運営 / 更新 2026-10-15

訪問介護の加算の算定率(特定事業所加算・処遇改善加算など主な加算の全国の取得状況)

訪問介護で請求のあった35,376事業所のうち、令和7年3月のサービス提供分で特定事業所加算(Ⅱ)を算定していたのは12,242事業所(34.6%)、(Ⅰ)は3,937事業所(11.1%)、介護職員等処遇改善加算は区分(Ⅰ)と(Ⅱ)がそれぞれ36%台でした。一方、緊急時訪問介護加算は3.7%、口腔連携強化加算は0.6%、生活機能向上連携加算は0.1〜0.2%にとどまります。厚生労働省が第259回介護給付費分科会に出した資料の算定状況表から、主な加算の事業所ベースの算定率を整理し、自事業所の加算を見直す順番の目安にします。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護の事業者が、主な加算を全国の事業所のどれだけが算定しているかを公的統計で確かめ、自事業所の加算を見直す順番の目安にするための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、加算の算定状況点検表(加算名、全国の算定率、自事業所の算定の有無、算定できない理由、確認する要件の記事)を作成できる状態を目指します。

この記事の範囲:全国の加算の算定率を、自事業所の点検の出発点にする

加算の単位数や要件は、主な加算の比較表:単位数・算定の単位・届出の要否と各加算の記事が扱います。この記事は、同じ加算を全国の事業所のどれだけが算定しているかを、公的統計の数字で確かめる記事です。算定率が低い加算には、算定できる事業所が少ない場合も手間が大きい場合もあり得ますが、資料は理由を示していないので、低さを取得しないと損という意味には読めません。

ここで使う数字は、厚生労働省の「介護給付費等実態統計」令和7年4月審査(令和7年3月サービス提供)分と、介護保険総合データベースの任意集計です。介護予防・日常生活支援総合事業は含みません。請求事業所数には月遅れ請求分と区分不詳を含みません。

最新の年度の統計表そのものや、市区町村・事業所の規模別の算定率は確認していません。

事業所ベースの算定率とは:何を何で割った数字か

資料の「算定率(事業所ベース)」は、各加算を請求した事業所の数を、訪問介護の総請求事業所数(35,376)で割ったものです。同じ表には、回数を総回数で割った「算定率(回数ベース)」と、単位数を総単位数で割った「割合(単位数ベース)」も載っています。

たとえば特定事業所加算(Ⅰ)は、事業所ベースでは11.1%ですが、回数ベースでは17.7%、単位数ベースでは16.9%です。算定している事業所の数は少なくても、算定している事業所では多くの訪問に加算がつくので、回数や単位数の割合のほうが大きくなります。自事業所と比べるときは、請求の有無を見る事業所ベースを使います。

体制・人材に関わる加算:特定事業所加算と処遇改善加算

次の表は、体制や人材の要件に関わる2つの加算の算定率です。特定事業所加算は(Ⅰ)から(Ⅴ)まで区分があり、加算率は(Ⅰ)が20%、(Ⅱ)と(Ⅲ)が10%、(Ⅳ)と(Ⅴ)が3%です。処遇改善加算は(Ⅰ)が所定単位数の24.5%、(Ⅱ)が22.4%、(Ⅲ)が18.2%、(Ⅳ)が14.5%、(Ⅴ)が7.6%〜22.1%です。

特定事業所加算・介護職員等処遇改善加算の算定率(令和7年3月サービス提供分・事業所ベース)
加算算定した事業所数算定率(事業所ベース)算定率(回数ベース)
特定事業所加算(Ⅰ)3,93711.1%17.7%
特定事業所加算(Ⅱ)12,24234.6%31.1%
特定事業所加算(Ⅲ)1500.4%0.7%
特定事業所加算(Ⅳ)1200.3%0.3%
特定事業所加算(Ⅴ)1190.3%0.0%
介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)12,86536.4%1.8%
介護職員等処遇改善加算(Ⅱ)12,96636.7%1.3%
介護職員等処遇改善加算(Ⅲ)4,69813.3%0.4%
介護職員等処遇改善加算(Ⅳ)1,2013.4%0.1%
介護職員等処遇改善加算(Ⅴ)1,2833.6%0.1%

特定事業所加算と処遇改善加算の表の読み方

特定事業所加算は(Ⅱ)が最も多く、(Ⅰ)がそれに続きます。(Ⅲ)〜(Ⅴ)は、それぞれ事業所の0.3〜0.4%です。要件の中身は訪問介護の特定事業所加算(Ⅰ)〜(Ⅴ)の単位(加算率)と算定要件一覧(体制・人材)で確認できます。

