運営 / 更新 2026-10-19
訪問介護員の1回ごと報酬と保障給(労基法第27条):平均賃金の6割程度の目安と定め方
訪問1回ごとに報酬を決めている訪問介護員や、成果に応じて額が変わる賃金で働く訪問介護員には、労働基準法第27条の保障給が関わることがあります。このページは、条文と厚生労働省の資料にもとづき、保障給の趣旨、対象になる場合、金額の目安、事業所が定めておく点を整理します。
労基法第27条:出来高払制その他の請負制で使う労働者への保障
労働基準法第27条は、出来高払制その他の請負制で使用する労働者について、使用者が、労働時間に応じて一定額の賃金を保障しなければならないと定めています。厚生労働省は、歩合給制を、売上高や契約成立件数など一定の成果に対して定めた金額を払う賃金制度で、出来高払制や請負給制とも呼ばれると説明しています。
この規定は、労働者の最低限の生活を保障する趣旨で設けられたものです。働いた以上は、成果が少ない場合でも、労働時間に応じた一定の賃金を支払う必要があります。
この記事で決めること
訪問1回ごとの報酬や歩合で訪問介護員に支払う事業所の運営者が、労働基準法第27条の保障給の趣旨と対象、金額の目安(平均賃金の6割程度)、定めておく点を厚生労働省の資料で確かめて整理するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、1回ごと報酬の保障給メモ(対象になる訪問介護員の範囲、賃金の組み立て、保障する時間当たりの額の考え方、就業規則・労働条件通知書への記載)を作成できる状態を目指します。
訪問介護で関わる場面:1回ごとの報酬や歩合が中心のとき
訪問介護では、時間給のほか、訪問1回ごとに報酬の額を決める、サービスの区分ごとに額を決めるといった賃金の組み立てが使われることがあります。賃金が成果や件数に応じて変わる形になっている訪問介護員は、第27条の対象になるかどうかを確かめる必要があります。
ただし、厚生労働省は、固定給の部分が賃金総額の大半(おおむね6割程度以上)を占める労働者は、この規定の適用対象に当たらないとしています。基本給が固定で、成果に応じた手当が一部に加わる程度であれば、対象にならない場合があります。実際にどちらに当たるかは、賃金の組み立てと支払いの実態によるため、迷う場合は社会保険労務士か労働基準監督署に確認します。
金額の目安:平均賃金の6割程度
保障給の金額について、労働基準法に具体的な定めはありません。厚生労働省は、通達(昭和22年9月13日基発第17号など)を示し、通常の実収賃金とあまり隔たらない程度の収入が保障されるように保障給の額を定めるべきで、少なくとも平均賃金の6割程度を保障することが妥当とされると説明しています。
平均賃金の計算は平均賃金の計算方法で整理しています。条文は、労働時間に応じた一定額の保障を求めています。
保障給とは別に、最低賃金法も歩合給に適用されます。賃金を時間当たりに換算した額が最低賃金を下回らないかの確認は、最低賃金の確認で整理しています。
定めておく点:保障給を決めていない場合も問題になる
厚生労働省は、この規定に反して賃金を保障しない使用者は罰則の対象になること、実際に保障給を支払わなかった場合だけでなく、保障給を定めていない場合にも法違反が成立すると解されることを示しています。対象になる歩合給制を導入するときは、就業規則や労働契約などで、保障給について定めておく必要があります。
訪問介護員に1回ごとの報酬を支払う事業所は、登録ヘルパーの雇用の賃金の組み立てを見直すときに、保障給の定めの有無を確かめます。利用者のキャンセルで訪問がなくなったときの扱いは、保障給とは別に、利用者のキャンセルと休業手当で整理しています。
時間外労働が発生した場合は、歩合給にも割増賃金を支払う必要があります。割増賃金の考え方は割増賃金で整理しています。
この記事で確認した範囲
労働基準法第27条の本文をe-Gov法令検索で、保障給の趣旨と金額の目安を厚生労働省の「確かめよう労働条件」のQ&Aで、2026-10-19に確認しました。通達の原文、個別の事業所の賃金の組み立てが第27条の対象に当たるかの判断、歩合給の割増賃金の具体的な計算は確認しておらず、扱っていません。
具体的な保障給の額の決め方や就業規則の書き方は、社会保険労務士や管轄の労働基準監督署に相談してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 訪問介護員ごとに、賃金が時間給、1回ごとの報酬、歩合、固定給のどれで組み立てられているかを一覧にし、固定給の割合を確かめる
- 1回ごとの報酬や歩合が中心の訪問介護員について、実際に働いた時間に応じて最低限支払う額(保障給)の考え方を決める
- 保障給の額を決めるときは、通常の実収賃金と大きく離れないか、平均賃金の6割程度を下回らないか、最低賃金を下回らないかを確かめる
- 保障給の定めを就業規則や賃金規程、労働条件通知書に書き、対象の訪問介護員に説明する。判断に迷う場合は社会保険労務士や労働基準監督署に確認する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「労働基準法 第27条(出来高払制の保障給)」(確認日 2026-10-19)
- 厚生労働省「労働基準法等に関するQ&A(確かめよう労働条件)歩合給制とはどのような制度ですか?制度の概要や留意点を教えてください。」(確認日 2026-10-19)