運営 / 更新 2026-10-02

訪問介護の会計の区分(基準第38条):事業所ごと・他事業との区分と4つの処理方式

訪問介護の事業者は、事業所ごとに経理を区分し、訪問介護の会計とそれ以外の事業の会計を区分する義務があります(省令第37号第38条)。具体的な処理方法は別の通知に委ねられており、厚生労働省の通知は、4つの方式を例として示しています。この記事は、条文と通知の抄から、何を区分するのか、どの方式があるのかを整理します。科目ごとの按分方法と税務の判断は扱いません。

この記事で決めること

訪問介護の事業所ごとの経理と、他の事業との会計を区分する義務(運営基準第38条)の内容と、厚生労働省の通知が示す4つの会計処理方式(会計単位分割・本支店会計・部門補助科目・区分表)の違いを確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、会計の区分方式の選定メモを作成できる状態を目指します。

条文が求める区分(第38条)

省令第37号第38条は、指定訪問介護事業者に対し、指定訪問介護事業所ごとに経理を区分するとともに、指定訪問介護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならないと定めています。区分の単位は事業所と事業の2つで、複数の事業所を持つ法人は両方を満たす必要があります。

老企第25号の掲載版は、第38条について、具体的な会計処理の方法等は別に通知するところによるものと説明しています。条文は区分の義務を定めるだけで、帳簿のつくり方は通知で確認する構成です。

通知が示す考え方(統一方式は求めない)

老振発第18号(平成13年3月28日)の厚生労働省掲載の抄は、介護保険の給付対象事業の実施主体が様々で、適用される会計基準も異なることから、全ての主体に統一的な方式による会計処理を求めないとしています。それぞれの法人等に適用される会計基準等を基本に、会計処理の段階で事業ごとに区分が必要な科目の按分を行うことで、運営基準を満たすという整理です。

また、示された按分方法や様式によりがたい場合でも、他の合理的な方法で事業ごとに会計が区分され、その状況が明らかにされていれば運営基準を満たすとしています。ただし、各種調査で会計の状況の記載を求められたときに適切に対応できる区分が必要とされています。訪問介護は、この通知の福祉系サービスに含まれます。

4つの会計処理方式の違い

通知は、事業所ごと・事業ごとの数値を出す適切な会計処理の例として、会計単位分割、本支店会計、部門補助科目、区分表の4方式を挙げています。通知の例示であり、いずれかの採用を義務づけるものではありません。

下の表は、通知の説明を並べたものです。どの方式が自法人に合うかは、事業の数、拠点の数、会計ソフトの機能で変わります。選ぶ前に、法人に適用される会計基準等と、顧問の税理士・会計士の意見を確認してください。

通知が例示する4つの会計処理方式(老振発第18号の抄)
方式通知の説明貸借対照表
会計単位分割方式事業拠点の介護サービス事業別に、別の法人のように独立した主要簿(仕訳帳・総勘定元帳)をもつ事業拠点別に作成
本支店会計方式主要簿の一部を事業拠点・事業別に分離して処理し、拠点間の取引は本支店勘定で処理する事業拠点別に作成するが、純資産の部は分離しない
部門補助科目方式勘定科目に補助コードを設け、仕訳時に記入して事業別の数値を集計する事業別には区分せず、収支と損益の計算書を区分する
区分表方式仕訳時には区分せず、科目ごとに按分基準を設け、配分表で事業別の結果表をつくる(部門補助科目方式の簡便法)通知の抄に記載なし

保険外サービス・他事業との関係

老企第25号の掲載版は、介護保険給付の対象となる指定訪問介護と明確に区分されるサービスに別の料金を設定してよい条件として、利用者への説明、運営規程とは別の定め、会計が指定訪問介護の事業の会計と区分されていることの3つを挙げています。保険外サービスを行う場合、会計の区分が条件の一つになります。

料金設定の条件は訪問介護の利用料等の受領、保険内外を組み合わせる場合の整理は混合介護の取扱いで確認できます。開設主体ごとの違いは訪問介護の開設主体・法人・資金調達にあります。

事業計画と月次決算への反映

事業計画では、訪問介護の収支を単独で見られるようにしておくと、損益分岐点や人件費率の確認に使えます。共通で使う費用の按分基準は自法人で決めて記録し、毎期同じ方法で続けます。按分の細かい科目と様式は、通知の抄で確認できなかったため、この記事は示しません。

国保連の入金と帳簿を照合する月次の手順は訪問介護の月次決算・記録照合の手順で整理しています。指定権者によって会計の確認の方法が異なる場合があるため、具体的な様式や科目の扱いは指定権者と顧問の税理士・会計士に確認してください。この記事は、税務や会計処理の適否を判断するものではありません。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 自法人が行う事業を一覧にし、訪問介護の事業所ごと、介護保険の給付対象外の事業ごとに、収入と費用を分けて見る単位を決める
  2. 法人に適用される会計基準等を確認し、会計単位分割・本支店会計・部門補助科目・区分表のどの方式で事業別の数値を出すかを選んで、理由を残す
  3. 複数の事業で共通して使う費用(家賃・事務員の人件費・車両費など)を洗い出し、按分の基準と見直す時期を自法人で決めて、毎期同じ方法で記録する
  4. 保険外サービスを別料金で行う場合は会計を区分していることを確認し、具体的な科目や様式は指定権者と顧問の税理士・会計士に確認する

一次資料

制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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