処遇改善加算は、区分(Ⅰ)と(Ⅱ)がそれぞれ36%台、(Ⅲ)が13.3%、(Ⅳ)と(Ⅴ)が3%台です。表の数字は区分ごとの請求事業所数なので、区分を足した合計の事業所数や、算定していない事業所の割合は、この表からは読み取れません。区分の要件と計画書・実績報告は訪問介護の介護職員等処遇改善加算 区分・算定要件・加算率と計画書・実績報告にあります。

個別の行為や体制に対する加算の算定率

次の表は、利用者への対応や連携に対する加算の算定率です。夜間・早朝加算と初回加算は半数を超え、2人訪問介護加算は約2割、その他は2割未満です。

主な個別の加算の算定率(令和7年3月サービス提供分・事業所ベース)
加算加算の内容(資料の表記)算定した事業所数算定率(事業所ベース)
夜間・早朝加算+25/10021,98662.1%
初回加算+200単位/月18,40652.0%
2人訪問介護加算×200/1007,31120.7%
深夜加算+50/1006,48418.3%
緊急時訪問介護加算+100単位1,2983.7%
口腔連携強化加算+50単位/回2030.6%
生活機能向上連携加算(Ⅱ)+200単位/月540.2%
生活機能向上連携加算(Ⅰ)+100単位/月290.1%
認知症専門ケア加算(Ⅰ)+3単位/日370.1%
認知症専門ケア加算(Ⅱ)+4単位/日50.0%

個別の加算の表の読み方

初回加算は半数を超える事業所が算定しています。算定の条件は訪問介護の初回加算(200単位)の算定要件と、過去2月間・同行の扱いで確かめられます。

緊急時訪問介護加算、口腔連携強化加算、生活機能向上連携加算、認知症専門ケア加算は、算定率が低い水準です。算定率が低い理由は資料に書かれていないため、この記事では原因を断定しません。要件の確認と記録の残し方は訪問介護の加算 月次自己点検チェックリスト(6加算の記録の確認項目)が扱います。

減算の算定率:同一建物減算と虐待防止措置未実施減算

同じ表には減算も載っています。同一建物減算は、(10%)が5,507事業所(15.6%)、(12%)が4,095事業所(11.6%)、(15%)が599事業所(1.7%)です。高齢者虐待防止措置未実施減算(1%の減算)は253事業所(0.7%)でした。

加算を取りこぼしていないかを点検するときは、減算がかかっていないかも同じ月の請求で確かめます。

自事業所の加算を見直すときの使い方

全国の算定率は、自事業所の算定状況を評価する基準ではなく、見直す順番を決めるための目安です。次の順で使うと、点検の手間を抑えられます。

1 算定率が高い加算(夜間・早朝、初回、処遇改善)は、算定漏れを疑うところから確認します。条件を満たす訪問があるのに請求していなければ、請求前の点検表に加えます。

2 算定率が低い加算は、自事業所が要件を満たせるかを先に確かめます。要件の確認が先で、算定率の低さは算定を急ぐ理由にはなりません。

3 特定事業所加算は、現在の区分より上位の区分の要件を、人材配置と利用者の構成から数字で確かめます。

個別の請求が算定要件を満たすかは、指定権者(都道府県・市区町村)に確認してください。

この記事で確認していないこと

この表の数字は令和7年3月サービス提供分の1か月です。年度の推移、市区町村別・事業所の規模別の算定率、加算の算定による収益への影響額は確認していません。算定率が低い理由についても、資料の記載を確認できていないため推測を書いていません。

次に知りたいこと

各加算の単位数と届出の要否の比較は主な加算の比較表:単位数・算定の単位・届出の要否、請求前の記録の点検は訪問介護の加算 月次自己点検チェックリスト(6加算の記録の確認項目)、体制・人材の加算の区分ごとの要件は訪問介護の特定事業所加算(Ⅰ)〜(Ⅴ)の単位(加算率)と算定要件一覧(体制・人材)へ進めます。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. このページの表から、特定事業所加算・処遇改善加算・初回加算・緊急時訪問介護加算など自事業所が関わる加算を点検表の行に写し、全国の事業所ベースの算定率を書き添える
  2. 直近の請求月ごとに、各加算を算定したかを記入し、算定率が高い加算で算定していないものは、条件を満たす訪問の記録があるかを確認する
  3. 算定率が低い加算は、要件を満たせるかを各加算の記事で確かめ、満たせない理由(人材・体制・記録)を点検表に残す
  4. 同一建物減算や高齢者虐待防止措置未実施減算がかかっていないかを同じ月の請求で確かめ、点検表の末尾に記録する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

次に読む: 訪問介護の加算 月次自己点検チェックリスト(6加算の記録の確認項目) →