運営 / 更新 2026-10-05
管理者とサービス提供責任者の責務(基準第28条)
訪問介護の事業所には、事業所全体を管理する管理者と、利用者ごとの訪問介護の中身を管理するサービス提供責任者(利用者への訪問介護計画を作り、訪問介護員に指示を出す役割の人)がいます。運営基準第28条は、この2つの役割分担を定めています。この記事は、条文と解釈通知から、管理者の責務とサービス提供責任者の業務を整理します。配置人数や資格などの人員基準は別の記事で扱い、ここでは、条文に書かれていることと書かれていないことを分けます。
この記事で決めること
訪問介護事業所の管理者とサービス提供責任者が、運営基準第28条でそれぞれ何を担うかを、条文と解釈通知から確認し、サービス提供責任者が第24条の訪問介護計画の作成に加えて行う業務を一覧で整理して、事業所内の役割分担を決めるときの出発点にするための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、管理者とサービス提供責任者の業務分担表を作成できる状態を目指します。
第28条が定める2つの役割
第28条の見出しは「管理者及びサービス提供責任者の責務」です。第1項と第2項が管理者、第3項がサービス提供責任者について定めています。厚生労働省の解釈通知(老企第25号 第三の3(16))は、この条文を、管理者とサービス提供責任者の役割分担を規定したものと説明しています。
通知は、管理者の役割を従業者と業務の一元的な管理、および従業者に運営基準を守らせるための指揮命令とし、サービス提供責任者の役割を指定訪問介護の利用の申込みに係る調整と、訪問介護員等への技術指導などのサービス内容の管理としています。事業所全体の管理と、個々のサービスの中身の管理を分けた形です。
| 項 | 対象 | 定めていること |
|---|---|---|
| 第1項 | 管理者 | 事業所の従業者と業務の管理を、一元的に行う |
| 第2項 | 管理者 | 従業者に運営基準の規定を遵守させるため、必要な指揮命令を行う |
| 第3項 | サービス提供責任者 | 第24条の訪問介護計画の作成に関する業務のほか、利用申込みの調整など9項目の業務(一〜八。二の二を含む)を行う |
管理者の責務:一元的な管理と指揮命令
第1項は、管理者が事業所の従業者と業務の管理を「一元的に」行うと定めます。第2項は、従業者に運営基準(この章の規定)を守らせるために必要な指揮命令を行うと定めており、守らせる対象には、記録の整備や掲示、研修など運営基準の各条が含まれます。
第28条が定める管理者の責務はこの2項だけで、日々の業務を具体的にどう分けるかまでは書かれていません。管理者の員数や兼務の扱いは訪問介護の人員基準で、運営指導で確認される書類は訪問介護の運営指導で確認される記録・書類で確認できます。
サービス提供責任者の業務:第24条のほかに行う9項目
第3項は、サービス提供責任者が、第24条に規定する業務のほか、次の業務を行うと定めます。第24条の業務は、利用者の状況や希望を踏まえた訪問介護計画の作成、利用者または家族への説明と同意、利用者への交付、実施状況の把握と必要に応じた変更です。第28条第3項は、これに計画以外の調整や管理の業務を加えています。
下の表は、第3項の一から八までを並べ、事業所で担当を決めるときの例を添えたものです。「担当の例」は運用の一例であり、条文が定めるものではありません。一から八は、すべてサービス提供責任者が行うものとして書かれています。
| 号 | 条文が定める業務 | 担当の例(運用の例) |
|---|---|---|
| 一 | 指定訪問介護の利用の申込みに係る調整をすること | 新規の依頼を受けたときに、訪問できる曜日・時間帯と訪問介護員の空きを確認して返答する |
| 二 | 利用者の状態の変化やサービスに関する意向を定期的に把握すること | 訪問後の報告や利用者への連絡で、状態の変化や希望を確認して記録する |
| 二の二 | 居宅介護支援事業者等に、把握した服薬状況、口腔機能その他の心身の状態と生活の状況に係る必要な情報を提供すること | ケアマネジャーへの月次報告や随時の連絡に、服薬や口腔の状況を含める |
| 三 | サービス担当者会議への出席等により、居宅介護支援事業者等と連携を図ること | 会議の案内を受けたら出席者を決め、出席できない場合の連絡方法も決める |
| 四 | 訪問介護員等に、具体的な援助目標と援助内容を指示し、利用者の状況の情報を伝えること | 訪問前に、計画の目標と当日の内容、利用者の最近の様子を訪問介護員へ伝える |
| 五 | 訪問介護員等の業務の実施状況を把握すること | 訪問介護員からの報告や記録で、計画どおりに提供できているかを確認する |
| 六 | 訪問介護員等の能力や希望を踏まえた業務管理を実施すること | 利用者ごとの担当の割り振りで、訪問介護員の経験や勤務希望を考慮する |
| 七 | 訪問介護員等に対する研修、技術指導等を実施すること | 同行訪問や事例の共有で、技術や対応方法を指導する |
| 八 | その他サービス内容の管理について必要な業務を実施すること | 上記に当てはまらないサービス内容の管理の手順を、事業所で決めておく |
通知が補足していること:計画に沿って提供されているかの把握
解釈通知の訪問介護計画の作成の項(老企第25号 第三の3(13)③)は、サービス提供責任者が、他の訪問介護員等の行うサービスが訪問介護計画に沿って実施されているかを把握するとともに、助言、指導等の必要な管理を行わなければならないとしています。第28条第3項の四から七と、考え方が重なる内容です。
同じ項は、訪問介護計画の目標や内容を、利用者と家族に理解しやすい方法で説明し、実施状況や評価についても説明することを求めています。通知は、計画に担当する訪問介護員等の氏名、サービスの具体的内容、所要時間、日程等を明らかにするとし、計画書の様式は各事業所で定めて差し支えないとしています(同②)。計画の作成から変更までの流れは訪問介護計画の作成・変更サイクルで整理しています。
確認が必要な事項
兼務は、第28条ではなく人員の規定で扱われています。解釈通知の人員に関する基準(老企第25号 第三の1(2)①)は、管理者がサービス提供責任者を兼務することは差し支えないとしています。管理者は常勤で、原則として専らその事業所の管理業務に従事するものとされ、管理業務に支障がない場合に限って他の職務を兼ねることができるとされています(同(3)、基準第6条)。支障がないかどうかの個別の判断は、指定権者に確認します。
確認した範囲の第28条と通知(16)には、「定期的に把握する」の間隔、各業務を行った記録の様式と保存の方法、サービス提供責任者の業務を事務職員などが補助してよい範囲は書かれていません。事業所のある都道府県や市区町村などの指定権者に確認します。確認先の一覧は指定権者に確認する事項の一覧にあります。
配置人数の数え方はサービス提供責任者の配置人数の数え方で、管理者やサービス提供責任者を変更したときの届出は管理者・サービス提供責任者の変更届で整理しています。ケアマネジャーとの連携は訪問介護のサービス提供・ケアマネ連携・月次報告にまとめています。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 第28条第1項・第2項の管理者の責務と、第3項のサービス提供責任者の業務を、事業所の担当者名と対応づけて一覧にする
- サービス提供責任者の業務のうち、利用申込みの調整や訪問介護員への指示のように日々行うものと、定期的な把握のように間隔を決めるものを分ける
- 「定期的」の間隔や記録の様式は条文に書かれていないため、事業所で決めた内容を手順書にして、運営指導で説明できるようにする
- 管理者とサービス提供責任者の兼務や、業務を補助する職員の扱いを、指定権者に確認して分担表に反映する
一次資料
制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。