運営 / 更新 2026-10-16

訪問介護で把握した服薬・口腔の状況をケアマネに伝える:基準第28条第3項第2号の2

訪問介護の提供中に気づいた利用者の服薬状況や口腔機能などの情報を、居宅介護支援事業者(ケアマネジャー)へ伝えることは、運営基準第28条第3項第2号の2で、サービス提供責任者の業務として定められています。通知は、伝える情報の例を挙げ、何を伝えるかの判断はサービス提供責任者が行い、伝え方はサービス担当者会議などを通じても差し支えないとしています。この記事は、条文と通知の原文で、事業所が決めておくことを確認します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護の提供中に気づいた利用者の服薬状況や口腔機能などの情報を、サービス提供責任者が居宅介護支援事業者等へ伝える業務(運営基準第28条第3項第2号の2)について、通知が挙げる情報の例、伝える方法、個人情報の同意、居宅介護支援側の受け止め方を確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、ケアマネジャーへの情報提供の取り決めメモ(伝える情報の種類、気づいたときの報告ルート、サービス提供責任者の判断者、伝え方、同意の確認)を作成できる状態を目指します。

結論:気づいた情報の伝達は、サービス提供責任者の業務として基準に入っている

運営基準第28条第3項は、サービス提供責任者が訪問介護計画の作成のほかに行う業務を並べています。その第2号の2は、居宅介護支援事業者等に対し、指定訪問介護の提供に当たり把握した利用者の服薬状況、口腔機能その他の利用者の心身の状態及び生活の状況に係る必要な情報の提供を行うこと、と定めています。

解釈通知は、この情報の提供について、サービス担当者会議等を通じて行うことも差し支えないとしています。伝える内容は、例を挙げたうえで、居宅介護支援事業者等に対して情報提供する内容はサービス提供責任者が適切に判断することとされています。訪問介護員が気づいたことをすべて転送するのではなく、サービス提供責任者が選んで伝える設計です。

なお、通知は、第28条第3項の業務全般について、複数のサービス提供責任者を置く事業所では、事業所として業務を適切に行えているときは、必ずしも1人のサービス提供責任者がすべての業務を行う必要はないとも述べています。この情報提供の担当を分ける場合も、この考え方を参照できます。

通知が挙げる「必要な情報」の例

通知は、必要な情報の内容として、次の例を挙げています。薬の管理に関するもの、口の状態に関するもの、体や生活の変化に関するもの、リハビリテーションに関するものに分かれます。例示であり、これ以外は伝えなくてよいという意味ではありません。

通知(老企第25号の一部改正)が挙げる情報の例
通知が挙げる例この記事での分け方
薬が大量に余っている又は複数回分の薬を1度に服用している薬の管理
薬の服用を拒絶している薬の管理
使いきらないうちに新たに薬が処方されている薬の管理
口臭や口腔内出血がある口の状態
体重の増減が推測される見た目の変化がある体や生活の変化
食事量や食事回数に変化がある体や生活の変化
下痢や便秘が続いている体や生活の変化
皮膚が乾燥していたり湿疹等がある体や生活の変化
リハビリテーションの提供が必要と思われる状態にあるにも関わらず提供されていないリハビリテーション

伝える手段と、決めておくこと

通知は、必要な情報の提供について、あらかじめ、サービス担当者会議等で居宅介護支援事業者等と調整しておくことが望ましいとしています。通知の引用した箇所には、提供の様式や頻度の定めはありません。

随時の連絡で伝えるのか、月次の報告に含めるのかは、担当のケアマネジャーとの取り決めに従います。月次の報告については訪問介護のサービス提供・ケアマネ連携・月次報告で整理しています。

事業所で決めておくと運用が安定するのは、次の3点です。訪問介護員がサービス提供責任者へ報告する項目と報告の経路、サービス提供責任者のうち伝える内容を判断する担当、ケアマネジャーとの間で情報を伝える方法と時期です。これらは通知の文言ではなく、この記事の整理です。

ここで伝えるのは、訪問のなかで見たことや聞いたことの事実です。服薬が適切かどうか、口の状態に異常があるかどうかの医学的な判断は、この条文が求めるものではありません。気づいた事実をそのまま、いつ・どのような様子だったかが分かる形で伝えます。

個人情報の同意と、ケアマネジャー側での受け止め

運営基準第33条第3項は、サービス担当者会議等において、利用者の個人情報を用いる場合は利用者の同意を、利用者の家族の個人情報を用いる場合は当該家族の同意を、あらかじめ文書により得ておかなければならないとしています。解釈通知(老企第25号)は、この同意について、サービス提供開始時に利用者及びその家族から包括的な同意を得ておくことで足りると述べています。同意書の整え方は訪問介護の秘密保持等(基準第33条):守秘義務と個人情報の同意で確認できます。

居宅介護支援の基準第13条第13号の2は、介護支援専門員が、指定居宅サービス事業者等から利用者に係る情報の提供を受けたときその他必要と認めるときは、利用者の服薬状況、口腔機能その他の利用者の心身又は生活の状況に係る情報のうち必要と認めるものを、利用者の同意を得て主治の医師等又は薬剤師に提供するものとすると定めています。訪問介護事業所から伝えた情報が、ケアマネジャーの判断で主治の医師等や薬剤師へつながる場合がある、ということです。

ケアマネジャーが医師や薬剤師へ情報を提供するかどうかは、ケアマネジャーの判断と利用者の同意によります。訪問介護事業所が医師や薬剤師へ直接伝えることを、この条文が事業所に求めているわけではありません。

関連する記事と、確認していないこと

サービス提供責任者の業務全体は管理者とサービス提供責任者の責務(基準第28条)、サービス担当者会議との関わりはサービス担当者会議で訪問介護事業所がすること:状況の把握・訪問介護計画の提出・変更の連絡、口腔の情報を歯科医療機関へ伝える加算の要件は訪問介護の口腔連携強化加算(50単位)の算定要件で確認できます。

この記事は、条文と、厚生労働省の介護保険最新情報Vol.1213(令和6年3月15日)別紙10の新旧対照表で確認できた範囲だけを書いています。個々の利用者について、どの情報をいつ伝えるべきかの判断は、サービス提供責任者が担当のケアマネジャーや医療職と相談して行う事項です。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 通知が挙げる例(薬の余り・服用の拒絶、口臭や口腔内出血、食事量の変化、便通、皮膚の状態など)を、訪問介護員が気づいたときに報告する項目として一覧にする
  2. 訪問介護員からサービス提供責任者への報告のルートと、伝える内容をサービス提供責任者が判断する担当を決める(複数配置なら分担を決める)
  3. 担当のケアマネジャーと、情報提供の方法(随時の連絡、月次報告、サービス担当者会議)をあらかじめ調整して記録する
  4. サービス提供開始時の個人情報の同意書に、ケアマネジャーなど他の担当者との情報共有が含まれているかを確かめる

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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