運営 / 更新 2026-10-18

訪問介護の資金繰り表の作り方:入金2か月後の月次表

訪問介護は、利用者に提供した月の報酬が入金されるまでに約2か月かかります。その間も給与や社会保険料の支払は続くため、損益が黒字でも現金が減る月が出ます。このページは、入金が遅れる前提で、月ごとの入金と支出を並べる資金繰り表の作り方を、行の分け方と4か月の数値例で示します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

資金繰り表は、入金と支出を支払う月に置く表

損益の表は、サービスを提供した月に売上を、費用が発生した月に支出を置きます。資金繰り表は、実際にお金が動く月に置き直した表です。同じ月の売上100万円でも、現金が増えるのはその売上が入金される月です。

表の形は、行に「前月末の現金」「入金」「支出」「月末の現金」を置き、列に月を並べます。月末の現金は、前月末の現金に、その月の入金を足し、支出を引いて出します。この計算を12か月分続けて、月末の現金が最も少ない月を探します。

事業計画シミュレーターを使う場合の入力項目は訪問介護の運転資金と資金繰りで、開業時の初期費用と月次費用の分け方は訪問介護の開業費と月次費用の分け方で整理しています。

この記事で決めること

訪問介護の運営者が、請求から入金までのずれと給与・社会保険料の支払月を入れた月次の資金繰り表を自分で作り、現金が最も少なくなる月を見つけるための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、月次の資金繰り表(月ごとの前月末現金、国保連の入金、利用者負担の入金、給与・社会保険料・家賃等の支出、月末現金、最低現金の月)を作成できる状態を目指します。

入金の行:国保連の入金と、利用者負担の入金を分ける

訪問介護の報酬は、国保連から入る部分(給付費)と、利用者から受け取る利用者負担の部分に分かれます。入る時期が違うため、表では別の行にします。

国保連への請求は、サービスを提供した月の翌月に出し、その翌月に入金されます。東京都国民健康保険団体連合会の令和8年度の日程では、請求の受付は毎月1日から10日で、11月受付分の支払日は12月23日です。

つまり、10月に提供した分の入金は、12月23日になります。提供月の月末から数えると、約2か月です。

利用者負担の部分は、国保連の支払日とは関係なく、事業所が利用者から受け取ります。口座振替、振込、訪問時の受け取りなど、集金の方法によって入金の月が変わります。

方法ごとの入金月を決めて、国保連の行とは別に置きます。受領できる費用の範囲は訪問介護の利用料等の受領(基準第20条・交通費と保険外サービスの別料金の条件)で確認できます。

他の都道府県の日程は、所属する国保連の令和8年度の表で確認してください。年度が変わると日程も変わるため、前年度の日付は使い回しません。年末年始の前後の日程は訪問介護事業所の年末年始の確認事項(国保連の受付・支払日、運営規程の営業日、勤務体制)にあります。

支出の行:給与・社会保険料・家賃等を、支払う月に置く

給与は、労働基準法第24条で、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うと定められています。当月分を月末に払うのか、翌月の決まった日に払うのかを就業規則や給与規程で確認し、その月に置きます。

健康保険の保険料は、健康保険法第164条で、被保険者に関する毎月の保険料を翌月末日までに納付すると定められています。たとえば、4月分の保険料は5月末日までに払う並びです。

給与を出した月の現金からは出ていかず、その翌月の支出になります。厚生年金保険料や雇用保険料の納期は、このページでは確認していません。

家賃、システム利用料、車両や燃料の費用、委託費などは、請求書や契約書の支払日を見て、その月に置きます。借入の返済や税金、助成金の入金は、金額と時期が決まってから別の行に足します。見込みの助成金を入金に入れると、月末の現金が実際より多く見えます。

4か月の数値例(架空の金額):損益は黒字でも現金は2か月目まで減る

金額は計算の順序を示すための架空の例で、実際の事業所の額ではありません。前提は次のとおりです。

開始時点の現金は300万円、毎月の介護報酬は100万円(国保連の入金分90万円、利用者負担10万円)、国保連の入金は提供の2か月後、利用者負担は提供の翌月に集金します。支出は、給与が毎月末払いで60万円、社会保険料が前月分を翌月に払う8万円、家賃等が15万円です。

毎月の損益は、売上100万円から給与60万円、社会保険料8万円、家賃等15万円を引いた17万円の黒字です。ところが現金の動きは、下の表のようになります。

資金繰り表の数値例(架空・単位は万円)
1か月目2か月目3か月目4か月目
前月末の現金300225152169
入金:国保連009090
入金:利用者負担0101010
支出:給与60606060
支出:社会保険料0888
支出:家賃等15151515
月末の現金225152169186

表の読み方:最低現金の月と、運転資金の準備額

1か月目は入金が無く、支出75万円が出るため、月末の現金は225万円に下がります。2か月目は利用者負担の入金10万円だけで、支出83万円が出るため、152万円まで下がります。これが4か月のなかで最も少ない現金で、開始時点の300万円から148万円減っています。

3か月目から国保連の入金90万円が始まり、入金100万円が支出83万円を上回って、毎月17万円ずつ増えます。損益の黒字17万円と同じ額です。つまり、入金が追いつくまでの2か月は、損益の黒字とは別に、現金が先に出ていく期間になります。

運転資金は、この最低現金の月でも現金がマイナスにならない額が目安です。事業の規模が大きくなる月(利用者が増える月、採用で給与が増える月)ほど、入金が追いつくまでに減る額は大きくなります。

12か月分の表を作って、最低の月を見つけておきます。不足が見込まれる場合の公的融資の条件は訪問介護の日本政策金融公庫の創業融資:限度額7,200万円・返済期間・経営者保証免除特例で整理しています。

返戻・過誤があるときは、入金月を後ろに別の欄で管理する

請求が返戻になったり、過誤で調整されたりすると、その分の入金は予定の月より後になります。当初の予定月に戻して表を作り直すと、実際の現金とずれていきます。返戻や再請求は別の欄に残し、再請求した月の翌月以降の入金として足します。

請求から入金、返戻までの月次の流れは訪問介護の国保連請求・入金・返戻の月次サイクルで、毎月の締めで請求・入金・勤怠を照合する手順は訪問介護の月次決算・記録照合の手順で確認できます。

このページは、東京都国民健康保険団体連合会の令和8年度の受付月と支払日(2026-10-10確認)、労働基準法第24条と健康保険法第164条の現行条文(2026-10-18確認)を確認した範囲です。他の国保連の日程、返戻・過誤による入金月の予測、税金の支払は確認していません。個別の事業所の資金計画は、顧問税理士や融資を受ける金融機関に相談してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 所属する国保連の令和8年度の受付月と支払日の表を取り、提供月ごとに入金予定日を行に書く
  2. 給与の支払日と、社会保険料の納付月(被保険者分は翌月末日まで)を確認し、支出の行を支払う月に置く
  3. 利用者負担の集金方法(口座振替・振込・持参)ごとに、入金月を決めて別の行にする
  4. 月末現金を1年分計算し、最も少ない月の額を運転資金の準備額と比べる。返戻・再請求は別の欄に残し、当初の入金月へ戻して計上しない

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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