運営 / 更新 2026-10-15
訪問介護員の時給を上げたら出す月額変更届:随時改定の3つの要件と登録ヘルパーの出勤日数
訪問介護員の時間給の単価を上げると、健康保険・厚生年金保険の保険料の基になる標準報酬月額を見直す「随時改定」が必要になることがあります。事業主は「被保険者報酬月額変更届」を速やかに提出します(日本年金機構の案内では、固定的賃金の変動、2等級以上の差、3か月とも支払基礎日数が17日以上の3つがそろったときに行います)。このページは、時給制の登録ヘルパーの出勤日数の数え方を含めて整理します。
この記事で決めること
訪問介護事業所の経営者や給与担当者が、処遇改善などで訪問介護員の時間給の単価を上げたときに、健康保険・厚生年金保険の月額変更届(随時改定)が必要になる3つの要件と、時給制の登録ヘルパーの支払基礎日数の数え方、対象外になる場合を、日本年金機構の案内で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、賃金改定時の随時改定の確認表(訪問介護員ごとの時給の改定月、変動月から3か月の報酬と出勤日数、従前の標準報酬月額との等級差、17日(短時間労働者は11日)以上の確認、月額変更届の提出日)を作成できる状態を目指します。
随時改定は、賃金が大きく変わったときに定時決定を待たずに見直す仕組み
日本年金機構の案内によると、被保険者の報酬が昇給や降給などで大幅に変わったときは、定時決定(算定基礎届)を待たずに、変更後の報酬を初めて受けた月から起算して4か月目に標準報酬月額を改定します。
毎年の算定基礎届の期限は「訪問介護事業所が毎年行う労務・税務手続きの月別期限(年度更新・算定基礎届・法定調書)」にあります。加入の要件は「訪問介護員の社会保険の加入要件:4分の3基準・週20時間以上の短時間労働者・賃金要件の撤廃」を見てください。このページは、加入している訪問介護員の賃金を改定したときの手続きを扱います。
時給の単価を上げると「固定的賃金の変動」に当たる
随時改定は、次の3つの要件にすべて当たったときに行います。1つ目は、昇給または降給などで固定的賃金に変動があったことです。固定的賃金は、支給額や支給率が決まっているものをいいます。
日本年金機構が挙げる固定的賃金の変動の例には、昇給(ベースアップ)、日給から月給などの給与体系の変更、日給や時間給の基礎単価の変更、請負給や歩合給の単価や歩合率の変更、住宅手当や役付手当などの固定的な手当の追加や支給額の変更があります。
訪問介護では、処遇改善の賃上げで時給の単価や固定的な手当を変えたときが、この1つ目に当たります。配分の考え方は「訪問介護の処遇改善加算の賃金改善の配分:基本給・手当・一時金と職種間の偏り」にあります。
2つ目と3つ目の要件:2等級以上の差と、3か月とも17日以上
2つ目は、変動月以後引き続く3か月の報酬の平均額から求めた標準報酬月額と、従前の標準報酬月額との間に、2等級以上の差が生じたことです。変動月は、変動した固定的賃金で報酬を支払った月です。例えば4月に支払う報酬に変動があれば、4月から6月の3か月の平均で比べます。
3つ目は、変動月以後引き続く3か月の報酬の支払基礎日数が、3か月とも17日以上であることです。特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日以上です。支払基礎日数は給与計算の対象となる日数で、日給制や時給制は出勤日数、月給制や週給制は暦日数で数えます。
時給制の登録ヘルパーは、出勤日数で数えるため、出勤日数が17日未満(特定適用事業所の短時間労働者は11日未満)の月が1つでもあると3つ目の要件を満たしません。標準報酬月額の上限または下限にわたる等級の変更は、1等級の差でも随時改定の対象になります。
| 要件 | 内容 | 時給制の訪問介護員での見方 |
|---|---|---|
| 1 固定的賃金の変動 | 昇給や降給などで支給額や支給率が決まっている賃金が変わった | 時給の基礎単価や固定的な手当を改定した |
| 2 2等級以上の差 | 変動月以後引き続く3か月の報酬の平均額による標準報酬月額が、従前と2等級以上違う | 3か月の報酬の平均を、従前の標準報酬月額と比べる |
| 3 支払基礎日数 | 3か月とも17日以上(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日以上) | 時給制は出勤日数で数える |
固定的賃金と非固定的賃金が逆向きに動いたときは対象外
日本年金機構の案内は、次の場合は随時改定の対象にならないと書いています。固定的賃金は上がったが、残業手当などの非固定的賃金が減ったため、3か月の平均から求めた標準報酬月額が従前より下がり、2等級以上の差が生じた場合です。
反対に、固定的賃金は下がったが、非固定的賃金が増えたために標準報酬月額が従前より上がり、2等級以上の差が生じた場合も対象外です。時給の単価を上げた後に報酬の総額が下がった場合に当たるかは、案内に書かれていないため、年金事務所に確認してください。
届出は、被保険者報酬月額変更届を速やかに
事業主は、随時改定に当たる被保険者の報酬月額などを「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届/厚生年金保険70歳以上被用者月額変更届」に書いて、速やかに日本年金機構へ提出します。提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所で、提出方法は電子申請、郵送、窓口持参です。
定時決定の算定月以後に報酬月額が2等級以上大きく変わったときも、月額変更届の提出が必要です。年間報酬の平均で算定することを申し立てるときは、様式1の申立書など、案内にある添付書類が要ります。
このページの範囲と、確認する先
このページが確認したのは、日本年金機構の「随時改定(月額変更届)」の案内です(2026-10-15に確認)。標準報酬月額の等級表の金額や保険料額の計算、賞与の扱いは確認していません。
個別の訪問介護員が随時改定に当たるか、等級が何等級変わるかは、このページでは決められません。管轄の年金事務所か社会保険労務士に確認し、給与計算ソフトの結果とも照らしてください。
あわせて確認したい手続き
年に1回の定時決定は算定基礎届の4〜6月の見方、賞与を支給したときは賞与支払届の期限と対象で確認できます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 時給や手当の単価を改定する月を決め、対象の訪問介護員ごとに、改定前の標準報酬月額と、改定した単価で初めて報酬を払う月(変動月)を確認表に書く
- 変動月から引き続く3か月の報酬の総額と出勤日数(時給制は出勤日数)を毎月確認表に記入し、3か月とも17日以上(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日以上)かを確かめる
- 3か月の報酬の平均額から標準報酬月額を求め、従前との差が2等級以上になるかを年金事務所の案内や給与計算ソフトで確かめ、残業代などの非固定的賃金が逆向きに動いていないかも見る
- 随時改定に当たる訪問介護員は、被保険者報酬月額変更届を速やかに事務センターか管轄の年金事務所へ出し、判断に迷うときは年金事務所か社会保険労務士に相談する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 日本年金機構「随時改定(月額変更届)(日本年金機構)」(確認日 2026-10-15)