事業計画 / 更新 2026-10-24
訪問介護の開業資金の目安が大きく違う理由
訪問介護の開業資金を調べると、約200万〜500万円と書く解説と、約800万〜1,000万円と書く解説があります。この記事は、2つの民間の解説を読み比べ、差の大きな理由が運転資金の扱いにあることを整理し、自分の計画の初期投資と開始時点の現金に分けて見積もる手順を示します。どちらの金額も公的な相場ではありません。
2つの目安の出所と、運転資金の扱い
freee会社設立の解説は、総額でおよそ200万〜500万円を目安とし、法人設立や事務所契約などの「開業資金」と、開業後の運営を支える「運転資金」に分けて計画するよう書いています。運転資金は初期費用とは別に最低3か月分を確保するとあり、200万〜500万円に運転資金を含むとは書かれていません。
マネーフォワード クラウド会社設立の解説(更新日2025年8月22日)は、開業資金は事業規模や地域で異なり、おおよそ800万〜1,000万円程度といわれていると書いています。費目として、法人設立費用、開業準備のための費用、当面の運転資金の3つを挙げ、運転資金は月150万円〜200万円程度、3か月で450万円〜600万円程度を用意したいとしています。
| 出所 | 書かれた総額の目安 | 運転資金の扱い |
|---|---|---|
| freee会社設立の解説 | およそ200万〜500万円 | 初期費用とは別に最低3か月分を確保と書く。総額に含むとは書かれていない |
| マネーフォワード クラウド会社設立の解説 | おおよそ800万〜1,000万円 | 費目の1つとして挙げ、3か月で450万円〜600万円程度を用意したいとする |
この記事で決めること
訪問介護の開業を考える人が、調べた開業資金の目安が情報源で2倍以上違う理由を、運転資金を含むかどうかの定義の違いから理解し、自分の計画の初期投資と開始時点の現金に分けて見積もる。ための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、開業資金の分解表(費目・開業前に払う初期投資か開始後の運転資金か・見積書の有無・金額・目安の出所と確認日・開始時点の現金に回す金額)を作成できる状態を目指します。
食い違いの理由:運転資金を総額に入れるか
2つの解説は、運転資金が必要な理由を同じように書いています。介護報酬は提供の約2か月後に入金されるため、その間の人件費や家賃は先に払う必要があります。違うのは、その運転資金を「開業資金」の総額に入れて金額を示すか、別に数えるかです。
このため、200万〜500万円と800万〜1,000万円は、同じものさしの安い見積りと高い見積りとは限りません。運転資金を除いた目安と、含めた目安が並んでいる可能性があります。
ただし、各社が総額をどう算出したかは本文に書かれておらず、この記事では確かめていません。内訳を足し上げた合計も確認していません。
自分の計画で分けるときの手順
目安の金額を借りるのではなく、自分の費目を2つに分けます。開業前に払う初期投資は、法人設立、物件の敷金や保証金、設備、車両、採用などで、見積書や契約候補の金額から積み上げます。費目の分け方は訪問介護の開業費と月次費用の分け方にあります。
もう1つは、開業後に入金が始まるまでの毎月の支出です。毎月の支出に、入金までの月数を掛けた額が運転資金の目安になります。入金が提供の約2か月後になる前提と、月末現金の計算の順序は訪問介護の運転資金と資金繰りと訪問介護の資金繰り表の作り方で整理しています。
用意できる資金から初期投資を引いた残りが、運転資金に足りるかを確かめます。借入や助成金は、受給や実行が決まるまで入れない場合と入れた場合を並べて比べます。借入の条件は訪問介護の開設主体・法人・資金調達で扱っています。
事業計画シミュレーターに入れる値
分けた金額のうち、開業前に払う初期投資は事業計画シミュレーターの「初期投資」に、開業時点で手元にある現金は「開始時点の現金」に入れます。運転資金は、毎月の支出と入金の遅れを入れたうえで、月末現金が下回る月がないかで確かめます。
シミュレーターの結果は入力した前提の計算であり、事業所の利益や資金を保証するものではありません。
この記事で確認した範囲
freeeとマネーフォワードの解説の本文を2026年10月24日に確認しました。どちらも民間の解説で、公的な基準や統計ではありません。
各社の総額の算出根拠、内訳ごとの金額の相場、訪問介護の事業所の実際の開業費の統計は確認しておらず、扱っていません。個別の資金計画は、金融機関や専門家に確かめてください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 調べた開業資金の目安を、出所と確認日つきで書き出す。そのうえで、各目安が運転資金を含むかを本文で確かめ、含むか不明かを分けて記録する
- 自分の計画の費目を、開業前に払う初期投資(法人設立、物件の敷金や保証金、設備、車両、採用など)と、開業後の毎月の支出に分ける。初期投資は見積書や契約候補の金額を入れ、見積書が無い費目は空欄のまま残す
- 介護報酬の入金は提供の約2か月後になるため、毎月の支出に入金までの月数を掛けた額を、運転資金として別の行に置く。開始時点の現金から初期投資を引いた残りが運転資金に足りるかを確かめる
- 分けた金額を事業計画シミュレーターの初期投資と開始時点の現金に入れて、月末現金が下回る月を確かめる。借入や助成金は入れる前と後で比べる
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「介護事業所の指定申請等のウェブ入力・電子申請導入」(確認日 2026-10-20)
- freee株式会社「訪問介護の開業に必要な費用(freee会社設立の解説記事)」(「訪問介護の開業に必要な費用」の節)(確認日 2026-10-24)
- 株式会社マネーフォワード「訪問介護事業の立ち上げに使える創業融資制度は?事業計画書の書き方も解説(マネーフォワード クラウド会社設立)」(「訪問介護事業の立ち上げに必要な開業資金の目安」の節)(確認日 2026-10-24)