運営 / 更新 2026-10-20

特定施設入居者生活介護の指定基準:看護・介護職員は要介護者3人ごとに1以上

特定施設入居者生活介護は、施設の入居者に介護と日常生活上の世話を提供するサービスで、指定は都道府県知事が行います。この記事は、訪問介護の事業者がこのサービスを事業に加えることを考えるときに、指定居宅サービス基準第174条〜第178条を読み、従業者・管理者・設備・契約の決まりを訪問介護の基準と比べるための整理です。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

指定するのは都道府県知事:訪問介護と同じ居宅サービスの基準

介護保険法第41条第1項は、居宅介護サービス費の対象を、都道府県知事が指定する者(指定居宅サービス事業者)から受けた居宅サービスと定めています。特定施設入居者生活介護も、訪問介護と同じ指定居宅サービス基準の中にあります。地域密着型サービスのように市町村長が指定するものではありません。

基準第174条は、特定施設サービス計画に基づき、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練及び療養上の世話を行うと定めています。要介護状態となった場合でも、入居者が有する能力に応じ自立した日常生活を営めるようにするものとされています。

訪問介護は利用者の居宅へ訪問するサービスで、特定施設入居者生活介護は施設の入居者へのサービスです。必要な人員も設備も別の組み立てになります。

この記事で決めること

訪問介護の事業者が特定施設入居者生活介護を事業に加えることを考えるときに、指定する者、生活相談員・看護職員・介護職員・機能訓練指導員・計画作成担当者・管理者・設備・契約の基準を条文で確かめ、訪問介護の基準との違いと自社で足りない点を洗い出すための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、特定施設入居者生活介護の基準チェック表(施設の所在する都道府県と担当窓口・利用者数の見込みと必要な生活相談員・看護職員・介護職員の数・常勤の者の見込み・機能訓練指導員と計画作成担当者の候補・管理者の候補・建物の構造と介護居室・浴室などの設備の見込み・都道府県に確かめた日と回答)を作成できる状態を目指します。

従業者の員数:生活相談員・看護職員と介護職員・機能訓練指導員・計画作成担当者

基準第175条第1項は、特定施設ごとに置く従業者を4つに分けています。生活相談員は、常勤換算方法で、利用者の数が100又はその端数を増すごとに1人以上です。看護職員(看護師・准看護師)又は介護職員は、合計が常勤換算方法で、要介護者である利用者の数が3又はその端数を増すごとに1以上です。

あわせて、常に1以上の介護職員が確保されることも求められます。機能訓練指導員は1以上、計画作成担当者は1以上で、利用者の数が100又はその端数を増すごとに1を標準とします。

第3項は、利用者の数を前年度の平均値とし、新規に指定を受ける場合は推定数によるとしています。看護職員の数の内訳を定める第1項第2号ロは、この記事では確認していません。

第9項は、4つの要件にすべて当てはまる場合に、看護職員・介護職員の合計の「1」を「0.9」とする特例を定めています。要件は、委員会で利用者の安全やケアの質、職員の負担軽減などを検討し実施を確認していること、介護機器を複数種類活用していること、職員間の役割分担を行っていること、取組によって質の確保と負担軽減が行われていると認められることです。

この特例は、介護予防特定施設入居者生活介護と一体的に運営する場合の第2項第2号イにも及びます。

常勤と兼務の決まり

第4項は、生活相談員のうち1人以上を常勤としています。第5項は、看護職員と介護職員は主として指定特定施設入居者生活介護の提供に当たる者とし、看護職員のうち1人以上、介護職員のうち1人以上を常勤としています。

第6項は、機能訓練指導員を、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とし、その特定施設の他の職務に従事できるとしています。第7項は、計画作成担当者を専らその職務に従事する介護支援専門員とし、利用者の処遇に支障がなければ他の職務にも従事できるとしています。

第176条は、特定施設ごとに専らその職務に従事する管理者を置くと定めています。管理上支障がなければ、その特定施設の他の職務や、他の事業所、施設等の職務に従事できます。訪問介護の管理者が専らその職務に従事する常勤であるのに対し、条文に常勤の語はありません。

