運営 / 更新 2026-10-17
訪問介護のアセスメント:訪問介護計画の前に状況を把握・分析する流れ(省令第24条)
訪問介護のアセスメントは、利用者の状況を把握・分析し、訪問介護で解決すべき問題状況を明らかにすることで、訪問介護計画の前段にあたります。通知は、この結果に基づいて援助の方向性や目標、サービスの具体的内容を決めるとしています。この記事は、運営基準と解釈通知で確認した範囲で、アセスメントの位置づけと、訪問介護計画へ反映するまでの順番を整理します。
訪問介護のアセスメントの定義:問題状況を明らかにして計画の根拠にする
解釈通知(平成11年9月17日老企第25号)は、訪問介護計画書の作成に当たって、利用者の状況を把握・分析し、訪問介護の提供によって解決すべき問題状況を明らかにすることを「アセスメント」と呼んでいます。この結果に基づき、援助の方向性や目標を明確にします。
続けて、担当する訪問介護員等の氏名、訪問介護員等が提供するサービスの具体的内容、所要時間、日程等を明らかにするとしています。訪問介護計画書の様式は、事業所ごとに定めるもので差し支えないとされ、アセスメントの様式や項目は通知で決まっていません。
運営基準の第24条第1項は、サービス提供責任者が、利用者の日常生活全般の状況と希望を踏まえ、目標と具体的なサービスの内容等を記載した訪問介護計画を作成することを求めています。アセスメントは、この「日常生活全般の状況と希望を踏まえる」段階にあたります。
この記事で決めること
訪問介護のサービス提供責任者や開業準備者が、訪問介護計画を作る前のアセスメントの位置づけと、ケアプランとの関係、計画へ反映する順番を、運営基準と解釈通知から確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、アセスメントから訪問介護計画までの確認表(居宅サービス計画の目標、把握した状況、解決すべき問題状況、計画に書くサービス内容と所要時間)を作成できる状態を目指します。
ケアマネジャーのアセスメントとの違い:訪問介護はケアプランに沿って作る
居宅介護支援の運営基準の第13条は、介護支援専門員が解決すべき課題の把握を「アセスメント」と呼び、利用者の居宅を訪問し、利用者と家族に面接して行うことを求めています。その結果をもとに、サービスの組合せを検討して居宅サービス計画の原案を作ります。
訪問介護の運営基準の第24条第2項は、訪問介護計画は、既に居宅サービス計画が作成されている場合は、その内容に沿って作成しなければならないとしています。訪問介護事業所のアセスメントは、ケアプランの目標と方針の中で、訪問介護として何をどう行うかを具体化するためのものです。
解釈通知は、訪問介護員等がサービス担当者会議等で課題分析情報等を通じて利用者の問題点や解決すべき課題などの個人情報を介護支援専門員や他のサービスの担当者と共有するには、あらかじめ文書による利用者または家族の同意が必要としています。この同意は、サービス提供開始時に包括的に得ておくことで足りるとされています。
アセスメントから計画までの順番(運営基準第24条と解釈通知)
順番は、居宅サービス計画の確認、利用者の状況の把握・分析、訪問介護計画の作成、利用者または家族への説明と同意、交付、実施状況の把握と変更です。下の表は、各段階の根拠を並べたものです。
解釈通知は、目標や内容を利用者とその家族に理解しやすい方法で説明し、実施状況や評価についても説明するとしています。事業所の様式や進め方は、この枠の中で、事業所が定めます。
| 段階 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 居宅サービス計画の確認 | 居宅サービス計画が作成されているとき、訪問介護計画はその内容に沿って作成する | 運営基準 第24条第2項 |
| 2 アセスメント | 利用者の状況を把握・分析し、訪問介護で解決すべき問題状況を明らかにする | 解釈通知(老企第25号)第三の一の3(13)② |
| 3 計画の作成 | 援助の方向性と目標、訪問介護員等の氏名、サービスの具体的内容、所要時間、日程等を明らかにする | 解釈通知(13)②、運営基準 第24条第1項 |
| 4 説明・同意・交付 | 利用者または家族に説明して同意を得て、計画を交付する | 運営基準 第24条第3項・第4項 |
| 5 実施状況の把握と変更 | 計画の作成後、実施状況を把握し、必要に応じて変更する | 運営基準 第24条第5項・第6項 |
計画への反映:サービス内容を身体介護と生活援助に分けて所要時間を決める
老計第10号は、行為ごとの区分と一連の流れを、訪問介護計画と居宅サービス計画(ケアプラン)を作成する際の参考として活用することを求めています。アセスメントで把握した困りごとを、身体介護と生活援助のどちらの行為として計画に書くかは、この通知の例示が手がかりです。区分の全体は老計10号とは?訪問介護でできること・できないこと一覧(身体介護・生活援助の区分)にあります。
留意事項通知(老企第36号、平成27年度改正版)は、1回の訪問で身体介護と生活援助が混在する場合は、居宅サービス計画や訪問介護計画の作成時に、適切なアセスメントであらかじめ具体的なサービス内容を身体介護と生活援助に区分し、それぞれの標準的な時間に基づいて組み合わせて算定するとしています。サービス内容と所要時間は、アセスメントの結果が根拠になります。
利用者と一緒に行う動作を計画に書くときは、訪問介護の見守り的援助(老計10号1-6):身体介護になる範囲と記録の書き方の整理が使えます。計画の見直しについては、解釈通知が、目標達成の度合いや利用者と家族の満足度等を常に評価し、訪問介護計画の修正などで改善を図るよう求めています。
次に読む記事:受け入れの流れ・計画の作成と変更・初回加算
依頼を受けてから提供を始めるまでの手続きは訪問介護の新規利用者の受け入れの流れ(省令第8〜14条)に、計画の作成から交付、モニタリング、変更までは訪問介護計画の作成・変更サイクルと記載事項にあります。
新しく計画を作った月の報酬は、訪問介護の初回加算(200単位)の算定要件と、過去2月間・同行の扱いで確認できます。この記事は、通知と運営基準の整理で、個別の事案の可否を確定するものではありません。通知は改正されることがあるため、実際の取扱いは指定権者・保険者に確認してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 居宅サービス計画(ケアプラン)の総合的な援助の方針、目標、訪問介護に求められている内容を確認し、訪問介護計画がその内容に沿うかを控える
- 利用者の日常生活全般の状況と希望を聞き取り、訪問介護で解決すべき問題状況を書き出す。サービス担当者会議で課題分析情報を共有する場合の同意の取り方も、サービス提供開始時に確認する
- 問題状況ごとに、援助の方向性と目標、サービスの具体的内容、担当する訪問介護員等、所要時間、日程を決め、身体介護と生活援助に区分して計画に書く
- 計画を利用者または家族に説明して同意を得て交付し、実施状況と目標達成の度合いを定期的に確認して、ずれがあれば計画を変更する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省老健局振興課「「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」の一部改正について(平成30年3月30日老振発0330第2号。別紙に改正後の老計第10号)」(確認日 2026-09-27)
- 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について(平成11年9月17日老企第25号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)」(確認日 2026-10-04)
- 厚生労働省老健局「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日老企第36号)平成27年度改正版」(確認日 2026-09-28)
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(第24条 訪問介護計画の作成・第28条 管理者及びサービス提供責任者の責務)」(確認日 2026-10-05)
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第13条 指定居宅介護支援の具体的取扱方針」(確認日 2026-10-17)