運営 / 更新 2026-10-29

訪問看護の事故発生時の対応(基準第74条による第37条の準用):連絡先・記録・損害賠償

訪問看護の事業者は、指定居宅サービス等の基準(平成11年厚生省令第37号)の第74条によって、訪問介護の第37条が定める事故発生時の対応を準用されています。市町村・利用者の家族・居宅介護支援事業者等への連絡と必要な措置、事故の状況と処置の記録、賠償すべき事故での速やかな損害賠償の3つです。条文には、どの事故を市町村へ報告するかの範囲や、期限・様式は書かれていません。

第74条が、第37条の事故発生時の対応を訪問看護に準用している

訪問看護の章には、事故発生時の対応を定める独立した条がありません。第74条が、第8条や第26条などとあわせて第37条を、指定訪問看護の事業に準用しています。準用では、条文中の「訪問介護員等」が「看護師等」に読み替えられます。

デジタル庁のe-Gov法令検索で、2026年10月29日に原文を確認しました。第37条は事故が発生した場合の義務を事業者に課していて、訪問看護の事業者にも同じ3つの義務が及びます。

基準第37条の3つの義務(第74条により訪問看護に準用)
項事業者がすること条文の言い方
第1項市町村・利用者の家族・利用者に係る居宅介護支援事業者等へ連絡し、必要な措置を講じる連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない
第2項事故の状況と、事故に際して採った処置を記録する記録しなければならない
第3項賠償すべき事故が発生した場合に、損害賠償を行う損害賠償を速やかに行わなければならない

この記事で決めること

訪問看護ステーションや訪問看護を行う医療機関の事業者が、事故が発生したときに基準が求める連絡先・記録・損害賠償と、記録の保存期間、市町村への報告の範囲を条文で確かめたい。ための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、訪問看護の事故発生時の対応手順書(連絡先の一覧、事故の状況と処置の記録欄、賠償の窓口、記録の保存期間)を作成できる状態を目指します。

事故の記録は、完結の日から2年間保存する記録に入っている

訪問看護の記録の整備を定める第73条の2は、第2項で、利用者への指定訪問看護の提供に関する記録を、その完結の日から2年間保存するよう求めています。保存する記録は8つ並び、第8号が「準用する第37条第2項の規定による事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録」です。

同じ第2項には、主治の医師による指示の文書、訪問看護計画書、訪問看護報告書も入っています。事故の記録は、これらと並べて整備する記録の一つです。保存期間の細目は、事業所のある地域の指定権者の案内でも確かめてください。

運営規程の8項目には、事故発生時の対応は入っていない

訪問看護の運営規程は第73条の8項目です。事業の目的及び運営の方針、従業者の職種・員数及び職務の内容、営業日及び営業時間、指定訪問看護の内容及び利用料その他の費用の額、通常の事業の実施地域、緊急時等における対応方法、虐待の防止のための措置に関する事項、その他運営に関する重要事項で、事故発生時の対応という項目はありません。第6号の「緊急時等における対応方法」は、事故の連絡の定めとは別の項目です。

8項目の全体は訪問看護・訪問入浴介護の運営規程に定める事項で、訪問介護との違いとあわせて確かめられます。事故発生時の対応の定めは、運営規程より、利用開始時に交付する重要事項の説明文書と、事業所の手順書に置く形が考えられます。

利用開始時の説明で、事故発生時の対応を伝える

第74条は第8条も準用しており、提供の開始に際して、運営規程の概要などの重要事項を記した文書を交付して説明し、同意を得ることになります。第8条第1項の「第29条」は、訪問看護では「第73条」と読み替えられます。

厚生労働省の解釈通知(老企第25号)は、訪問介護の第8条について、運営規程の概要、勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制などを、説明すべき重要事項の例に挙げています。訪問看護の準用の項は、この訪問介護の項を参照するよう案内しています。説明文書に事故発生時の対応を書くなら、事業所の手順書と同じ内容にそろえます。

解釈通知が示す事前の備えと、損害賠償

解釈通知は、第37条について、次の点に留意するものとしています。事故が発生した場合の対応方法をあらかじめ事業者が定めておくことが望ましいこと、賠償すべき事態で速やかに賠償するため損害賠償保険に加入しておくか賠償資力を有することが望ましいこと、事故が生じたときに原因を解明して再発生を防ぐ対策を講じることです。

