事業計画 / 更新 2026-10-30
訪問リハビリテーションの事業計画書と収支:1回308単位・医師と理学療法士等は1以上
訪問リハビリテーションの事業計画書の収支は、基準で決まる事業所の種類と員数、告示の1回308単位から組み立てる月の収入、自社で入れる費用の3つに分けると書けます。この記事は、基準と告示の原文を2026年10月30日に確かめ、収入の式と数値例、入力する項目を整理します。給与や車両の費用の平均値は扱いません。
事業計画書の収支に入れる項目と、数字の根拠
下の表は、収支に入れる項目ごとに、数字の根拠と、自社で確かめる点を並べたものです。基準や告示で決まる項目と、自社の数字を入れる項目を分けています。
訪問リハビリテーションは、訪問した1回ごとに単位数を算定します。登録者の数で月額が決まるサービスと違い、収入は利用者の数より、理学療法士等が月に訪問できる回数で決まります。
| 項目 | 根拠の数字 | 自社で確かめる点 |
|---|---|---|
| 事業所の種類 | 病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院で、専用の区画と設備及び備品等がある(基準 第77条第1項) | 既存の施設で専用の区画を確保できるか |
| 医師 | 必要な1以上の数で、常勤(基準 第76条第1項第1号・第2項) | 既存の常勤医師が兼ねられるか |
| 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 | 1以上(基準 第76条第1項第2号) | 1人が月に訪問できる回数 |
| 基本の収入 | 訪問リハビリテーション費が1回につき308単位(告示 別表4) | 月ごとの訪問回数の見込み |
| 減算 | 事業所の医師が診療していない利用者への訪問は1回につき50単位を減算(告示 別表4 注14) | 対象になる事業所の基準に当たるか |
| 算定しない場合 | 特別の指示から14日間、短期入所や特定施設などを受けている間(告示 別表4 注12・注13) | 利用者ごとの算定できない期間 |
| 給与・車両・備品ほか | この記事は数字を示さない | 見積書と求人条件で確かめた自社の数字 |
この記事で決めること
訪問リハビリテーションを病院・診療所・老健・介護医療院で始める、または併設を考える事業者が、事業計画書の収支に何を入れるのかを、基準の員数と告示の単位数から知り、訪問回数から月の収入を見積もる式を確かめる。ための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、訪問リハビリテーションの収支計画の入力表(事業所となる病院・診療所・老健・介護医療院、医師と理学療法士等の人数、月ごとの訪問回数、減算と算定しない期間、1単位の単価、人件費と固定費)を作成できる状態を目指します。
事業所と員数から決まる固定費:病院・診療所・老健・介護医療院で、医師は常勤
指定居宅サービス等の基準の第77条第1項は、指定訪問リハビリテーション事業所を、病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院であって、事業の運営に必要な広さの専用の区画を設けているものと定めています。設備及び備品等も、提供に必要なものを備えます。
第76条第1項は、従業者を医師と理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の2つに分けています。医師は提供に当たらせるために必要な1以上の数で、第2項により常勤でなければなりません。理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は1以上です。
訪問介護のように常勤換算で何人以上という書き方ではなく、必要な数の医師と1以上の理学療法士等を置く形です。医師の人件費をどう配分するかは、事業所となる施設全体の勤務表で自社が決めます。
介護老人保健施設又は介護医療院がみなし指定を受けている場合は、それぞれの施設の人員の基準を満たせば、第2項の基準を満たすとみなせます(第3項)。そのほかの指定の要件は訪問リハビリテーションの指定基準にまとめています。
月の収入の式:訪問回数×308単位×1単位の単価
訪問リハビリテーション費は1回につき308単位です。厚生労働省の告示(平成12年厚生省告示第19号)の別表、指定居宅サービス介護給付費単位数表の「4 訪問リハビリテーション費」で確認しました。
算定できるのは、通院が困難な利用者に対して、事業所の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、計画的な医学的管理を行っている事業所の医師の指示に基づいて訪問した場合です(注1)。収入は、月の訪問回数に308単位を掛けた単位数に、1単位の単価を掛けた額です。1単位の単価は、予定する所在地の地域区分で決まります。
事業所の医師が診療を行っていない利用者に訪問した場合は、別に厚生労働大臣が定める基準に適合している事業所について、1回につき50単位を減算します(注14)。その基準の原文はこの記事では読んでいません。加算の単位数は訪問リハビリテーション費の単位数に整理しています。
収入に入れない期間:特別の指示の14日間と、他のサービスを受けている間
主治の医師(介護老人保健施設と介護医療院の医師を除く)が、急性増悪等により一時的に頻回の訪問リハビリテーションが必要だとして特別の指示を行ったときは、その指示の日から14日間に限り、訪問リハビリテーション費は算定しません(注12)。
利用者が短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護を受けている間も、算定しません(注13)。
