運営 / 更新 2026-10-13

訪問介護員の労働時間の記録方法:始業・終業時刻の確認と、自己申告制で必要な措置

訪問介護員は利用者宅へ直接向かい、事業所にいない時間が長く、いつ働き始め、いつ終えたかを確かめにくい仕事です。厚生労働省は、使用者が労働時間を適正に把握するための考え方を、ガイドラインで示しています。このページは、そのリーフレットと労働安全衛生法の条文で、始業・終業時刻の確認の方法、自己申告制で必要な措置、記録の保存を整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護員の労働時間を勤怠システムや日報で記録する訪問介護事業所の経営者や管理者が、始業・終業時刻の確認の原則的な方法、自己申告制で必要な措置、労働安全衛生法が求める労働時間の状況の記録と保存を、厚生労働省のガイドラインと条文で確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、訪問介護員の労働時間の記録方法の整理表(職員区分ごとの始業・終業時刻の確認方法、記録の保管場所と3年の保存、自己申告制を使う場合の説明と実態調査の記録)を作成できる状態を目指します。

ガイドラインの対象と、労働時間の考え方

ガイドラインは、労働基準法の労働時間の規定が適用されるすべての事業場を対象にしています。対象の労働者は、管理監督者など労働基準法第41条に定める者と、みなし労働時間制が適用される労働者(事業場外労働では、みなし労働時間制が適用される時間に限る)を除くすべての労働者です。

ガイドラインは、労働時間を使用者の指揮命令下に置かれている時間と説明しています。使用者の明示的・黙示的な指示で業務を行う時間は、労働契約や就業規則の定めに関係なく労働時間です。使用者の指示があれば即時に業務に従事することを求められ、労働から離れることが保障されていない待機の時間(手待時間)も、労働時間の例に挙げています。

始業・終業時刻の確認の原則と、自己申告制

ガイドラインは、使用者が労働者の労働日ごとの始業・終業の時刻を確認し、適正に記録することを求めています。原則的な方法は2つで、1つは使用者が自ら現認する方法です。もう1つは、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を基礎として確認する方法です。

やむを得ず自己申告制で把握する場合は、主な点が3つ示されています。申告する労働者と管理する担当者に、ガイドラインに基づく措置を十分に説明すること、申告した時間と入退場の記録などで分かる時間との間に著しい乖離があれば実態調査をして労働時間を補正すること、申告できる時間数の上限を設けるなど適正な申告を妨げる措置を設けないことです。

リーフレットによると、ガイドラインは、時間外労働の削減のための社内通達や、時間外手当の定額払いが、適正な申告を妨げていないかを確認することも求めています。36協定の上限を超えて働いているのに、記録の上では守っているように見せることが慣習になっていないかも確かめる点です。

労働安全衛生法が求める記録と、賃金台帳

労働安全衛生法第66条の8の3は、医師による面接指導を実施するため、事業者に労働者の労働時間の状況を把握することを求めています。労働安全衛生規則第52条の7の3は、その方法をタイムカードによる記録、パソコンなどの使用時間の記録といった客観的な方法その他の適切な方法とし、記録を作成して3年間保存する措置を講じることを求めています。

賃金台帳については、ガイドラインが、労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数を適正に記入することを求めています。賃金台帳の記載事項と保存期間は労働条件の明示と労働者名簿・賃金台帳で確認できます。

訪問介護で確かめる点と、このページの範囲

事業場外みなし労働時間制が適用されない訪問介護員は、直行直帰であっても、ガイドラインの対象です。自己申告した時間を、たとえば事業所が持つ訪問の予定や実績の記録と突き合わせるかどうかは、事業所ごとに決める運用の工夫です。みなし労働時間制を使えるかは直行直帰とみなし労働時間制で確認してください。

このページが確認したのは、厚生労働省のガイドラインのリーフレットと、労働安全衛生法・同規則の条文です。ガイドライン本文は確認していません。個別の勤怠の仕組みが要件を満たすかも判断しません。

移動や待機が労働時間に当たるかは雇用・勤怠と訪問介護の移動時間で、割増賃金は時間外・休日・深夜の割増賃金で確認できます。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 職員の区分(常勤、非常勤、登録型、サービス提供責任者など)ごとに、労働日ごとの始業・終業の時刻を、誰が、どの方法で確認しているかを書き出す。事業場外みなし労働時間制を使っていない職員は、ガイドラインの対象になるので、直行直帰の職員も含めて確かめる
  2. 確認方法を、使用者が自ら現認する方法か、タイムカード・ICカード・パソコンの使用時間の記録など客観的な記録に基づく方法かに分ける。訪問先から打刻できない職員の記録をどうするか(アプリの打刻、事業所への連絡など)を決める。やむを得ず自己申告制にする職員は別の欄に分ける
  3. 自己申告制を使う職員と、労働時間を管理する担当者に、ガイドラインの趣旨と申告の仕方を説明した日を控える。申告時間と、サービス提供記録など客観的に分かる時間との間に大きな差がないかを調べる担当者と、差があったときに実態を聞き取る手順を決める
  4. 申告できる時間外労働の時間数に上限を設けていないか、時間外労働の削減のための社内通達や手当の定額払いが、正しい申告を妨げていないかを確かめる。労働時間の状況の記録は、労働安全衛生規則で3年間保存する措置が必要なので、保存場所と期限を整理表に書く

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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