参入判断 / 更新 2026-10-17

訪問介護の商圏の75歳以上人口の将来推計:都道府県別の2040年指数と市区町村の差

75歳以上人口は2040年に全都道府県で2020年を上回る推計ですが、増え方は都道府県で大きく違います。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」は、令和2(2020)年の国勢調査を基に、2050年までを5年ごと・5歳階級別に、都道府県と市区町村について求めています。この記事は結果表2-4(75歳以上人口)を2026年10月17日に確認し、都道府県別の数字と市区町村で大きく違う例を整理したもので、人口の推計であり、訪問介護の利用者数や売上の予測ではありません。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

都道府県別の75歳以上人口:2040年に最も増える県と増え方が小さい県

結果表2-4で、令和2(2020)年の75歳以上人口を100としたときの2040年の指数を47都道府県で比べると、最も小さいのは山口県の103.9、最も大きいのは沖縄県の159.8でした。2040年の指数が100を下回る都道府県はなく、全国どこでも2040年の75歳以上人口は2020年より多い推計です。一方で、増え方の差は大きく、指数が120以上の都道府県が18、130以上が3、110未満が6あります。

次の表は、指数が大きい4県と小さい4県、人口の大きい東京都と大阪府を、結果表2-4の数字から並べたものです。2050年の指数も併せて載せると、2040年から先は県によって向きが分かれることが分かります。

75歳以上人口の将来推計(令和5年推計・結果表2-4、令和2年を100とした指数)
都道府県2020年(人)2040年(人)2040年の指数2050年の指数
沖縄県158,262252,844159.8179.3
滋賀県185,733248,555133.8150.2
栃木県271,135355,414131.1137.3
宮城県323,069418,398129.5136.1
東京都1,694,3742,026,894119.6148.6
大阪府1,288,0661,439,242111.7130.9
秋田県190,577202,975106.594.7
高知県131,410139,174105.9101.1
島根県123,304129,339104.9100.1
山口県245,347254,881103.9101.8

この記事で決めること

訪問介護の開業地を検討する人が、国立社会保障・人口問題研究所の令和5年推計(結果表2-4)で、都道府県別の75歳以上人口の2040年・2050年の向きと、同じ都道府県内の市区町村の差を確かめ、商圏の需要の見通しに使うための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、候補地の75歳以上人口の2040年・2050年の指数を、都道府県と訪問できる範囲の市区町村で並べた一覧を作成できる状態を目指します。

2040年以降の向き:2050年に2040年を下回る県

2050年の75歳以上人口が2040年より少ない推計の都道府県は、18あります。青森県、岩手県、秋田県、山形県、福島県、新潟県、鳥取県、島根県、山口県、徳島県、愛媛県、高知県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県です。残る29都道府県は、2050年のほうが2040年より多い推計です(東京都は2040年の指数119.6から2050年は148.6、大阪府は111.7から130.9)。

2040年の数字は、開業から十数年先の需要の向きを見る目安になります。2050年の数字は、設備や職員の長期の計画を立てるときに、向きが変わる県かどうかを見る材料になります。

同じ都道府県でも市区町村で大きく違う

訪問介護の商圏は市区町村より狭いことが多く、都道府県の数字は商圏の需要を表しません。同じ結果表2-4で北海道を見ると、道全体の2040年の指数は120.2ですが、札幌市は146.8(268,750人から394,619人)、夕張市は52.4(2,262人から1,185人)で、同じ道内に増える市と半分近くに減る市があります。島根県も、県全体は104.9ですが、市町村では松江市が116.4、知夫村が67.5と開いています。

事業所を開く場所を決めるときは、都道府県の表で向きを大づかみに見たあと、同じ国立社会保障・人口問題研究所の「都道府県・市区町村の男女・年齢(5歳)階級別将来推計人口」で、移動できる範囲に含まれる市区町村の数字を足し合わせて確かめます。商圏の区切り方は「訪問介護の商圏・需要・競合の調べ方」で確認できます。

推計の読み方:75歳以上人口と訪問介護の需要は同じではない

この推計が示すのは、75歳以上の人が何人いるかという人口で、介護の認定を受ける人や訪問介護を使う人の数は含まれていません。実際の利用者数・事業所数・費用額は、介護サービス施設・事業所調査や介護給付費等実態統計で別に確認します。全国の数字は「訪問介護の事業所数・利用者数・費用額の全国推移(令和6年)」にあります。

