が義務づけられています。2026年10月1日からは、雇入れ時に明示する事項に「待遇の違いの説明を求めることができる旨」が加わりました。この明示(法第6条第1項)に違反すると、10万円以下の過料に処される場合があります。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護事業所の経営者が、パートや登録ヘルパーなど短時間・有期雇用の訪問介護員を雇うときに、パートタイム・有期雇用労働法で求められる明示、不合理な待遇差の禁止、待遇の違いの説明と、2026年10月1日に追加された明示事項を確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、パート・登録ヘルパーの待遇点検表(常勤職員との手当・休暇・福利厚生の比較、違いの理由、労働条件通知書の明示項目、説明の担当者と資料)を作成できる状態を目指します。

対象は、パートタイム・有期雇用の訪問介護員

この法律の対象は、短時間・有期雇用労働者です。訪問介護では、週の所定労働時間が常勤より短い登録ヘルパーやパートの訪問介護員、契約期間に定めのある訪問介護員が当たる場合があります。

厚生労働省のリーフレットによると、無期雇用のフルタイム労働者は、この法律の適用対象ではありません。ただし、労働契約は均衡を考慮して結ぶべきもので、その際にガイドラインの趣旨を考慮すべきだと同じリーフレットは案内しています。

雇い入れたときの明示:昇給・退職手当・賞与・相談窓口と、新しい1項目

法第6条は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたとき、事業主が速やかに、特定事項を文書の交付などで明示しなければならないと定めています。厚生労働省は、特定事項を「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「相談窓口」の4つと案内しています。

2026年10月1日からは、これに「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる」旨が加わりました。厚生労働省のコラムの注記によると、労働契約の更新時も含まれます。リーフレットには、この明示(法第6条第1項)に違反すると10万円以下の過料に処されると書かれています。

リーフレットの労働条件通知書の記載例では、説明を求める窓口の部署名と担当者の氏名を書く形で、「通常の労働者」は自社での呼び名(正社員など)に置き換えてよいとされています。自事業所の労働条件通知書の様式に、この1項目を足す必要があります。

パートタイム・有期雇用労働法の主な定め(e-Gov法令検索と厚生労働省の資料で確認、2026-10-13)
場面法の定め訪問介護事業所が確認すること
雇入れ時の明示(法第6条)昇給・退職手当・賞与の有無と相談窓口を文書の交付等で明示。2026年10月1日から、待遇の違いの説明を求められる旨を追加労働条件通知書の様式に新しい項目と窓口が入っているか
待遇の違いの説明(法第14条)雇入れ時に措置の内容を説明。求めがあれば、通常の労働者との待遇の相違の内容と理由、決定で考慮した事項を説明。求めたことを理由とする解雇その他の不利益取扱いは禁止誰が、どの資料で説明するか。求めた人に不利益な扱いをしない運用
不合理な待遇差の禁止(法第8条)基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、職務の内容、配置の変更の範囲その他の事情のうち適切なものを考慮し、不合理と認められる相違を設けない常勤職員との手当・休暇・福利厚生の違いと、その理由
差別的取扱いの禁止(法第9条)職務の内容と配置の変更の範囲が通常の労働者と同一の範囲で見込まれる短時間・有期雇用労働者には、短時間・有期であることを理由とした差別的取扱いを禁止常勤職員と職務・配置の変更の範囲がほぼ同じ人がいないか

待遇の違いの説明と、公正な評価に基づく賃金の決定

法第14条第2項は、短時間・有期雇用労働者から求めがあったとき、通常の労働者との待遇の相違の内容と理由、相違を決めるにあたって考慮した事項を説明しなければならないと定めています。同条第3項は、この求めを理由に解雇その他の不利益な取扱いをすることを禁じています。

厚生労働省のリーフレットは、説明の方法として「資料を活用し口頭で説明する」か「説明すべき事項をすべて記載した分かりやすい資料を交付する」かのどちらかを示しています。口頭で説明する場合も、活用した資料を交付することが望ましいとされています。

賃金を決めるときは、職務の内容、成果、意欲、能力、経験などを公正に評価し、昇給に反映するなど、公正な評価に基づいて決めることが望ましいとされています。これは「望ましい」とされる事項であり、義務の規定とは区別して読みます。

手当・休暇・福利厚生はガイドラインで点検する

「同一労働同一賃金ガイドライン」は、どのような待遇差が不合理とされるかを具体例で示す指針で、2026年10月1日に改正されました。リーフレットは、各種手当と福利厚生の項目として、無事故手当、家族手当、住宅手当、福利厚生施設、病気休職、夏季冬季休暇、褒賞などを挙げています。

たとえば家族手当は、労働契約の更新を繰り返すなど相応に継続的な勤務が見込まれる短時間・有期雇用労働者に、正社員と同一の手当を支給しなければならないとされています。夏季冬季休暇は、正社員と同一のものを付与しなければならないとされています。住宅手当は、転居を伴う配置の変更に応じて支給するものなら、同じ配置の変更があるパート等に同一の手当が必要です。

事業所では、常勤職員だけに出している手当や休暇を一覧にし、登録ヘルパーやパートにどう扱っているかを横に並べます。違いがある項目は、その理由を説明できるかを確認します。基準の当てはめは個別の事情で変わるため、判断に迷う場合は都道府県労働局や社会保険労務士に確認します。

確認した範囲と、事業所が準備すること

このページが確認したのは、パートタイム・有期雇用労働法の第6条・第8条・第9条・第14条(e-Gov法令検索)、厚生労働省のリーフレット「パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります(令和8年10月1日施行)」、厚生労働省のコラム(2026年8月3日)です。更新時の明示は、コラムの注記による記述です。ガイドラインの全文と、個別の手当の当てはめは扱っていません。

準備としては、労働条件通知書の様式に新しい明示項目と窓口を足し、待遇の違いを説明するための資料と担当者を決めます。雇入れ時の労働条件の明示そのものは雇入れ時の労働条件明示、有期契約の更新と無期転換は有期契約の無期転換、登録ヘルパーの雇用契約は登録ヘルパーの雇用で確認してください。

社会保険の加入判断は社会保険の加入要件、就業規則への反映は就業規則と36協定で扱っています。個別の可否は、都道府県労働局や社会保険労務士に確認する事項です。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 労働条件通知書の様式を開き、昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無、相談窓口に加えて、待遇の相違の内容・理由等の説明を求めることができる旨と窓口が書かれているかを確認する。足りなければ様式を直し、契約の更新時にも使う
  2. 常勤職員だけに出している手当、休暇、福利厚生を一覧にし、登録ヘルパーやパートの訪問介護員にどう扱っているかを横に並べる。家族手当、住宅手当、夏季冬季休暇、病気休職などは、厚生労働省のガイドラインの項目と見比べる
  3. 違いがある項目ごとに、その理由を一文で書く。職務の内容や配置の変更の範囲の違いで説明できるか、説明できない違いが残っていないかを確認し、迷う項目は都道府県労働局や社会保険労務士に確認する事項として分ける
  4. 待遇の違いの説明を求められたときの担当者と、渡す資料を決める。口頭だけでなく、説明すべき事項を記載した資料を用意し、求めたことを理由に不利益な扱いをしない運用を就業規則や社内の手順に書く

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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