運営 / 更新 2026-11-01
訪問看護の運営指導で確認される書類:厚生労働省の確認項目と確認文書
訪問看護の運営指導では、厚生労働省が定めた「確認項目」に沿って確認され、書類は「確認文書」に挙げられたものが中心になります。訪問看護に固有の主治の医師の指示、訪問看護計画書と報告書、緊急時の連絡の記録を中心に、項目と確認文書を原文で一覧にし、指導の前に自分で点検する手順をまとめます。
確認項目と確認文書の位置づけ
厚生労働省の運営指導マニュアルは、確認項目と確認文書を、運営指導の方法を標準化し効率化するために、確認すべき内容を絞った最低限のチェックポイントと位置づけています。この記事は、同じマニュアルの別添「確認項目及び確認文書」のうち訪問看護の項(資料内8〜10ページ)を整理したものです。
別添の「はじめに」は、確認文書として複数例示されているものは、その1つの確認で目的が達成されるなら複数を求めなくてよいと示しています。また、確認文書として例示されていても運営基準に明記されていないものは、提出がなくても基準違反にはならないとも書いています。
この記事で決めること
訪問看護ステーションの運営指導を前に、行政が確認する項目と、用意する書類を、厚生労働省の標準の確認項目・確認文書の原文で点検したい事業者向け。訪問看護を併設・開業する訪問介護の事業者が、運営指導の準備の見通しを持つ場面も含む。ための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、訪問看護の運営指導の点検表(1枚):第8条から第73条までの確認項目ごとに、確認文書の名前、置き場所、利用者ごとの記録の最新月、主治の医師の指示の有無、不足の有無を作成できる状態を目指します。
個別サービスの質に関する事項:同意・計画書・報告書の書類
別添の訪問看護の項は、確認項目を2つの区分に分けています。1つ目の「個別サービスの質に関する事項」には、内容及び手続の説明及び同意(第8条)、心身の状況等の把握(第13条)、居宅介護支援事業者等との連携(第64条)、居宅サービス計画に沿ったサービスの提供(第16条)、サービスの提供の記録(第19条)、指定訪問看護の具体的取扱方針(第68条)、訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成(第70条)が並びます。
訪問介護の項と比べると、最後の第70条に主治の医師の指示と訪問看護報告書が加わる点が目立ちます。訪問看護の確認文書は、医師の指示、計画、報告書の3つがつながっているかを見る構成だと読めます(この読み方は別添の記載ではなく、この記事の整理です)。
| 確認項目(条項) | 確認文書 |
|---|---|
| 内容及び手続の説明及び同意(第8条) | 重要事項説明書(利用申込者または家族の同意があったことがわかるもの)、利用契約書 |
| 居宅サービス計画に沿ったサービスの提供(第16条) | 居宅サービス計画、訪問看護計画(利用者または家族の同意があったことがわかるもの) |
| サービスの提供の記録(第19条) | 居宅サービス計画、サービス提供記録。確認項目は、提供日と内容、利用者に代わって支払いを受ける費用の額などの記載、具体的なサービス内容の記録 |
| 指定訪問看護の具体的取扱方針(第68条) | 身体的拘束等の記録(身体的拘束等がある場合) |
| 訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成(第70条) | 主治の医師の指示及び居宅サービス計画に基づく訪問看護計画(利用者または家族の同意があったことがわかるもの)、訪問看護報告書 |
第70条の確認項目:主治の医師の指示から訪問看護報告書まで
第70条の確認項目は、別添の原文では次の順に並んでいます。利用者の希望、主治の医師の指示、心身の状況等を踏まえているか、療養上の目標と具体的なサービスの内容等を記載しているか、居宅サービス計画に基づいて訪問看護計画が立てられているか、の順です。
続いて、利用者またはその家族への説明、同意、交付が行われているか、訪問看護報告書は作成されているか、という項目です。計画書に利用者または家族の同意がわかる形で残っているか、報告書が作成されているかが、書類の側の確認点になります。
身体的拘束等の項目(第68条)は訪問介護の項と同じ書き方で、行わないこと、行う場合は切迫性・非代替性・一時性の要件を全て満たすこと、態様と時間、利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録することが挙げられています。
体制に関する事項:員数・管理者・緊急時・運営規程・勤務体制の書類
