開業準備 / 更新 2026-10-14

訪問介護の事務所を自宅・賃貸物件に置く前の確認:賃貸借契約の使用目的・用途地域・専用区画

訪問介護の事務所を借りる・自宅に置くときは、契約書の使用目的、用途地域、専用の区画を契約の前に確認します。大阪市の指定申請の手引き、国土交通省の標準契約書、建築基準法で確認できる点を整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護の開業準備者が、事務所を賃貸物件や自宅に置く前に、賃貸借契約書の使用目的、指定申請で見られる契約書の確認事項、用途地域の制限を、国土交通省の標準契約書・大阪市の手引き・建築基準法で確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、事務所物件の契約前点検表(契約者、使用目的の記載、契約期間と更新、転貸借の有無、用途地域の確認結果、平面図と区画、指定権者へ相談した日)を作成できる状態を目指します。

設備基準は所有を求めないが、専用の区画は必要

運営基準(省令第37号)第7条は、訪問介護事業所に、事業の運営に必要な広さを有する専用の区画を設けることを求めています。留意事項通知(老企第25号)は、事務室・区画や設備を事業者が所有している必要はなく、貸与を受けているものでもよいとしています。借りる物件でも、設備基準の面では差し支えありません。

つまり、借りるか自宅かの違いより、訪問介護の区画が明確に特定できるかが問われます。区画の基準は「訪問介護の設備基準」で整理しています。このページは、物件を決める前の契約と建物の確認に絞ります。

賃貸借契約書は、使用目的が「居住」のままだと合わないことがある

国土交通省の賃貸住宅標準契約書は、使用目的の条文(第三条)で、借主が居住のみを目的として物件を使用しなければならないと定めています。標準契約書はひな形で、実際の契約書は物件ごとに違いますが、居住用の契約のまま事務所に使うと、契約上の使用目的と合わなくなるおそれがあります(当サイトの整理です)。

大阪市の指定申請の手引きは、賃貸借契約書の写しの確認事項として、使用目的が「事務所」「事業所」などであり、「住居」などでないことを挙げています。使用目的に疑義があるときは、登記簿に載っている所有者の同意が必要な場合があるとも書かれています。

自宅や賃貸の物件を事務所にするときは、契約を結ぶ前に、貸主に使用目的を伝えて、契約書の使用目的の欄に事務所・事業所として書いてもらえるかを確認します。口頭の了解だけにせず、書面に残します。

大阪市の手引きが賃貸借契約書で見る6点

大阪市の手引きは、事業所が申請者の法人所有でない場合に、賃貸借契約書の写しを添付するよう求めています。写しで確認する点は、次の表の6つです。ほかの指定権者の確認項目は違うことがあるので、実際の申請先の手引きで確認してください。

大阪市の手引きにある賃貸借契約書の確認事項(訪問介護の指定申請)
確認事項手引きの書き方
契約者専有区画で事業を行う必要があるため、契約者が申請法人であること
契約の開始事業開始日より有効な契約であること
転貸借転貸借の物件は、元の賃貸借契約書も必要
使用目的「事務所」「事業所」などであり、「住居」などでないこと
期間と更新契約期間と契約更新についての記載を確認する
設備と占有相談室・トイレ・手指洗浄設備が一体的に使えること。事業所スペースは申請法人で占有し、他法人等との共用は不可

自宅を事務所にするときは、用途地域も確認する

建築基準法第48条は、用途地域ごとに建築できる建築物を別表第二で定めています。たとえば第一種低層住居専用地域では、別表第二(い)項に掲げる建築物以外は建築できません。

建築基準法施行令第130条の3は、第一種低層住居専用地域に建築できる兼用住宅を、延べ面積の2分の1以上を居住の用に供し、事務所などを兼ねるもの(事務所などに使う部分の床面積の合計が50平方メートル以下)と定めています。ほかの用途地域の扱いは別表第二の別の項で決まるので、このページでは確認していません。

訪問介護の事務所が建築基準法でいう「事務所」にどう当たるかは、確認した条文には書かれていません。自宅や住居系の地域の物件を使うときは、建築指導を担当する窓口(特定行政庁。都道府県または市区が担当します)に、用途地域と、その事務所に使えるかを確認してください。

物件を決める前に確認する相手

確認する相手と内容は、貸主(契約書の使用目的、転貸借の同意)、指定権者(平面図と区画、賃貸借契約書の確認事項)、建築指導の窓口(用途地域と事務所としての使用)の3つに分かれます。この順に確認すると、契約したあとで使えないと分かる事態を避けやすくなります。

指定権者への相談の時期や必要書類は自治体で違います。申請の流れは「訪問介護の指定申請のロードマップ」、書類は「訪問介護の指定申請書類のチェックリスト」で整理しています。物件の費用面は「物件・設備・ICTの選び方」で確認できます。

このページの範囲

このページが確認したのは、国土交通省の賃貸住宅標準契約書(第三条)、e-Gov法令検索の建築基準法第48条と同法施行令第130条の3、大阪市福祉局の訪問介護の指定申請の手引きです(2026-10-14に確認)。個別の物件が指定を受けられるか、契約書の文言が適切かは判断しません。

貸主との契約の交渉、建築基準法の確認申請、消防法の届出は確認していません。大阪市以外の指定権者の確認項目は、それぞれの手引きで確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 候補の物件ごとに、契約者を申請する法人にできるか、使用目的を事務所・事業所として契約書に書けるか、転貸借でないかを貸主または仲介会社に確認する
  2. 自宅や住居系の地域の物件は、用途地域と事務所として使えるかを、建築指導を担当する窓口(特定行政庁)に確認して、回答を記録する
  3. 平面図で訪問介護の区画、相談の場所、トイレと手指洗浄設備、他の事業との共用の有無を整理する
  4. 契約を結ぶ前に、平面図と契約書案を指定権者に見せて、賃貸借契約書で確認される点を聞く

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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