設備と契約:建物の構造・介護居室・重要事項の説明

基準第177条第1項は、特定施設の建物を耐火建築物又は準耐火建築物とするよう定めています。第3項は、一時介護室、浴室、便所、食堂、機能訓練室を有するとしています。他に利用者を一時的に移して介護を行う室や、機能訓練を行う適当な広さの場所が確保できる場合は、一時介護室や機能訓練室を設けないことができます。

第4項は、介護居室について、1室の定員を1人とし、利用者の処遇上必要と認められる場合は2人とできること、地階に設けないこと、1以上の出入口を避難上有効な空き地、廊下又は広間に直接面して設けることなどを定めています。第5項は、車椅子で円滑に移動できる空間と構造を求めています。

第178条第1項は、あらかじめ入居申込者又はその家族に、運営規程の概要、従業者の勤務の体制、利用料の額などの重要事項を記した文書を交付して説明し、契約を文書で締結するとしています。第2項は、契約で入居者の権利を不当に狭めるような契約解除の条件を定めてはならないとしています。

訪問介護の基準との比較

指定する者は同じですが、人員、管理者、設備は訪問介護と大きく異なります。

特定施設入居者生活介護と訪問介護の指定・人員・管理者・設備の基準(居宅サービス基準第174条〜第177条、第4条〜第7条)
項目特定施設入居者生活介護訪問介護
指定する者都道府県知事(法第41条第1項)都道府県知事
従業者生活相談員(利用者100人ごとに1人以上)、看護職員・介護職員(要介護者3人ごとに1以上)、機能訓練指導員、計画作成担当者(第175条)訪問介護員等を常勤換算方法で2.5以上(居宅サービス基準第5条第1項)
計画に関わる者専らその職務に従事する介護支援専門員の計画作成担当者(第175条第7項)サービス提供責任者を置く(居宅サービス基準第5条第2項)
管理者専らその職務に従事する者。支障がなければ兼務可(第176条)専らその職務に従事する常勤。支障がなければ兼務可(居宅サービス基準第6条)
設備耐火建築物又は準耐火建築物、介護居室、浴室、便所、食堂など(第177条)専用の区画と必要な設備及び備品等(居宅サービス基準第7条)

訪問介護の事業者が確かめる順番

まず、事業所を置く予定の都道府県の担当窓口に、指定の手続きと、建物の構造に関する確認を相談します。建築基準法と消防法の定めも関わります。

次に、利用者の数の見込みから生活相談員・看護職員・介護職員の必要数を計算し、常勤の人数、常に1以上いる介護職員の勤務、計画作成担当者となる介護支援専門員の候補を書きます。

単位数は特定施設入居者生活介護費の単位数:要介護1は1日542単位・看取り介護加算、指定の主体と人員をほかのサービスと比べるなら訪問介護から広げる5サービスの比較:指定の主体・人員・管理者の兼務で確認できます。

住宅型有料老人ホームやサ高住の入居者へ訪問介護を提供する場合の線は住宅型有料老人ホーム・サ高住の入居者への訪問介護:囲い込みと見られない線引きで、訪問介護自体の人員基準は訪問介護の人員基準(サ責の配置基準・常勤換算2.5・管理者)で整理しています。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 特定施設入居者生活介護を置く予定の都道府県を決め、担当窓口に、指定の手続きと建物の構造に関する確認の進め方を確かめ、確かめた日と回答をチェック表の最初の行に書く
  2. 利用者数の見込み(新規は推定数)から、生活相談員(100人ごとに1人以上)と、看護職員・介護職員の合計(要介護者3人ごとに1以上)の必要数を常勤換算方法で計算し、常勤の人数と、常に1以上の介護職員がいる勤務の組み方を書く
  3. 機能訓練指導員の候補と、専らその職務に従事する介護支援専門員の計画作成担当者の候補を書き、管理者の候補と他の職務との兼務の範囲を整理する
  4. 耐火建築物又は準耐火建築物か、介護居室の定員と地階でないこと、一時介護室・浴室・便所・食堂・機能訓練室の有無を書き、入居者に交付する重要事項の文書と契約書の案とあわせて担当窓口に相談し、確かめた日と回答を記録する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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