推計は令和2年の国勢調査を基にした仮定の積み重ねで、将来の出生・死亡・人口移動が仮定どおりにならなければ数字は変わります。この記事の数字は出生中位・死亡中位の仮定による値で、実績との差や、仮定を変えた場合の数字は扱っていません。

競合の事業所が多い地域では、人口が増えても1事業所あたりの利用者が増えるとは限りません。75歳以上人口の指数が高いことは、需要が見込めるかどうかの判断材料の一つに過ぎず、開業の可否を決めるものではありません。

開業地の検討で確かめる手順

次の表は、この推計を事業計画に使うときの手順の例です。制度が定めた手順ではなく、確認の順序の一例です。

75歳以上人口の推計を開業地の検討に使う手順(事業所の運用の例)
手順確認すること使う資料
1. 向きを見る候補の都道府県の2040年・2050年の指数が、100を超えているか、2050年に下がるか結果表2-4(都道府県)
2. 範囲を絞る候補地から訪問できる範囲の市区町村を決める商圏の区切り方の記事
3. 市区町村の数字を足す範囲内の市区町村の75歳以上人口を、2020年・2030年・2040年について足し合わせる市区町村別の将来推計人口(Excel)
4. 利用の実績で補う範囲内の事業所数や利用者数を、公的統計で確かめる介護サービス施設・事業所調査など
5. 事業計画へ反映訪問件数の上限と損益分岐の訪問件数に、確かめた範囲の需要を使う訪問介護の訪問件数上限の決め方(商圏需要・職員時間から算出)

次に読む記事

働き手の側の見通しは、訪問介護の採用の見通し:15〜64歳人口の将来推計と75歳以上との比(都道府県別)で同じ推計から整理しています。

一人暮らしの高齢者の世帯の見通しは、訪問介護の事業計画に使う65歳以上の単独世帯の将来推計(全国・令和6年推計)で確認できます。

訪問できる範囲の決め方と、公的データの組み合わせ方は、訪問介護の商圏・需要・競合の調べ方で整理しています。

全国の事業所数・利用者数・費用額の推移は、訪問介護の事業所数・利用者数・費用額の全国推移(令和6年)で確認できます。

商圏の需要を月の訪問件数の上限に変える考え方は、訪問介護の訪問件数上限の決め方(商圏需要・職員時間から算出)で扱っています。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 候補の都道府県の75歳以上人口について、2020年を100とした2040年・2050年の指数を、結果表2-4で確かめて書き出す
  2. 候補の事業所から訪問できる範囲に含まれる市区町村を決め、市区町村別の将来推計人口で2020年・2030年・2040年の75歳以上人口を足し合わせる
  3. 足し合わせた数字の2040年の指数が、都道府県の指数と同じ向きか違う向きかを比べ、違うときは市区町村の数字を商圏の需要の見通しとして使う
  4. 同じ範囲の事業所数と利用者数を公的統計で確かめ、訪問件数の上限と損益分岐の訪問件数の前提に、確かめた需要の向きを記録する

関連ガイドで計画をつなぐ

隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。

よくある質問

迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。

75歳以上人口は、2040年に全国どこでも増えますか?

国立社会保障・人口問題研究所の令和5(2023)年推計(結果表2-4)では、令和2(2020)年を100とした2040年の指数が最も小さい山口県でも103.9で、100を下回る都道府県はありません。ただし増え方の差は大きく、沖縄県の159.8から山口県の103.9までです。

都道府県の75歳以上人口の推計は、そのまま商圏の需要として使えますか?

使えません。同じ推計で北海道全体の2040年の指数は120.2ですが、札幌市は146.8、夕張市は52.4と、市区町村で大きく違います。訪問できる範囲に含まれる市区町村の数字を、市区町村別の将来推計人口で足し合わせて確かめます。

75歳以上人口が増える地域なら、訪問介護の利用者も増えますか?

この推計は75歳以上の人口であり、介護の認定を受ける人や訪問介護を使う人の数は含みません。利用者数や事業所数は、介護サービス施設・事業所調査などの公的統計で別に確かめます。

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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