2つ目の区分は「個別サービスの質を確保するための体制に関する事項」です。従業者の員数(第60条)、管理者(第61条)、受給資格等の確認(第11条)、利用料等の受領(第66条)、緊急時等の対応(第72条)、運営規程(第73条)、勤務体制の確保等(第30条)などが並びます。表の条項は、別添が指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)から抽出したものと注記している番号です。
| 確認項目(条項) | 確認文書 |
|---|---|
| 従業者の員数(第60条) | 従業者の勤務体制及び勤務実績がわかるもの(例:勤務体制一覧表、勤務実績表)、従業者の勤怠状況がわかるもの(例:タイムカード、勤怠管理システム)、資格要件に合致していることがわかるもの(例:資格証の写し) |
| 管理者(第61条) | 管理者の雇用形態がわかるもの、勤務体制及び勤務実績がわかるもの、勤怠状況がわかるもの。確認項目は、常勤専従か、他の職務を兼務している場合は兼務体制が適切かどうか |
| 受給資格等の確認(第11条) | 介護保険番号、有効期限等を確認している記録等 |
| 利用料等の受領(第66条) | 請求書、領収書 |
| 緊急時等の対応(第72条) | 運営規程、サービス提供記録。確認項目は、緊急事態が発生した場合に、速やかに主治の医師に連絡を行い指示を求める等の必要な措置を講じているか |
| 運営規程(第73条) | 運営規程(事業の目的及び運営の方針、従業者の職種・員数・職務の内容、営業日及び営業時間、訪問看護の内容及び利用料その他の費用の額、通常の事業の実施地域、緊急時等における対応方法、虐待の防止のための措置、その他運営に関する重要事項の8項目を定めているか) |
| 勤務体制の確保等(第30条) | 従業者の勤務体制及び勤務実績がわかるもの、雇用の形態(常勤・非常勤)がわかるもの、研修の計画及び実績がわかるもの、職場におけるハラスメントによる就業環境悪化防止のための方針 |
運営指導の前に、自分で点検する手順
別添の訪問看護の項の確認項目を左の列に写し、右の列に確認文書の名前と事業所での置き場所を書いていきます。そのうえで、利用者ごとに主治の医師の指示、同意の日付と署名の入った訪問看護計画、訪問看護報告書、サービス提供記録が、直近の月まで揃っているかを1枚ずつ見ます。
勤務体制一覧表、勤怠の記録、研修の計画と実績、資格証は月日がたつと変わるため、直近の分が揃っているかを別に確かめておくと安心です。足りない文書があるときは、運営基準に書かれている文書から先に整える進め方が、別添の「はじめに」の趣旨に合います。この順番は別添に書かれた手順ではなく、この記事の整理です。
訪問介護の運営指導の確認文書は別の記事の運営指導の確認項目チェックリストにまとめています。訪問看護には、主治の医師の指示と訪問看護報告書のように、訪問看護だけに出てくる文書があります。
この記事で確認した範囲と、次に確かめること
2026年11月1日に、厚生労働省の運営指導マニュアルの別添PDFの訪問看護の項で、項目と文書名を原文で確認しました。別添のPDFの本文に作成日・改訂日の表記は見当たりませんでした。体制に関する事項のうち、この記事の表に載せたのは原文で確かめた主な行だけです。
自治体が独自に求める書類や様式、運営指導の通知から当日までの日程は、この記事では扱っていません。実際に求められる書類は、事業所のある都道府県・市町村の案内で確かめてください。個別の運営基準違反の有無を、この記事で判断することはできません。
次に知りたいことは、訪問看護ステーションの人員と管理者の条件は訪問看護ステーションの指定基準、主治の医師の指示の有効期間の扱いは訪問看護の指示書の有効期間、事故が起きたときの対応は訪問看護の事故報告で確かめられます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 別添(訪問看護)の確認項目を左の列に写し、右に確認文書の名前を並べて、置き場所を書く
- 利用者ごとに、主治の医師の指示、居宅サービス計画に基づく訪問看護計画(同意の署名と日付入り)、訪問看護報告書、サービス提供記録が直近の月の分まで揃っているかを確かめて表に書く
- 従業者ごとに資格証の写しと勤務体制一覧表、タイムカードなどの勤怠の記録の直近の分を確かめ、不足や期限の近いものに印を付ける
- 主治の医師の指示、訪問看護計画、訪問看護報告書、緊急時の連絡の記録のうち不足しているものから先に整え、整えた日と担当者を表に残す
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省老健局総務課介護保険指導室「介護保険施設等運営指導マニュアル(令和4年3月策定・令和6年7月改訂)」(Ⅰ 基本編 第4章 監査への変更/Ⅱ 実践編 第3章 運営指導の実施)(確認日 2026-10-14)
- 厚生労働省老健局総務課介護保険指導室「介護保険施設等運営指導マニュアル 別紙2 別添「確認項目及び確認文書」(103 訪問看護)」(別添 103 訪問看護(資料内8〜10ページ)、はじめに)(確認日 2026-11-01)