事業計画 / 更新 2026-10-29
訪問看護ステーションの事業計画書と収支:看護職員2.5人と月の収入の式
訪問看護ステーションの事業計画書の収支は、人員基準で決まる看護職員の配置、告示の単位数から組み立てる月の収入、自社で入れる費用の3つに分けると書けます。この記事は、基準と告示の原文を2026年10月29日に確かめ、収入の式と数値例、入力する項目を整理します。看護職員の給与や費用の平均値は扱いません。
事業計画書の収支に入れる項目と、数字の根拠
下の表は、収支に入れる項目ごとに、数字の根拠と、自社で確かめる点を並べたものです。条文や告示で決まる項目と、自社の数字を入れる項目を分けています。
| 項目 | 根拠の数字 | 自社で確かめる点 |
|---|---|---|
| 看護職員の配置 | 常勤換算で2.5以上、うち1名は常勤(基準 第60条第1項第1号イ・第2項) | 都道府県の条例の基準と、常勤換算の勤務時間の数え方 |
| 管理者 | 専らその職務に従事する常勤。保健師または看護師(基準 第61条) | 管理上支障がない場合の兼務の可否 |
| 基本の収入 | 訪問看護費の単位数(告示第19号の別表 3) | 時間区分ごとの月の訪問回数 |
| 月ごとの加算 | 緊急時訪問看護加算(Ⅰ)は1月につき600単位、特別管理加算(Ⅰ)は500単位、(Ⅱ)は250単位など | 届出の要件を満たすか、算定する利用者が何人か |
| 1単位の単価 | 10円に、所在地の地域区分とサービス種類ごとの割合を掛けた額(告示第93号) | 予定する所在地の割合 |
| 人件費・家賃・車両費ほか | この記事は数字を示さない | 求人条件と見積書で確かめた自社の数字 |
この記事で決めること
訪問看護ステーションの開業や併設を考える事業者が、事業計画書の収支に何を入れるのかを、人員基準と告示の単位数から知り、月の収入を見積もる式と、自社の数字を入れる項目を確かめる。ための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、訪問看護ステーションの収支計画の入力表(看護職員の常勤換算、月の訪問回数と時間区分、月ごとの加算、1単位の単価、人件費と固定費)を作成できる状態を目指します。
人員基準から決まる固定費:看護職員は常勤換算で2.5以上
指定居宅サービス等の基準の第60条第1項第1号イは、指定訪問看護ステーションの看護職員(保健師、看護師、准看護師)を、常勤換算方法で2.5以上と定めています。第2項は、そのうち1名は常勤でなければならないとしています。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は、ステーションの実情に応じた適当数です。
常勤換算方法は、第2条で、事業所の従業者の勤務延時間数を、常勤の従業者が勤務すべき時間数で割って、員数を常勤の人数に換算する方法とされています。たとえば、常勤の1人と、常勤の勤務時間の半分ずつ働く非常勤の3人なら、1+0.5×3=2.5です。
管理者は、第61条で、専らその職務に従事する常勤の保健師または看護師とされ、管理上支障がない場合は他の職務を兼ねられます。この基準は都道府県の条例でも定められるため、申請前に窓口で確かめてください。人員基準の全体は訪問看護ステーションの人員基準にまとめています。
収支計画では、この2.5人分の人件費が、訪問がまだ少ない開業直後の月から必要な固定費の中心になります。利用者が増える前の数か月を、自己資金で支える額を見積もっておく必要があります。
月の収入の式:訪問回数×時間区分の単位数×1単位の単価
ステーションの基本の収入は、時間区分ごとの単位数で決まります。告示第19号の別表の3 訪問看護費では、20分未満が314単位、30分未満が471単位、30分以上1時間未満が823単位、1時間以上1時間30分未満が1,128単位で、理学療法士等の訪問は1回294単位です。准看護師の訪問や同一建物などの割合は、訪問看護費の単位数に整理しています。
収入の式は、時間区分ごとに、月の訪問回数に単位数を掛けて足し、1単位の単価を掛けた額です。1単位の単価は、平成27年厚生労働省告示第93号で、10円に、所在地の地域区分とサービス種類ごとの割合を掛けた額とされ、割合の値は告示の表で確かめます。算定の構造は介護報酬の算定構造にもあります。
20分未満の区分は、24時間体制の整備があり、居宅サービス計画または訪問看護計画書に20分以上の訪問が週1回以上含まれている場合に限り算定できます。20分未満を収入の計算に入れるときは、この条件を満たす計画かを先に確かめます。
数値例:看護職員2.5人で、30分以上1時間未満の訪問が月200回のとき
式を確かめるための仮の数字を置きます。看護職員が常勤換算で2.5人、1人が1日に4回訪問し、月に20日稼働すると、月の訪問回数は2.5×4×20=200回です。すべて30分以上1時間未満(823単位)なら、200回×823単位=164,600単位です。
1単位を仮に10円とすると、月の基本の収入は1,646,000円です。実際の額は、所在地の単価、時間区分の構成、准看護師やリハビリ職の訪問の割合で変わります。1人1日の訪問回数は、移動、記録、休み、カンファレンスの時間で下がるので、仮の数字を置いたあと、実際の勤務表で組み直します。