収支では、利用者ごとに、これらに当たる期間を月の回数から引きます。入院は注13の列挙にはありませんが訪問できないため、入院や入所が重なる月は、予定した訪問回数のまま収入に入れると、実際より多く見積もります。
数値例:理学療法士等2人の月の収入
式を確かめるための仮の数字を置きます。理学療法士等が2人で、1人が月に80回訪問し、合計160回だとします。そのうち10回は、医師が診療していない利用者への訪問で、50単位を減算する対象だとします。
基本は160回×308=49,280単位、減算は10回×50=500単位で、差し引きは48,780単位です。1単位を仮に10円とすると、月の収入は487,800円で、加算と地域の割合は入れていません。
この数字は、仕組みを確かめるための仮の値で、実際の訪問回数ではありません。1人あたりの回数を増やせば収入は増えますが、移動時間と記録の時間、利用者の通院や入院で訪問できない日があるため、回数は勤務表で確かめた範囲で置きます。
利用者が少ないうちは、常勤の医師と理学療法士等の人件費を、訪問回数の収入だけでまかなえるかを見積もります。施設全体の収入と人件費の中で、この事業をどう位置づけるかは、自社で決めます。
費用側で自社の数字を入れる項目
費用は、医師と理学療法士等の給与、社会保険料、訪問に使う車両の費用、リハビリテーションの機器と備品、記録や請求のシステム、研修費に分けて書きます。この記事は、給与や費用の平均値を示しません。求人条件、見積書、契約条件で確かめた自社の数字を入れます。
同じ理学療法士等が訪問する別の事業の収支は訪問看護ステーションの事業計画書と収支で比べられます。運営の決まりは訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導の運営規程で確かめられます。
この記事で確認した範囲
確認したのは、事業所の種類と員数の原文と、基本の単位数で、2026年10月30日に読んだ内容です。事業所と員数は指定居宅サービス等の基準の第76条・第77条をe-Gov法令検索で、単位数と算定しない場合は厚生労働省の告示の別表で確かめました。
医師が診療していない利用者に訪問できる事業所の基準、加算の届出基準、同一建物の割合、処遇改善加算の率、地域区分ごとの単価の値、車両や備品の費用、給与の平均値は確認しておらず、扱っていません。個別の事業所の収支は、自社の数字と、都道府県への確認で決めてください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 事業所となる病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院を特定し、専用の区画と提供に必要な設備及び備品等を、既存の面積と備品の一覧で確かめる。医師は常勤の1以上、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は1以上を、勤務表で置く
- 利用者の数と、1人あたりの月の訪問回数を仮置きし、理学療法士等1人が1日に回れる回数から、月の訪問回数の上限を勤務表で見積もる。収入は回数で決まるため、利用者の数より回数の表を先に作る
- 月の収入は、訪問回数×308単位で単位数にする。医師が診療していない利用者への訪問は1回50単位の減算、急性増悪等で特別の指示があった日から14日間、他のサービスを受けている間は算定しないため、別の表で引く
- 1単位の単価は、予定する所在地の地域区分で告示の表から確かめる。医師と理学療法士等の給与、車両、備品は、求人条件と見積書の自社の数字を入れ、訪問回数が少ない開業直後の月に収入が人件費を下回る期間を見積もる
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
訪問リハビリテーションの事業計画書の収入は、何で決まりますか?
告示の別表は、訪問リハビリテーション費を1回につき308単位と定めています。月の収入は、訪問回数×308単位に1単位の単価を掛けて出すため、利用者の数より、理学療法士等が月に訪問できる回数が収入を左右します。
訪問リハビリテーション事業所に置く従業者は何人ですか?
基準の第76条は、医師を指定訪問リハビリテーションの提供に当たらせるために必要な1以上の数とし、その医師は常勤でなければならないとしています。理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は1以上です。
訪問リハビリテーションは、訪問介護事業者が新しく始められますか?
基準の第77条は、事業所を病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院であって、専用の区画と必要な設備及び備品等を備えているものと定めています。訪問介護だけを運営する事業者は、条文のうえで、これらの医療機関や施設を運営していることが前提になります。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)別表 4 訪問リハビリテーション費」(別表 4 訪問リハビリテーション費 イ(308単位)と注1〜注14、ロ 退院時共同指導加算、ハ 移行支援加算、ニ サービス提供体制強化加算、ホ 介護職員等処遇改善加算)(確認日 2026-10-19)
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(第75条 基本方針、第76条 従業者の員数、第77条 設備及び備品等、第81条 訪問リハビリテーション計画の作成)、介護保険法第41条第1項」(基準第75条〜第77条、第81条(訪問リハビリテーション)、法第41条第1項)(確認日 2026-10-20)