事業計画 / 更新 2026-10-30
補足給付(特定入所者介護サービス費):食費の基準費用額1,545円・負担限度額は4段階
補足給付(特定入所者介護サービス費)は、低所得の入所者の食費と居住費を市町村が肩代わりする給付です。特別養護老人ホームや老健、ショートステイなどでは、入所者から受け取る額と市町村から受け取る額が分かれ、事業計画書の食費・居住費の収入の組み立てが変わります。介護保険法第51条の3と、令和8年8月1日からの基準費用額・負担限度額の表で、その仕組みを整理します。
補足給付とは:基準費用額から負担限度額を引いた差額を市町村が支給する
介護保険法第51条の3第2項は、特定入所者介護サービス費の額を、食費と居住費それぞれの差額の合計と定めています。食費は食費の基準費用額から食費の負担限度額を引いた額、居住費は居住費の基準費用額から居住費の負担限度額を引いた額です。基準費用額は食事や居住に要する平均的な費用を勘案して、負担限度額は平均的な家計の食費の状況や入所者の所得の状況を勘案して、いずれも厚生労働大臣が定めます。
対象になるのは、所得と資産の状況などで厚生労働省令が定める要介護被保険者です。厚生労働省の資料は、利用者負担第1段階から第3段階②までの人を対象とし、第4段階(市町村民税の本人課税者など)は対象に含めていません。
この記事で決めること
特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院・短期入所を開設する事業者が、補足給付(特定入所者介護サービス費)の仕組みと、令和8年8月施行の基準費用額・負担限度額の金額を確かめ、事業計画書の食費・居住費を入所者から受け取る分と市町村から受け取る分に分けて見積もる。ための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、補足給付を反映した食費・居住費の収入の入力表(対象サービス、入所者の所得段階別の人数、居室の種類別の基準費用額と負担限度額、入所者から受け取る額と市町村から受け取る額の月の見積もり)を作成できる状態を目指します。
対象のサービス:6つの施設・短期入所サービスだけ
第51条の3第1項が対象に挙げるサービスは、指定介護福祉施設サービス(特別養護老人ホーム)、介護保健施設サービス(老健)、介護医療院サービス、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、短期入所生活介護、短期入所療養介護の6つです。
この6つに特定施設入居者生活介護やグループホームは入っていません。特別養護老人ホームの事業計画書と収支や介護老人保健施設の事業計画書と収支、短期入所生活介護の事業計画書と収支のように、対象の6サービスを開設するときは、基本の単位数に加えて食費・居住費の扱いを収支表に入れます。
施設が受け取る額:入所者の支払いは負担限度額まで、残りは市町村へ請求する
市町村は、入所者に代わって、入所者が施設に支払うべき食費と居住費を、支給すべき額の限度で施設に支払うことができます(第4項)。この支払いがあると、入所者への特定入所者介護サービス費の支給があったものとみなされます(第5項)。施設から請求があれば、市町村が審査して支払います(第7項)。
特別養護老人ホームの基準第9条第3項は、食事の提供に要する費用と居住に要する費用について、特定入所者介護サービス費が代わりに施設へ支払われた場合は、食費と居住費の負担限度額を受け取れる額の限度としています。第5項は、これらの費用を、内容と費用を記した文書で説明し、入所者の同意を文書で得ることを求めています。
このため、補足給付の対象の入所者1人あたりの食費と居住費の収入は、入所者から受け取る負担限度額と、市町村から受け取る(基準費用額−負担限度額)の差額に分かれます。他のサービスの基準の条番号は、この記事では確かめていません。
令和8年8月1日からの金額:食費の基準費用額は1日1,545円
厚生労働省の介護保険最新情報Vol.1506は、令和8年8月から、第3段階①・②の食費の負担限度額と、居住費の一部が引き上がるとしています。食費の基準費用額も1日100円引き上がり、1,545円です。下の表は、同じ資料の表の金額を1日あたりで写したものです。
段階の目安は、第2段階が年金収入金額と合計所得金額の合計82.65万円以下、第3段階①が82.65万円超120万円以下、第3段階②が120万円超です。第2段階と第3段階は世帯全員が市町村民税非課税の人が対象で、預貯金等の額にも段階ごとの上限があります。
| 区分 | 基準費用額 | 第1段階 | 第2段階 | 第3段階① | 第3段階② |
|---|---|---|---|---|---|
| 食費 | 1,545円 | 300円 | 390円 | 680円 | 1,420円 |
| 食費(ショートステイ) | 1,545円 | 300円 | 600円 | 1,030円 | 1,360円 |
| 多床室(特養等) | 915円 | 0円 | 430円 | 430円 | 530円 |
| 多床室(老健・医療院、室料を徴収する場合) | 697円 | 0円 | 430円 | 430円 | 530円 |
| 多床室(老健・医療院等、室料を徴収しない場合) | 437円 | 0円 | 430円 | 430円 | 430円 |
| 従来型個室(特養等) | 1,231円 | 380円 | 480円 | 880円 | 980円 |
| 従来型個室(老健・医療院等) | 1,728円 | 550円 | 550円 | 1,370円 | 1,470円 |
| ユニット型個室的多床室 | 1,728円 | 550円 | 550円 | 1,370円 | 1,470円 |
| ユニット型個室 | 2,066円 | 880円 | 880円 | 1,370円 | 1,470円 |
事業計画書への入れ方:入所者から受け取る分と市町村から受け取る分を別の行にする
食費なら、第3段階②の入所者1人で、入所者から1,420円×30日=42,600円、市町村から(1,545円−1,420円)×30日=3,750円と置けます。ユニット型個室の第2段階なら、居住費は入所者から880円、市町村から(2,066円−880円)=1,186円が1日の見込みです。段階ごとの入所者数を掛けて足し、食費と居住費を別の行にします。