月ごとの加算は、この数字に入っていません。緊急時訪問看護加算(Ⅰ)は、届出をしたステーションが24時間連絡できる体制と緊急時訪問の体制にあるとき、1月につき600単位で、仮に20人に算定できるなら20人×600単位=12,000単位を別の行に足します。届出の基準や、特別管理加算、ターミナルケア加算の要件は、訪問看護の主な加算で確かめます。
費用側で自社の数字を入れる項目
費用は、看護職員と管理者の給与、社会保険料、事務所の家賃、訪問に使う車両の費用、衛生材料、研修費、記録や請求のシステムの費用に分けて書きます。この記事は、給与や費用の平均値を示しません。求人条件、見積書、物件の契約条件で確かめた自社の数字を入れます。
収入の計算に使う訪問回数を支える人数と、人員基準を満たす人数が合っているかは、2つの表を並べて確かめます。訪問介護の事業所で人件費を収入と比べる考え方は訪問介護の人件費率にあります。居宅介護支援の収入の見積もりは居宅介護支援事業所の収入の見積もり方にあり、式の組み立ては同じです。
この記事で確認した範囲
確認したのは、人員と単位数の原文で、2026年10月29日に読んだ内容です。人員は基準の第2条・第60条・第61条をe-Gov法令検索で、単位数は訪問看護費と各加算を厚生労働省の告示掲載ページで確かめました。1単位の単価は、2026年10月24日に確認した平成27年厚生労働省告示第93号によります。
地域区分ごとの割合の値、加算の届出基準、医療保険の訪問看護の報酬、費用の平均値は確認しておらず、扱っていません。個別の事業所の収支は、自社の数字と、指定権者への確認で決めてください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 看護職員の常勤換算が2.5以上で、うち1名が常勤になる配置表を作り、管理者(保健師または看護師)を別の行で確かめる
- 月の訪問回数を、看護職員の常勤換算×1人1日の訪問回数×稼働日数で仮置きし、時間区分ごとの単位数(告示の別表)を掛けて、月の単位数にする
- 緊急時訪問看護加算などの月ごとの加算は、届出が必要なものと、算定する利用者の数を別の行に分けて足す
- 1単位の単価は、予定する所在地の地域区分で告示の表から確かめる。看護職員の給与・社会保険料・家賃・車両費・システム費は、求人条件と見積書の自社の数字を入れる
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
訪問看護ステーションに必要な看護職員は何人ですか?
指定居宅サービス等の基準の第60条第1項第1号イは、指定訪問看護ステーションの看護職員(保健師、看護師、准看護師)の員数を、常勤換算方法で2.5以上と定めています。第2項は、そのうち1名は常勤でなければならないとしています。実際に満たす基準は都道府県の条例で定められるため、申請前に都道府県の窓口で確かめてください。
訪問看護ステーションの訪問1回の報酬はいくらですか?
平成12年厚生省告示第19号の別表の3 訪問看護費では、指定訪問看護ステーションの場合、所要時間20分未満が314単位、30分未満が471単位、30分以上1時間未満が823単位、1時間以上1時間30分未満が1,128単位です。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士による訪問は1回につき294単位です。円にするには、事業所の所在地の地域区分に応じた1単位の単価を掛けます。
訪問看護ステーションの管理者になれるのは誰ですか?
基準の第61条は、管理者を専らその職務に従事する常勤の者とし、保健師または看護師でなければならないとしています。ただし、ステーションの管理上支障がない場合は他の職務との兼務が認められ、やむを得ない理由がある場合は保健師・看護師でない者も認められます。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)別表 3 訪問看護費」(別表 3 訪問看護費 イ・ロ、注1(准看護師100分の90、理学療法士等が1日に2回を超える場合100分の90、20分未満の条件)、注3・注4(減算100分の1)、注5(夜間・早朝100分の25、深夜100分の50)、注8(同一建物100分の90/100分の85)、初回加算、退院時共同指導加算、看護・介護職員連携強化加算)(確認日 2026-10-19)
- 厚生労働省「厚生労働大臣が定める一単位の単価(平成27年厚生労働省告示第93号)、介護保険法第46条(居宅介護サービス計画費の支給)」(告示第93号 第一(一単位の単価は10円に、事業所の所在する地域区分とサービス種類ごとの割合を乗じた額)、介護保険法第46条第1項・第2項・第4項)(確認日 2026-10-24)
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第2条・第60条・第61条」(第2条(常勤換算方法の定義)、第60条第1項第1号イ・第2項(看護職員は常勤換算2.5以上、うち1名は常勤)、第61条(管理者))(確認日 2026-10-29)