運営 / 更新 2026-10-14
処遇改善加算の準備物チェックリスト(令和8年度)
処遇改善加算の要件は、計画書に書く前に、就業規則や賃金表、研修の計画などの書面と、全ての介護職員への周知がそろっていることが前提です。厚生労働省の通知(老発0313第6号)の文言から、月額賃金改善要件、キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅲ、職場環境等要件のそれぞれで用意する書面を、準備物のチェックリストにしました。
この記事で決めること
訪問介護の事業所が処遇改善加算の計画書を出す前に、キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅲ・月額賃金改善要件・職場環境等要件のそれぞれで、どんな書面や取組を用意しておくかを、老発0313第6号の文言で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、処遇改善加算の要件別準備物一覧(要件名、用意する書面、書面の名前と保管場所、全介護職員への周知の日と方法、不足している点と整える期限)を作成できる状態を目指します。
この記事の役割と、先に読む記事との分担
加算区分ごとの加算率と、計画書・実績報告書の期限は、訪問介護の介護職員等処遇改善加算 区分・算定要件・加算率と計画書・実績報告にまとめています。キャリアパス要件Ⅳ(年額440万円)の考え方は、訪問介護の処遇改善加算のキャリアパス要件Ⅰ〜Ⅳ:任用・研修・昇給の仕組みと年額440万円にあります。
この記事は、それらを読んだあとで、手元に何の書面があればよいかを確かめるための記事です。通知の文言をもとに、要件ごとの準備物を並べます。
要件ごとの準備物チェックリスト
次の表は、老発0313第6号の要件の文言を、用意する書面と周知に置き換えたものです。チェックの欄は、自社に書面があるかを確かめるための項目で、通知の文言ではありません。
加算区分によって必要な要件が変わります。月額賃金改善要件と職場環境等要件は全ての区分、キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱは加算Ⅲ以上、要件Ⅲは加算Ⅱ以上に関わります。区分と要件の対応は、上の記事の表で確認してください。
| 要件 | 通知が求めること | 用意する書面・記録 | 自社の確認 |
|---|---|---|---|
| 月額賃金改善要件 | 加算Ⅳの加算額の2分の1以上を、基本給または決まって毎月支払われる手当の改善に充てる | 賃金表、手当の一覧、改善前後の月額の比較表 | □ |
| キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系) | 職位・職責・職務内容に応じた任用の要件と賃金体系を定め、就業規則等に書面で整備して全ての介護職員に周知する | 就業規則または内規、職位ごとの任用要件、賃金体系の書面、周知した日と方法の記録 | □ |
| キャリアパス要件Ⅱ(研修) | 介護職員と意見を交換しながら資質向上の目標と具体的な計画を策定し、研修の実施または機会の確保をして、全ての介護職員に周知する | 研修計画書、意見交換の記録、研修の実施記録または資格取得支援の規程、周知の記録 | □ |
| キャリアパス要件Ⅲ(昇給の仕組み) | 経験、資格等、または人事評価などに応じて昇給する仕組みを設け、就業規則等に書面で整備して全ての介護職員に周知する | 昇給の基準(経験年数・資格・評価基準の明文化)、就業規則または内規、周知の記録 | □ |
| 職場環境等要件 | 別紙の処遇改善の取組を、区分ごとの数だけ実施する。上位の区分は取組の公表も求める | 実施した取組の一覧と実施の記録、ホームページ等への掲載の画面 | □ |
書面を整えるときの注意点(10人未満の事業所と令和8年度の特例)
キャリアパス要件ⅠとⅢは、就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備することを求めています。常時雇用する者が10人未満など、労働法規上の就業規則の作成義務がない事業所では、就業規則の代わりに内規等を整備して周知しても差し支えないとされています。
月額賃金改善要件は、処遇改善加算を未算定の事業所が新規に算定を始める場合を除き、賃金総額を新たに増やす必要はないとされています。基本給等以外の手当や一時金で行っている改善の一部を、基本給等へ付け替えることでも満たせます。ただし、新たに基本給等を引き上げる場合は、賃金表を改訂して水準を一律に引き上げるベースアップを基本とすると書かれています。
令和8年度は、令和8年度特例要件(ケアプランデータ連携システムの利用など)を満たす事業所に限り、キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅲについて、令和9年3月末までに整備することを計画書で誓約して先に算定を始められます。誓約した場合は、整備したことを実績報告書で報告します。
職場環境等要件と周知の記録
職場環境等要件は、取組の区分ごとの数と公表の方法で確認します。取組の数と区分は、処遇改善加算の職場環境等要件:区分ごとの取組数と公表(訪問介護・令和8年度)にまとめています。
全ての要件で、書面を作っただけでは足りず、全ての介護職員に周知している必要があります。いつ、どの方法(掲示、配布、説明の場など)で周知したかを記録に残しておくと、実績報告や指定権者の確認のときに示しやすくなります。
この記事は、個別の就業規則や賃金表が要件を満たすかどうかを判断しません。算定の可否は、指定権者が案内する様式と確認の方法で確かめてください。期限の考え方は訪問介護の開業後の義務カレンダー(研修・訓練・処遇改善の実績報告)に並べています。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 算定したい加算区分を決め、その区分で必要な要件を、キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅲ・月額賃金改善要件・職場環境等要件の順に一覧へ書き出す
- 要件ごとに、すでにある書面(就業規則、内規、賃金表、研修計画、昇給の基準)の名前と保管場所を書き、無いものに印を付ける
- 無い書面は、いつまでに誰が作るかを決め、作ったら全ての介護職員に周知した日と方法を記録する
- 職場環境等要件の取組と公表の方法を決め、計画書の提出前に、書面と周知の記録がそろっているかを見直す
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「介護職員の処遇改善:加算の申請方法・申請様式」(確認日 2026-09-25)
- 厚生労働省老健局長「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(老発0313第6号)」(確認日 2026-09-25)