入所者がどの段階に当たるかは、入所の時期まで分かりません。開設前の計画では、近隣の施設や市町村の窓口で段階の分布を聞き、複数のパターンで見積もります。入所者の段階は、入所後に市町村が出す負担限度額認定の証で確かめます。
社会保障審議会介護給付費分科会の資料は、所得段階間の均衡を図る負担限度額の見直しを、令和8年8月から令和9年度にかけて実施するとしています。表の脇に施行日と確認日を書き、改定のたびに入れ替えます。
この記事で確認した範囲
確認した資料は、2026年10月30日に読んだ次の資料です。介護保険法第51条の3の条文、特別養護老人ホームの基準第9条、厚生労働省の介護保険最新情報Vol.1506・Vol.1481(令和8年8月施行の金額表)、社会保障審議会介護給付費分科会の第252回資料(令和9年度にかけての見直しの記載)です。負担限度額認定の申請書類、預貯金等の確認、境界層該当者の特例、施設ごとの食費・居住費の設定額は確認しておらず、扱っていません。
個別の施設での扱いは、指定を受ける都道府県と、事業所を置く市町村の窓口で確かめてください。入所者の費用負担の上限は高額介護サービス費で整理しています。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 自社のサービスが補足給付の対象かを確かめる。介護保険法第51条の3第1項は、指定介護福祉施設サービス、介護保健施設サービス、介護医療院サービス、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、短期入所生活介護、短期入所療養介護を対象に挙げ、所得と資産の状況などで厚生労働省令が定める要介護被保険者がその利用者になる。特定施設入居者生活介護やグループホームは、この条の対象に挙がっていない
- 補足給付の額は、食費と居住費のそれぞれについて、基準費用額から負担限度額を引いた額を合わせたもの(第2項)。市町村が入所者に代わって施設に支払う場合(第4項)、入所者は負担限度額までを施設に払い、残りは施設が市町村へ請求する(第7項)。特別養護老人ホームの基準第9条第3項は、この場合の食費と居住費の受け取りを負担限度額までと定めているため、収支表では入所者から受け取る分と市町村から受け取る分を別の行にする
- 金額は令和8年8月1日からの表で入れる。食費の基準費用額は1日1,545円で、負担限度額は第1段階300円、第2段階390円、第3段階①680円、第3段階②1,420円(ショートステイは300円、600円、1,030円、1,360円)。居住費の基準費用額は多床室(特養等)915円、従来型個室(特養等)1,231円、ユニット型個室2,066円など居室の種類ごとに異なり、負担限度額は段階と居室で決まる。第2段階は年金収入金額と合計所得金額の合計が82.65万円以下、第3段階①は82.65万円超120万円以下、第3段階②は120万円超が目安で、預貯金等の額にも段階ごとの上限がある。入所者の段階は、市町村が出す負担限度額認定の証で確かめる
- 月の見積もりは、食費なら第3段階②の入所者1人で、入所者から1,420円×30日=42,600円、市町村から(1,545円−1,420円)×30日=3,750円と置く。段階ごとの入所者数を掛けて足し、居住費も居室の種類ごとに同じ式で出す。表の金額は令和9年度にかけて見直しが予定されているため、施行日と確認日を表の脇に書き、改定のたびに入れ替える
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
補足給付(特定入所者介護サービス費)とは、何ですか?
低所得の入所者の食費と居住費を軽くするため、市町村が支給する給付です。介護保険法第51条の3は、食費と居住費それぞれについて、基準費用額から負担限度額を引いた額を支給すると定めています。対象は特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、地域密着型介護老人福祉施設、短期入所生活介護、短期入所療養介護の利用者です。
補足給付の対象の入所者から、食費と居住費はいくらまで受け取れますか?
市町村が入所者に代わって施設に支払う場合、受け取れるのは負担限度額までです。特別養護老人ホームの基準第9条第3項は、その場合の食費と居住費の受け取りを負担限度額までと定めています。残りの基準費用額との差は、施設が市町村に請求します。
令和8年8月から、食費の負担限度額はいくらですか?
食費の基準費用額は1日1,545円です。負担限度額は、第1段階が300円、第2段階が390円、第3段階①が680円、第3段階②が1,420円です(ショートステイは300円、600円、1,030円、1,360円)。厚生労働省の介護保険最新情報Vol.1506の表で確認できます。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「介護保険法 第51条の3(特定入所者介護サービス費の支給)と、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準 第9条(利用料等の受領)」(介護保険法 第51条の3第1項〜第7項、基準(厚生省令第39号)第9条第3項第1号・第2号・第5項)(確認日 2026-10-30)
- 厚生労働省老健局介護保険計画課「介護保険最新情報 Vol.1506(令和8年5月29日)介護保険施設・ショートステイの食費・居住費が令和8年8月1日から変わります(基準費用額・負担限度額の表)」(別紙の「補足給付(低所得者の食費・居住費の負担軽減)の仕組み(令和8年8月〜)」の表)(確認日 2026-10-30)
- 厚生労働省老健局「令和8年度予算に関する「大臣折衝事項」について(報告)(社会保障審議会介護給付費分科会 第252回 資料1・令和7年12月26日)」(「基準費用額(食費)等について」の2.負担限度額について(※の記載))(確認日 2026-10-30)