前の2つは、通知が「望ましい」と書いている事項で、条文が保険への加入を義務づけているわけではありません。保険の補償範囲は、商品名や一般論から推測せず、保険証券で確かめます。考え方は訪問介護の損害賠償と賠償責任保険の補償範囲の整理で整理しています。

どの事故を市町村へ報告するかは、条文に書かれていない

第37条第1項は、事故が発生した場合に市町村へ連絡するよう求めるだけで、対象にする事故の種類、連絡の期限、様式を定めていません。居宅サービス事業者の指定の判断を行うのは都道府県知事(介護保険法第70条第2項)ですが、報告の細目は、事業所のある都道府県や市町村が案内で決めます。ここでは、地域ごとの報告の対象や期限は確かめておらず、書いていません。

事故報告書の標準様式の項目と、ヒヤリハットの記録の書き方は、訪問介護を例に訪問介護のヒヤリハット記録と事故報告書の書き方で確かめられます。訪問看護の事業所でも、様式は指定権者の案内を優先して確かめてください。

訪問リハビリテーションも、同じ構造で第37条を準用している

訪問リハビリテーションは、第83条が第35条から第38条までを準用しており、第37条の3つの義務が及びます。第82条の2第2項第6号が、準用する第37条第2項の事故の記録を、完結の日から2年間保存する記録の一つに挙げています。

このため、訪問看護と訪問リハビリテーションを併せて運営する事業者は、事故の連絡先と記録の様式を1つの手順書にまとめられます。ただし、訪問リハビリテーションの運営規程の7項目にも事故発生時の対応は入っていません。7項目は訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導の運営規程に定める事項で確かめられます。

この記事で確認した範囲と、次に知りたいこと

確認したのは、基準の第8条・第37条・第73条・第73条の2・第74条・第82条の2・第83条と、介護保険法第70条第2項で、いずれもe-Gov法令検索の2026年10月29日取得版です。解釈通知は、厚生労働省が掲載する本文で、第37条の留意点と第8条の説明の項を確かめました。確認していないのは、都道府県・市町村ごとの事故報告の対象・期限・様式、医療保険の訪問看護の取扱いで、書いていません。

この記事は、個別の事故が報告の対象かどうかを判断するものではありません。

次に知りたいことは三つあります。同じ第37条の訪問介護での読み方は訪問介護の事故発生時の対応(基準第37条)に、訪問看護の人員の基準は訪問看護ステーションの人員基準に、介護保険か医療保険かの分かれ方は訪問看護は介護保険か医療保険かにまとめています。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 基準第37条の3つの義務(連絡と必要な措置、事故の状況と処置の記録、賠償すべき事故の損害賠償)を手順書の見出しにし、事業所の担当者を1人ずつ割り当てる
  2. 連絡先の一覧に、市町村の窓口、利用者の家族、利用者に係る居宅介護支援事業者等、主治の医師を並べ、事故の種類ごとの連絡の順番は指定権者の案内で確かめて書き込む
  3. 事故の状況と、事故に際して採った処置の記録欄を作り、完結の日から2年間保存する記録として、訪問看護計画書や報告書と同じ棚に置く
  4. 賠償すべき事故が起きたときの窓口と、保険に加入しているかどうかを保険証券で確かめた結果を書き、重要事項の説明文書の事故発生時の対応の記載と食い違わないようにそろえる

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隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。

よくある質問

迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。

訪問看護で事故が起きたとき、基準は何を求めていますか?

基準第74条が第37条を訪問看護に準用しています。第37条は、市町村・利用者の家族・利用者に係る居宅介護支援事業者等への連絡と必要な措置、事故の状況と事故に際して採った処置の記録、賠償すべき事故での速やかな損害賠償の3つを事業者に求めています。

訪問看護の事故の記録は何年保存しますか?

基準第73条の2第2項が、準用する第37条第2項の事故の状況と処置の記録を、利用者への訪問看護の提供に関する記録の一つに挙げ、完結の日から2年間の保存を求めています。保存期間の細目は指定権者の案内で確かめてください。

どんな事故を市町村へ報告するのかは、基準に書いてありますか?

第37条は「事故が発生した場合」と書くだけで、対象にする事故の種類・報告の期限・様式は条文にありません。これらは指定権者である都道府県や市町村の案内で決まるため、事業所のある地域の案内で確かめる必要があります。

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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